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japanese.china.org.cn |13. 10. 2020

小さな輪がもたらす大きな希望

タグ: 貧困支援

呉文欽=文・写真


 

新人に電子磁気リングを作る手本を見せている陳文秀さん


 「こうやって、一周巻いてしっかり結び、また一周巻いて、しっかり結ぶ。これを繰り返します」。徳原加工工場にやってきてまだ3カ月の陳文秀さん(27)は、すでに新人の指導にあたっている。彼女が手に持つ電子磁気リングはここで生産される主要製品であり、各種家電に使われている。作業に熟練している陳さんは、1日に400個あまり作ることができる。1個あたりの収入は0.18元だ。


 徳原加工工場は、雲南省広南県の貧困支援移住地点にある貧困支援作業場の一つで、県内の「円夢」社区(コミュニティー)に位置する。近年、貧困脱却の堅塁攻略目標を達成するために、広南県政府は独自の特色をもつ貧困支援作業場を立ち上げることで、貧困者に就職と技能訓練を受ける機会を提供している。円夢コミュニティーは代表的なテスト地点だ。


 陳さんは2019年11月に円夢コミュニティーに引っ越してきた。新居から工場まで、徒歩で10分の距離だ。


 「以前農村に住んでいた時は、トウモロコシ栽培で生計を立てていました。その時の我が家の年間収入は全部で1万元しかなく、親も子供も養わなくてはならず、とても苦しかったです。私と夫は出稼ぎにも行ったことがありますが、2人の子供を家においておくのが不憫で戻ってきました」と陳さん。「去年、政府が行う農村部への貧困支援として、住居移転政策について聞きました。家も仕事ももらえるというので、何の迷いもなくすぐに同意しました」


 陳さんの2人の子供は今、新居の近くの中学校と小学校に通っており、夫は工事現場で働いている。夫婦二人の1カ月の収入は3000元余りにまで増え、広南県では割といい暮らしができている。


 「毎日工場で8時間働いてます。磁気リングを一つ作るごとに収入が増えると思うと、希望が湧いてきます。貧困支援の移住政策は、我が家の生活に大きな変化をもたらしてくれました」と、陳さんは電子磁気リングを手に、笑顔を見せた。


 徳原加工工場以外にも、円夢コミュニティーにはさらに5つの貧困支援作業場が設置されている。そのうちの一つで、最近はやりのライブコマースの実技訓練が行われていた。


 鄭世鳳さん(23)は、2017年に雲南開放大学のコンピューター会計学科を卒業してから、小企業で何年か管理部門の仕事をしていた。目下、ライブコマースが新たなブームを巻き起こしているのを見た彼女は、新たな収入増のチャンスになると考え、円夢コミュニティーでこれに関する育成訓練があると聞いて、ここにやってきた。

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