四川省涼山イ族自治州昭覚県龍溝郷は古里拉達大峡谷の中に位置する、標高の高い半農半牧の寒冷地だ。昭覚県の町から遠く離れた、貧しい郷鎮の一つだ。西南医科大学の夏紀毅准教授はコガネバナの専門家で、龍溝郷の脱貧困活動に取り組む幹部だ。夏氏は2018年に科学研究資金を使い、長年研究しているコガネバナを平均標高2450メートルの龍溝郷に植えた。試験栽培されたコガネバナは同年、1ムーあたりの生産量が460キロに、1ムーあたりの収入が3220元前後に達した。現地住民のじゃがいも栽培の収入の2倍、ソバの3倍にのぼった。
西南医科大学貧困扶助チームの協力を受け、龍溝郷は科学技術による脱貧困で産業発展に火をつける「コガネバナ産業脱貧困」路線を策定した。四川省科学技術庁、西南医科大学、涼山イ族自治州科学技術局薬剤栽培貧困扶助プロジェクトの支持を受け、龍溝郷は2019年にコガネバナ栽培面積を160ムーに拡大した。さらに標高2850メートルの波火爾且高山の傾斜地でコガネバナの試験栽培に成功した。同郷は今年、面積250ムー以上の高標高コガネバナ栽培基地を建設した。コガネバナの栽培の成功により、龍溝郷の約100世帯・600人の貧困人口の増収を直接けん引し、約1000人の増収を間接的にけん引した。
1ムーあたりの収益をさらに増やすため、龍溝郷はコガネバナ全株革新的開発・利用プランを立てた。コガネバナの高付加価値加工、産業チェーンの重点をコガネバナ茶の開発に置いた。四川省蒙頂山のベテラン茶農家との協力により、薬用以外のコガネバナの柔らかい芽と葉を利用しコガネバナ茶を開発した。またこれを「黄金茶」と名付け、生産工場「黄金茶坊」を建設した。「黄金茶」の開発成功により、現地のコガネバナ栽培の1ムーあたり収入が5000元前後に増加した。同郷が今年、現地住民に支給したボーナスや管理補助などはすでに35万元にのぼっている。小さなコガネバナは、大涼山の山奥で暮らす貧困者に向け、貧困から脱却し富を築く「黄金の道」を敷いた。