北京は最高気温が30度を超える日々が続いています。季節は春を一挙に跳び越え、夏が訪れたようです。
放送局の食堂は改築中であるため、いまはお昼を外で食べていますが、外に出るやいなや地面は太陽の光を反射して目に眩しく光っています。近くの飲食店までは徒歩数分の距離ですが、それだけでも汗びっしょりになります。
ところが、夜になれば状況は一変。
そよ風が肌をさらっとなでて通り過ぎていきます。空は7時を回ったところですっかり暗くなり、夏の夜を楽しもうと北京市民は街へ繰り出します。公園で散歩したり、マンションの下の植え込みに寄りかかって隣近所の人とおしゃべりしたり。木の茂みからは、宿題を終わらせて親と一緒に遊びに出てきた子供の笑い声がときどき伝わってきます。
放送局のある石景山区は北京市のCRD(キャピタル・リクリエーション・ディストリクト)政策の中心区域であり、いま飲食や娯楽施設の開発が進んでいます。
放送局の南門を出て、向かいの通りの西側にある飲食店密集地帯にやってきました。こんな日の一番の楽しみはやっぱり道端の露天レストランで飲む冷たいビールです。
暑いせいか、お店は異様に繁盛している様子でした。羊肉のしゃぶしゃぶ、韓国風焼肉、水餃子、どの店も客がいっぱいでした。ペットもテーブルの足に首を繋がれているのをみて、犬の散歩帰りに一杯飲む人もいるのかと面白く思いました。暑い日に熱いものを食べるというのはどういう理由なのか、一説によりますと、存分に流れ出た汗が風に吹かれるときの涼しい感覚を味わうためだということです。
枝豆をつまみながらあたりを見回してみました。喧然とした中で声を張り上げてしゃべる客、皿を持ちながらテーブルとテーブルの間を素早く行き来するウエイトレス、頭上には赤ちょうちんが光り、その向こうには夜空が延々と続き、星が1つ、2つ。
北京の本場の夏はこれから。こんな夜は、まだまだ続きます。
(取材:黄恂恂、王巍、閔亦冰)
「中国国際放送局 日本語部」より2009年6月21日