米国に端を発した今回の金融危機は、「1929年の大恐慌以来の、最大の金融危機」と言われている。中国の就職情勢は、全体的にはまずまずと言えるが、金融危機の拡大につれて実体経済に次第に影を落とし始めた。そして、一般庶民の仕事や生活にも影響が及んでいる。一部企業では、人員削減(リストラ)がやむを得ない状況となった。このような背景下で、新しい現象が静かに起きている職場もある。中国新聞社が伝えた。
最近、多くの中国人エリートの間で「金融危機ベビー」という言葉が話題になっている。「金融危機ベビー」とは、厳しい経済情勢下で一部企業がリストラを断行し始めた状況において、一部のキャリア女性がリストラを避けるために妊娠・出産する赤ちゃんのことだ。この厳しい時期に生まれた赤ちゃんは、ネットユーザ達から冗談めかして「金融危機ベビー」と名付けられた。喜びと祝福に満ちた「ミレニアム・ベビー」や「オリンピック・ベビー」と比べ、「金融危機ベビー」と聞くと、幸福感にやや欠けるように感じるが、これも特殊な時代を反映する言葉といえよう。
中国の労動法は、「企業は、妊娠・産じょく・哺乳期間中の女性従業員を解雇してはならない」と定めている。「女性従業員労働者保護規定」も、妊娠・産じょく・哺乳期間中の女性従業員の基本給を減給することや解雇することは禁止している。
リストラの大波が押し寄せる昨今、妊娠・産じょく・哺乳の「3期間」ではない女性従業員は、いつ職を失うか分からない。しかし、キャリア女性の妊娠から哺乳終了までの期間を2年、年収12万元と仮定すると、赤ん坊は、この2年間で両親に心理面での収益のみならず、個人所得税を差し引いても約20万元の現金をもたらす。この事実から、「金融危機ベビー」の実体は「マネー・ベビー」で、両親が金融危機を乗り越えるための「マネー・ベビー」であることが見て取れる。
産婦人科の専門家はしかし、「金融危機ベビー」の出産は、妊婦と赤ん坊の健康にマイナス影響を及ぼす恐れがあると警告している。金融危機は、多くのキャリア女性に長期間にわたる焦りやストレスをもたらした。それによって、内分泌系と正常な排卵機能が狂い、妊娠率が低下する可能性がある。妊娠前の焦りやストレスが緩和されないと、妊娠中や産後にうつになり、妊産婦と赤ん坊の健康が大きく損なわれる恐れがあるという。
「人民網日本語版」2009年1月6日 |