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地球滅亡というテーマは注目されにくくなったが、それでも多くの中国人が春節(旧正月)連休中に映画館に足を運んだ。シンガポール華字紙・聯合早報(電子版)が13日に伝えた。
SF映画「流浪地球」はハリウッドのような特殊効果を用いているが、中国から見た宇宙探検ストーリーを展開する。表面的には地球滅亡の凄惨な風景を描いているが、積極的なプラスのエネルギーを感じることができる。
SF映画とパニック映画を混ぜた「流浪地球」は、人類が自らを救うため地球を太陽系外に移動させるストーリーだ。中国視点の中国が主役の話で、笑いを誘う場面はなく、民族の誇りと士気を高める。これは現在主流となっているお正月映画の重要な要素かもしれない。
「流浪地球」が中国で一大ブームになったと言っても過言ではない。興行収入が破竹の勢いで伸びているほか、作品も中国国産SFの大きな進展を実現した。中国の宇宙事業の発展、国の実力の台頭に関する多くの議論を読んでいるほどだ。
作品は「運命共同体」や集団主義精神といった、中国の特色ある価値観を伝えている。多くの中国メディアは、これは米国のSF映画が標榜する、個人の英雄主義とはまったく異なると分析している。
クライマックスは印象的だ。地球が木星と衝突する最後の瞬間、中国救助隊の女性が各界に努力を諦めないよう呼びかける。各国のチームはこの呼びかけに応じて引き返し、救助活動を続ける。
世界に総動員をかけたが、中国救助隊がリーダー、提唱者、責任者としての役割を演じたことは明らかだ。これは観客の共鳴を呼んだ重要な理由かもしれない。
「流浪地球」の脚本が弱く、科学的な原理に間違いがあるといった批判も少なくない。しかし本作が特殊効果を巧みに利用した、娯楽性の高い映画であることは否定できない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年2月15日