■ウイルスの変異はワクチンの有効性に影響しない
――新型コロナウイルスの変異はワクチン開発に影響を与えないのでしょうか?
尹董事長:これは非常に科学的な問題です。新型コロナウイルスは確かに変異しますが、実際は人間一人一人顔が違うようにすべてのウイルスの遺伝子配列に同じものはなく、核酸配列も変化します。
わが社では研究の際一番最初に使うのは感染者から抽出したウイルス株で、武漢、北京、浙江省などで抽出したウイルス株があります。我々の分析で、これらのウイルス株は核酸配列に変化はあるが、ウイルス自体は変化しないことがわかりました。ワクチンによって産生した抗体はこのウイルスを中和することができます。
世界中に感染が拡大する中で、我々はイタリアやスペインなどの感染者からも十数株のウイルスを分離させました。6つの違う時期、違う国の感染者から抽出したウイルス株が我々のワクチンによって免疫を持った血清によって中和される比較研究を行いました。
各地域によって新型コロナウイルス株の核酸配列に差異はありますが、結果的に我々のワクチンで効果がみられました。もちろん我々も変異については注視し、研究と調整を行っています。
■目標は国際競争ではなく、ウイルスとの追いかけっこ
――世界のワクチン開発の進展はどうでしょうか?
尹董事長:中国のワクチン開発は5つの技術路線で進められています。今のところ世界では少なくとも8つのワクチンが臨床研究段階に入っていますが、そのうち4つは中国のワクチンです。
使える新技術があればもちろんそれを使ってみます。「すべての道はローマに通ず」です。わが社では他のやり方でもワクチン開発を進めていますが、効果も進度も一番はやはり不活化ワクチンです。
――世界的にみて、中国のワクチン開発はどのような位置にありますか?
尹董事長:これは戦争です。全人類とウイルスの戦争です。まだワクチンはなく、我々はウイルスよりも速く走ることができません。すでに300~400万人が感染し、最先進国である米国では感染者が100万人を超えました。
我々の目標は一番を競うことでも、優勢を競うことでも、ワクチンを開発することでもありません。我々の目標は感染拡大を封じ込めることです。これは世界各国が連携して感染症対策に取り組む中で中国が果たす重要な役割でもあります。今後我々は幅広い国際協力を展開し、相手国の承認さえ得られれば、我々のワクチンを様々な国や地域で応用していきたいと思っています。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2020年5月12日