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japanese.china.org.cn | 07. 04. 2015

星から来た子供たち-自閉症児の世界に近づく

タグ: 自閉症 患者 治療 費用

3月30日、北京はしとしとと霧雨が降り、じめじめした空気の中に春の息吹が漂っていた。1人の可愛い男の子が雨の中に佇み、たまに振り返りきらめく笑顔を見せた。小雨(仮名)と名付けられたこの子は2歳半の時に自閉症と診断され、今は2歳児並みの知力レベルしかを持っていない。

自閉症児と診断されてから、小雨ちゃんはお母さんとともに故郷を離れ各地を流浪し、さまざまなトレーニング機関を出入りしてきた。今回、彼らは北京の星星雨教育研究所にたどり着いた。

小雨ちゃんは頭を下げ、プラスチックの卵の殻をいじることに熱中し、ひっきりなしにそれを開けたり閉めたりしている。若いお母さんは温かみに満ちた眼差しで我が子を見ながら、「小雨ちゃんはこれが大好きで、飽きずにこの動作を繰り返している。彼はまだ幼すぎて特別な趣味はないが、人とのふれあいが苦手などの自閉症患者の典型的な特徴がすでに現れている。私たちが早いうちに気づいたため、彼を連れて多くの治療機関に行った。外に家を借りて治療を受ける生活は1年余り続き、この病気は治らないものだとようやくわかった…」と語った。

「小琪ちゃん、早く戻ってきなさい!」突然響いた叫び声が小雨ちゃんのお母さんの話をさえぎり、別の若いお母さんが叫びながら教室を飛び出した。「また奇奇を見に行った!」と言いながら、彼女はきれいな女の子を連れてきた。「奇奇」は学校の廊下に貼られたアニメキャラクターである。小琪(仮名)ちゃんは、手すりにつかまり「奇奇」の絵をじっと見ることが大好きで、そのキャラクターを自分の親友だと思っているという。

「それぞれの自閉症児がそれぞれのことに興味を持っており、彼らは自分が興味を持つ世界で生きている。自分の子が自閉症患者だと知った瞬間、数多くの親が死にたい気持ちになり、子供のために苦しみながら生きているだけである。事実として受け入れるまでの気持ちは、苦しいとしか言いようがない」と、小雨ちゃんのお母さんは悔しそうに語った。

教室で、これらの「星からきた子供たち」は、紙に同じ図案を繰り返し描いたり、ぐるぐる回るおもちゃをじっと見たり、何度も立ちあがって外に走ろうとするが何度も親に引き戻されたりし、憂慮せず自分の趣味にふけている。

子供を連れてここのトレーニングに参加しに来た親たちの多くは、地方から上京し、この近くの借家に住んでいる。「今の経済状況では家賃とトレーニングの費用を払うのがやっと。毎月の1人あたりの治療費は5000~6000元で、条件が良いところだと毎月1万元もする。国に負担してもらえる治療費は、患者の家庭にとっては焼け石に水である。また、その要件も比較的厳しく、戸籍地以外の場所で治療を受ければ支払われない。子供が幼稚園に入るべき年に達したが、受け入れてくれる学校があるかどうかが大きな難問である」と、これらの問題に言及した小雨ちゃんのお母さんは顔に憂わしげな表情を浮かべた。

自閉症患者の家庭生活を物語る映画『海洋天堂』に登場した「大福ちゃん、あなたが生きて私が亡くなったら、誰が世話してくれるのか」という父親のつらさと苦しさを含んだせりふは、自閉症患者の家庭が最も心配する問題である。

4月2日は特殊な日である。自閉症患者やその関連の研究、診断に対する関心度を高めるため、国連は2008年、毎年4月2日を「世界自閉症注目の日」と定めた。「現在、中国の自閉症患者は約160万人に達している。このグループは独特な文化やルールを持っている。普通の子供と子供の間にでさえ大きな違いがあり、これらの自閉症患者の差の大きさは更にいうまでもない。われわれは差異性を尊重し、自閉症患者と平等に共存すべきである」と、星星雨教育研究所の孫忠凱執行主任は語った。

「この取材を受けた理由は、同情を得るためではなく、社会にこのグループにより注目し、このグループをより理解し尊重してもらうためである。4月2日が過ぎても注目してくれる人などいるのか」という小雨ちゃんのお母さんの言葉が印象に残っている。

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