「粉塵、高温、騒音」。馮濤さんの後ろの作業場の壁には3枚の「職業リスク告知板」がかけられている。
36歳の馮濤さんは新疆ウイグル自治区ウルムチ市の医療廃棄物処理センターで巡回点検員をしている。記者が処理センターを訪れたとき、彼は白い防護服に身を包み、赤い安全帽をかぶり、防護めがねとマスクで顔をしっかりと覆っていた。
馮濤さんの近くには高さ10メートル以上ある熱分解焼却炉が2つそびえ立つ。焼却炉の炎の温度は1000度に達し、新型コロナウイルス関連肺炎の医療廃棄物を含む様々な医療廃棄物を焼却している。
7つの処理工程を経て、医療廃棄物は排出基準を満たす気体に変わり、わずか0.07%の残留物は浸出毒性検査に合格してから埋め立てる。
馮濤さんは、「勤務中はできるだけ飲み食いせず、トイレに行かない。食事をしたりトイレに行ったりする場合、新しい防護服に着替えなければいけない。消毒に時間がかかるだけでなく、防護服の数が限られているため、できるだけ節約したい」と話す。
作業場は3フロアで、それほど広くない。馮濤さんはここで8時間連続勤務し、2~3万歩あるく。
マスクから漏れた息で防護めがねが曇り、彼はどんな方法を試してもこの問題を解決できなかった。左胸につけている無線機が鳴ったが、防護服ごしで相手の指令が聞こえにくい。
馮濤さんは、「会社は私たち感染して生産に支障が出るのを恐れている。私たちは家族に感染することを恐れ、帰宅もできない」と話す。旧暦1月2日から、彼は31人の同僚とともに処理センターで勤務している。5歳の娘について話し始めると、馮濤さんは涙をこらえきれず、防護めがねはさらに曇った。
処理センターの最高警戒レベルのエリアは5階にあり、医療廃棄物の保管庫になっている。
密封された医療廃棄物は輸送車から卸されるとエレベーターで1階の荷卸しフロアから5階の保管庫に直接運ばれる。これらの医療廃棄物が入った黄色い箱は、保管庫で展伸加工作業員と種乗せ作業員によって焼却炉に投入される。
河南省出身の46歳の劉雲合さんは展伸加工作業員で、センターで最も良い防護装備を使っているが、防護手袋ごしに様々な医療廃棄物に触れなければいけない。
2人の作業員以外はここに近づいてはならない。劉雲合さんは無線機で外部と連絡をとり、6~7台の画面がある処理センター総制御室では作業員がモニターでこのエリアの作業状況を観察している。
保管庫での作業は力仕事で、勤務が終わると、劉雲合さんが防護服の中に着ている2枚のシャツは汗でびしょ濡れになっている。彼はそのことを気にしておらず、仕事が終わる直前にトイレに行きたくなることを最も恐れている。防護服を1着節約するためにトイレを我慢することもあるという。
ウルムチ市の西郊外にある処理センターは医療廃棄物の処理量が新疆で最も多い。処理センターは年間最大9000トンの医療廃棄物を焼却処理し、ウルムチ市、石河子市、五家渠市、呼図壁県、阜康市の医療廃棄物の処理を請け負う。
2014年の運営開始以来、処理センターは新疆彙和瀚洋環境工程技術有限公司がフランチャイズ経営している。責任者の何海龍さんによると、現在は1日約14トンの医療廃棄物を処理し、自治区が一級マニュアルを発動してから、同センターは「即日処理」を実行し、新型肺炎の医療廃棄物を優先して処理している。
自治区生態環境部門の統計によると、自治区の14の地州市に正常稼働中の医療廃棄物集中処理施設は20カ所あり、1日約60トンを処理している。1月20日以降の全区の処理量は1100トンに達した。
自治区生態環境庁固体廃棄物・化学品処の責任者の楊春さんは、「感染症撃退戦が始まってから、新疆各地の医療廃棄物処理施設の作業員は第一線で勤務し続けている。彼らの努力により、医療廃棄物が迅速かつ有効的に処理され、感染症予防・抑制のニーズが満たされている」と話した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2020年2月10日