中国衛生部疾病予防控制部門のデータによると、中国で慢性疾患が診断された患者は2億6000万人を上回り、死亡原因の85%を占めている。中国の医療衛生部門は近年、一連の措置を講じ積極的に対応してきたが、依然として国民の認識不足、予防システムの不備、衛生資源の非合理的な配置といった問題が存在する。専門家は、「中国の慢性疾患は爆発的に増加しており、中国経済の発展に対して深刻な負担を形成する」と警鐘を鳴らした。
慢性疾患の潜在的なリスクも高まっている。中国国家疾病予防控制センターの調査によると、中国の超肥満者は3億人、肥満者は1億人を超え、心血管疾患の患者数は2億人を超えると見られる。世界銀行は、2030年までに、中国の慢性疾患が高齢化により40%増加すると予想した。
慢性疾患の予防を専門とする、北京大学人民医院呼吸科の何権瀛氏は、「慢性疾患は中国で爆発的に増加しており、中国人の健康水準の向上に影響し、経済発展を妨げる主因となっている。慢性疾患の急増に対して、積極的に措置を講じるべきだ」と語った。
慢性疾患 経済成長の重い負担に
慢性疾患はすでに、中国に大きな経済的負担を強いている。中国衛生部のデータによると、中国の慢性疾患(非伝染性)は、中国の全ての疾病に占める比率が約69%に達しており、伝染病やその他の疾病の比率を大きく上回っている。
慢性疾患は進行が遅く、身体に損害をもたらすため、社会の労働能力に影響を与える。2020年には、85%の死亡原因が慢性疾患となる見通しだ。慢性疾患は患者自身にとっても、重い経済負担を強いる。2009年の中国都市部住民の1人当たり可処分所得は1万7175元、農村部住民の1人当たり純収入は5176.9元となった。仮に慢性疾患で入院した場合、都市部住民は可処分所得の半分以上、農村部住民は純収入の1.3倍の治療費を支払わなければならない。
慢性疾患の急増はまた、社会が蓄積した富を急速に消耗している。世界保健機関(WHO)は、慢性疾患の予防と治療は、中国の医療費の80%を占めると予想した。今後10年間で、心臓病、脳・心臓血管疾患、糖尿病等の疾病による早死により、5580億ドルの経済損失が生じると見られる。また2015年には、中国の慢性疾患による医療費が5000億ドルを超えるとされている。世界銀行は、中国の脳・心臓血管疾患による死亡率を1%下げることができれば、今後30年間の全体的な経済効果は、2010年のGDP総額の68%(10兆7000億ドル)に相当すると予想した。
北京大学首鋼医院の王健松副院長は、「慢性疾患は経済的な負担をもたらし、また個人・家庭・社会・国家全体の幸福感を著しく損ねる」と指摘した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年8月18日