温家宝総理は5日、第10期全国人民代表大会第4回会議で政府活動報告を行い、経済と社会の発展における困難と問題を分析した。温総理は「われわれは、成果が見えたと同時に、経済や社会生活をめぐる困難と問題が未だ少なくないことも、はっきりと認識している」と述べ、問題点として次の5つを挙げた。
(1)穀物増産と農民の所得増加の困難さが増している。現在、穀物価格は下落し、農業生産資材はいずれも価格上昇圧力が強く、農民の所得増加や作付けへの積極性に影響をきたしている。耕地面積は減少を続け、農業の全体的な生産力は強いとは言えず、穀物の安全には隠れたリスクが存在する。
(2)固定資産投資の伸び幅が依然として高すぎる。一部の業界は投資の伸びが速すぎ、新規に着手するプロジェクトが多すぎ、投資構造が非合理的で、投資(過熱)再発の傾向が比較的強い。
(3)一部業界では過剰投資による悪影響が表面化しはじめている。過剰生産の問題が目立ちつつあり、関連製品の価格は下落し、在庫は増え、企業の利潤は減少し、赤字は増加し、潜在的な金融リスクが増大している。
(4)一般市民の切実な利益に関わる多くの問題が、未だに適切に解決されていない。医療の受けにくさや医療費の高騰、就学難、学費高騰などの問題が目立ち、一般市民が強く訴えかけている。土地収用、家屋の取り壊しと立ち退き、ダム建設地住民の移転、企業の制度改革、環境汚染などの面で、一般市民の利益を損なう違法行為や政策違反の問題が残る。
(5)安全生産をめぐる状況が深刻だ。重大な炭鉱事故や交通事故が頻発し、人民の生命と財産に重大な損失を与えている。
温総理はさらに次のように指摘した。
われわれは、各クラスの政府活動に少なからぬ欠点や不足が存在することも、認識している。政府機能の転換が遅れ、一部の活動は十分に実施されておらず、業務効率は低く、形式主義や、うわべだけを取り繕うやり方が今も目立つ感がある。一部の政府職員に虚偽や贅沢、浪費といった行為が見られ、甚だしくは汚職や腐敗に走る者すらいる。
「人民網日本語版」2006年3月6日