人は約3分の1の時間を睡眠で送る。睡眠の質が健康に対して、極めて重要な力を発揮することが分かる。ところが中国睡眠研究会が発表した調査結果によると、中国の成人の不眠の発生率は、4割弱に達するというのだ。
催眠術師という職業が近年、密かなブームになっている。しかし催眠術という業界は、多くの人にとって神秘のヴェールに包まれている。催眠術はメンタルケアの道具で、言語により患者の潜在意識の扉を開き、観念の変化を促す。こうしてある種の習慣を改善し、心の問題を解消する。
張思娜氏は今年、催眠術師になり9年目になる。外科医の彼女は2008年に、医療チームと共にブン川地震の救助活動に駆けつけた。張氏は「ブン川から戻ってくると、気分が悪くなった。外出も会話も仕事もしたくないが、理由が分からなかった。その後、PTSD(心的外傷後ストレス障害)であることが分かった」と話す。
心の病に苦しめられた経験から、張氏は心の健康の重要性を意識するようになった。そこで2009年にそれまでの職を辞し、研修を経て、催眠術による治療室を開いた。
催眠術はプライベートな治療室内で行われる。催眠術に必要な静かな環境を整え、メンタルケアのプライバシーを保護することもできる。施術開始30分前、彼女は治療室の換気を行う。「くつろげる快適な環境を作ることで、患者をリラックスさせることができる」
催眠術はダイエット、自信の強化、ストレス解消、さらには出産に用いることができるが、メンタルケアの一つの道具にすぎない。催眠術師は心理カウンセラーでもあり、メンタルケア中に催眠術を施すかは、具体的な状況に応じて決める。心理カウンセリングには、催眠術の他にも話し合いが含まれる。
催眠術師の張氏は仕事で、多くの患者の悩みを聞く。この悩みは、彼女の気持ちに影響を及ぼす。「催眠術師は一般人と異なり、悩みがあり不眠になっても盲目的に薬に頼らず、不眠の原因を振り返る。自分の問題を解消し、根本的に不眠を追い払う」
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年3月27日