吉林省の紡績会社、吉林化繊集団の従業員と近くの住民が不明なガスを吸い込んで身体に異常をきたした事件で、医学専門家チームは14日午後、今回の事件は化学物質の毒性によるものではなく、心理的な要因によるものだとの調査結果を報告した。
衛生部疾病対策センターの専門家9人は今月10日、吉林省と吉林市の専門家と共に、数日間にわたり調査を開始。14日午後、吉林市で記者会見を行った。医学専門家の張寿林教授の説明によると、▽第一に今回の「事件」はひとつの工場内で患者が出たため、吉林化繊集団の作業現場を検査したところ、有害物質の基準値は規定範囲内で、化学物質による急性中毒ではない▽第二に、隣接する化学工場、吉林康乃爾化学工業有限公司が生産過程で空気中に有害物質を分散し、今回の事件を引起したという可能性も、一酸化炭素、アニリン、ベンゼンなどの測定結果はいずれも国家衛生基準内だったため、排除される--。吉林省環境監測センター、吉林市環保監測ステーションなどのデータでも、空気中の有害物質の濃度が基準値を超えていないことが分かる。このため、今回同集団の従業員の不調は、化学物質の毒性によるものではなく、心理的な要因によるものだと判断した。
医学専門家は、患者の病状に応じて適切な治療を施すとともに、心理的なケアも勧めている。
これに対し、患者やその家族はより科学的・具体的な説明と、発病の原因についてさらに詳しく調べるよう求めている。
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「人民網日本語版」2009年5月15日 |