「鷹も越えることのできない雪山が世界の最果てだ」キルギスタンのジャララバードで暮らす農家の男性(以下「彼」)はこれまで主に、この見渡す限りの世界でしか暮らしてこなかった。
キルギスタンは内陸国で、山脈が国土全体に横たわっている。彼の家から眺めると、遠くにはナルイン川と一年を通じ雪が溶けない山が見える。近くには牛や羊が自由に駆け回る草原がある。初めてここを訪れた人から見れば、快適な風景に見える。ところが彼やこの山間部で暮らす多くの人にとっては、周囲には越えがたき自然の壁がある。
キルギスタンの首都ビシュケクと南部のジャララバードとオシは、この細長い国の重要な経済エリアだ。ところがこれらの都市を結ぶ道路は長年に渡り整備されておらず、幅も十メートルほどと狭い。道路が整備されず、物流が滞り、現地の経済発展を妨げている。
中国輸出入銀行の低金利融資により、キルギスタンは第二南北道路の建設を開始した。中国路橋工程有限公司(以下「同社」)は同プロジェクトの1・2期の建設権を獲得し、2014年より全長250キロ以上の同プロジェクトの建設を開始している。
同社の作業員は数年に渡り、地震帯、寒い高原、整合性の低い岩といった不利な要素を克服し、険しい山の中で徐々に道路を敷設した。金哲氏は「2021年に1・2期が竣工すれば、キルギスタンの多くの道路建設記録を更新することになる。最長の連続ビーム橋、独立後に建設された最長の道路トンネル、一度に建設された最長の道路プロジェクトなどだ」と話した。
南北道路は現在、彼の自宅付近まで敷設された。彼も農作業が忙しくない時間には、同社の運転手になっている。現地の一般人も待ちきれないとばかりに車を運転し、ジャララバードなどの大都市に行き商売をしている。この道路は現地人から親しみを込めて「中国の道路」と呼ばれている。
ジャララバード州の関係者は、「中国の道路」はここで暮らす一般人が新たな世界に向かうための扉を開くと述べた。