ディズニーの「コピペ」、ファンが離れる

ディズニーの「コピペ」、ファンが離れる。

タグ:ライオン・キング CG・実写版

発信時間:2019-07-21 09:45:00 | チャイナネット | 編集者にメールを送る


 CG・実写版『ライオン・キング』の予告動画が発表されると、ディズニーファンの間で話題になった。正式公開後、評価は真っ二つに分かれたが、低評価の方が多くついている。この差は非常に興味深い。


 ライオン・キングの最初のシーンは圧巻で、資金力のあるディズニーが最高レベルの視覚効果技術でアフリカのサバンナを再現した。壮大な光景で、細部まで活き活きしている。「プライドランドの百獣がシンバの誕生を祝う」というような実写版のシーンは、アニメでは実現不可能だ。映画という空想の産物は偽りの時と光景を処理するが、作品に備わる力とは確かな物理的な質感のある、本物さながらの世界の創造によって得られる。


 ところが動物が人間の言葉をしゃべると、ライオン・キングは台無しになった。偽りのリアルと動物の会話はいびつだ。これは本物の材料を使いままごとをするようなものだ。アニメの合理性は幼稚で非現実的な画風によりままごとを維持するマジックにある。アニメから実写版になったライオン・キングは、アニメの合理性を崩し、実写版の美学の方向にも背いている。


 実写版の創作チームはライオン・キングの原作を尊重している。内容を適度に増やしているが、基本的にはアニメの各シーンを作り直している。これは最もまずい点だ。動物のCGがリアルで、シーンを忠実に再現してはいるが、実際の効果については一言でいい尽くせない。「活き活きとした」動物と、擬人化されたアニメの動物の目つきは異なる。作品を支える視角の切替、目配せという編集の原則が効果を失う。これは多くの観客が「アニメ版の表情が豊かで見ていて心地よい」と感じる原因だ。


 アニメと実写版は媒介としての属性が異なる。名作アニメを実写化させる場合、その創作には便利な「コピペ」が存在しない。アニメは実際の世界から遠く離れた「幼稚」な画風だが、これによりいっそう自由に精神的な世界を想像し、表現できるようになる。


 ディズニーが制作する自作アニメの実写版は批判が多いが、珍しい例外は『アラジン』だ。奇抜な手法をとるガイ・リッチー監督は、アラジンに何をしたのだろうか。彼は「原作リスペクト」という重荷を背負わず、自らが得意とする手法で新たな作品を作り直した。名作アニメは本当に超越できないのだろうか。そうとは限らない。観客と業界は本物の人間と動物が教科書通りの役を演じるのではなく、新たなアプローチに期待している。過去の遺産を食いつぶすディズニーが、大胆な創作に踏み切れるかは分からないが。


「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年7月21日

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