南極の極夜が到来し、中国科学院国家天文台の南極・崑崙基地にある小型シーイング測定望遠鏡「KL-DIMM」が、アイスドームAエリアの夜間のシーイングを測定した。また地表から8メートルの高度で最良のシーイングが得られることを証明した。
国家天文台の商朝暉氏によると、今回はアイスドームAエリアの夜間のシーイングが初めて直接測定された。シーイングは望遠鏡で天体を見た時の星像の位置の揺らぎの程度を表す、光学赤外線天文観測台の設置先選択で最も重要な数値の一つだ。シーイングが低いほど大気の動揺が弱く、イメージングの角度分解能が上がり、望遠鏡の暗い天体に対する観測能力が強化される。そのため地上大型望遠鏡を設置する際には、適切な場所を選択しなければならない。現在の世界で最も優れている天文台のシーイングは0.6角度秒で、アイスドームAエリアでは0.3角度秒が測定された。しかしアイスドームAエリアの天文観測資源の確認には、より長期的な観測データが必要となる。
自然資源部極地観測弁公室、中国極地研究センターの力強い支援を受け、商氏ら中国第35回南極科学観測隊の隊員は今年4月、標高4000メートル以上の崑崙基地の高さ8メートルのタワーにKL-DIMMを2基設置した。設置終了後、KL-DIMMは直ちに自動観測を開始し、日中の大量のシーイング測定データを入手した。測定結果により、日中であっても優れた自由シーイングが得られることが分かった。
「夜間シーイングの測定結果は、アイスドームAが地上で最も優れた光学天文台の設置先であることをさらに裏付けた」国家天文台の馬斌研究院補佐によると、2基のKL-DIMMは現在も自動観測を続けている。長期的な観測データは最終的に、アイスドームAエリアの天文観測資源を確認し、中国の南極天文台大型望遠鏡を設置するため科学的な根拠をもたらすことになる。
情報によると、KL-DIMMの開発において多くの重要技術の進展があった。まず小型赤道儀のアイスドームAエリアにおける冬季稼働を初めて実現した。将来的にアイスドームAエリアのその他の小型望遠鏡に用いることができ、大型望遠鏡の参考材料を提供する。次に、無人スマート観測システムを開発した。観測計画、望遠鏡の方向、画像入手・保存、データ処理、結果報告の全自動観測を実現した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年4月17日