
「目の前にありますこのヨーロピアンスタイルの2階建て建築は溥儀と皇后が暮らした宮殿・緝熙楼でございます」。長春市偽満皇宮博物院の解説員の程喆さんは笑顔で参観者への説明を行っていた。清朝最後の皇帝である愛新覚羅・溥儀が居住していたこの偽満州国の「傀儡宮殿」は、中国に現存する3大宮廷遺跡の一つだ。90後(1990年代生まれ)の程喆さん(女性)は偽満皇宮博物院で働き始めて1年余り。すでに800回にわたって解説を行い、「目を閉じていても宮殿から出てこれる」ほどこの場所を熟知するようになった。
吉林警察学院法学専攻を卒業した程喆さんは在学期間中、各種の朗読コンクールに参加するのが好きだった。偽満皇宮博物院が公開で求人を行った際、程喆さんは見事試験を通り、解説員となった。「私たちのこの職業は、身長に対して厳格な要求があり、168cmから172cmでなければならない。スチュワーデスに対する身長の要求と同じだ。発音も正しくなければならず、普通話(標準中国語)レベルは二級甲に達している必要がある」と程喆さんは笑って語る。
2冊分の解説のセリフを程喆さんは一カ月かけて覚え、各種の歴史的な事件を一から学ばなければならなかった。解説員の難しさは、自分で理解するだけでなく、自分の解説を通じて参観者に理解させなければならないということにある。「参観者への解説を始めたばかりの頃は教科書を機械的に暗唱するだけで、双方向の交流はなかった。その後徐々に、参観者との交流を通じて、年齢や地域の異なる参観者に対し、彼らの知りたい分野を重点として解説するようになった」。程喆さんは、「参観者に評価される度、嬉しく感じ、満足を覚える」と語る。
「私たち解説員は半軍隊式の管理を受けている。毎日朝8時前には出勤し、化粧を直し、仕事着に着替える。8時10分には隊列を組んで運動場に行き、朝の体操を始める。朝の体操は手話体操とマナー体操、発音体操に分かれ、どれも解説員が自分で編成する。これには毎日、多くの見物者が集まり、写真を撮っている」と程喆さんは語る。
程喆さんは毎日朝8時半から参観者を迎え、一日の解説業務を正式に開始する。忙しい時の解説は一日5回に及ぶ。宮廷の敷地を一回りして参観者に解説するには一時間半かかる。「一日が終わるまでには、『微信』(WeChat)の歩数カウントではいつも上位に入っている。食事を摂ることも水を飲むこともできずに次の解説に入ることもしょっちゅうだ。足にはタコができ、喉には慢性の炎症を抱え、夏には真っ黒に日焼けする」と程喆さんは語る。
ほかの人が休んでいる祝日は、程喆が一番忙しい時だ。「ある日、母が故郷から私に会いに長春にやって来た。その夜、床に就いた私はすぐに、『こちらは溥儀の自家用車、米国パッカード社製でございます』と始めたという。母は笑って、解説をありがとうと言っていた」と程喆さんは振り返る。
さまざまな参観者により良い解説を提供するため、程喆さんは、歴史や服飾、建築などの分野についても学び、自らの知識を広げている。最近はテレビ番組の収録にも参加した。程喆さんは、絶え間ない学習と蓄積を通じて、さらに良い解説を参観者に提供していきたいと考えている。
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