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japanese.china.org.cn |14. 04. 2018

自閉症の子供たち、音楽で心の声を表現

タグ: 自閉症 医療機関 記憶 音楽



 「テキーラ、テキーラ、テキーラ!」北京国家大劇院音楽ホールで9日、天星さんがトランペットを掲げ、ホール全体の演奏者や観客と共に叫んだ。このコンサートは、上海市出身の16歳の自閉症の少年にとって、4回目の北京公演となった。


 コンサートのテーマは「愛は都市にあり――関愛自閉症慈善コンサート」で、中国児童少年基金会が主催し、上海市慈善基金会などが共催。上海曹鵬音楽センター、天使知音サロンなどが事務局となり、今年ですでに10回目の開催となる。


 コンサートでは92歳と高齢の有名指揮者、曹鵬さんが指揮棒を握り、天使知音サロンの自閉症の子供達を率い、上海都市交響楽団、上海学生交響楽団の演奏者と共に、国内外の名曲13曲を演奏した。


 自閉症は幼少期に起因する、社会的な交流・コミュニケーションの障害、興味範囲の狭さ、単一的な行為の重複を特徴とする発育障害で、患者は「お星様から来た子供」と呼ばれることが多い。


 原因不明のため、自閉症の多発性は「世紀の謎」と呼ばれている。研究によると、家族が児童の成長の異常に気づき、初めて医療機関に連れて行くまで、通常13.7カ月の遅れがある。そして児童が初めて自閉症と診断されるまで、平均11.7カ月の遅れがある。


 16歳の天さんは人と交流できるが、母の劉雨さんは「緊張するとろれつが回らなくなる。記憶力や方向感覚が良く、配車サービスやモバイル決済を利用できる。しかし一人で外出するのが心配になることもある。自動車が大好きで、じっと見つめて我を忘れることもあるからだ」と述べた。


 自閉症と診断されると、天さんは断続的にリハビリを受けに行ったが、長続きはしなかった。


 上海曹鵬音楽センターは2008年、上海市慈善基金会と慈善サービスプロジェクト「天使知音サロン」を開始した。自閉症の患者に音楽の薫陶を受けさせ、外の世界との交流手段を持たせることが狙いだ。


 天さんは2012年に同サロンを訪れ、トランペットの練習を開始した。サロンのボランティアらは、自閉症の児童に音楽を聴かせるところから始め、興味を養い音楽のセンスを掘り起こし、楽器の演奏を教える。


 天さんは演奏が大好きで、サロンからも披露する多くの機会をもらった。楽団と共に英国、日本、イタリアなどで公演を行った天さんは「サロンには演奏、歌、ダンスがあり、とても喜んでいる」と話した。母の劉さんはこれが子供の自信を深め、好循環を形成すると感じている。「息子は小さな子供と遊ばなかったが、今はサロンに来る小さな子供と遊ぶ」


 サロンは毎週水曜日に体験教室を開き、子供に書道やマナーなどを教える。この教室はすでに2年弱開かれている。プロのボランティア教員が授業をし、子供たちのコミュニケーション能力が高まっている。また社会への還元を開始し、公益目的の演奏を行っている。


 中国児童少年基金会は民間の力を借り、2017年5月に「中国自閉症関愛基金」を共同設立した。天使知音サロンは中国児童少年基金会が初めて認定した、「中国自閉症児童関愛基金実践基地」だ。


 劉さんは未来について、「一般人の生活」を最も多く口にした。「息子が一般人の生活を遅れれば、私としては満足だ」


 大人の自閉症患者にサービスを提供する組織の不足が深刻だ。中国の既存のリハビリ施設は、12歳以下の児童を受け入れることが多く、12歳以上の児童と青少年については合理的な受け入れ場所がない。特に大人の自閉症患者を対象とする福利制度がない。大人の自閉症患者の介護や雇用などの問題は、その家庭が最も懸念する問題になっている。


 92歳の曹さんはコンサートで、上海曹鵬音楽センターが自閉症専門学校の設立準備を積極的に進めていると話した。「彼らを理解・支持し、受け入れ、愛をもって接して欲しい。彼らに自分たちの学校を与え、健康的に成長できるようにして欲しい。私たちは関連部門に、そう呼びかけている」

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