アメリカのサブプライム・ローン危機によって引き起こされたグローバルな金融の激動を背景として、国際経済環境の不確定で不安定な要素は目に見えて増えている。全般的に見て、中国の対内対外政策は引き続き安定の中での前進を目指す動きを保ちつづけており、対米、対日関係はいずれも相対的な安定を実現するとともにいくらかの発展をとげ、周辺情勢にさまざまな不確定な要素があるとはいえ、全般的には大きな障害はない。こうした条件の下で、中国は第7回アジア欧州会議(以下、ASEM会議と略)を迎えた。私達は大体、以下の4点から中国に対するこの会議の意義を見て取ることができる。
まず、中国外交の布石の中で、多角的な国際会議と多国間協力は重要な舞台である。
今年はASEM会議発足以後12年目の年で、そして中国が主催国となり、今年の中国外交の中核の1つである。ASEM会議の45のメンバー国のトップあるいはその代表が北京に集うことになっている。これは明らかに首脳外交をくり広げるための非常に重要なプラットフォームの1つとなるものである。このプラットフォームにおいて、中国と各国のトップは一連の会談を行うことになる。これまでの中国のASEM会議に参加した経験から見ると、時には成功裏に行われた1回の会談は1回の公式訪問に劣るものではない。今回のASEM会議はアメリカのサブプライム・ローン危機によるグローバルな金融の激動という特定の情勢の下で開催されるものであり、会議の議事日程には金融危機に対応する内容が加えられることになる。これもASEM会議が引き続き利用すべき、役割を果たすことのできる多角的な舞台であることを示している。
その次に、ASEM会議という多角的なメカニズムの下でより多くの二国間のことを推し進めることができる。
中日関係から見てもそう言え、今年5月、胡錦涛主席が日本を訪問し、両国は中日の戦略的互恵関係を推し進める共同声明を発表した。この条件の下で、中日両国に多角的メカニズムの中でさらに協力を発展させ、相互間の信頼を深める可能性があるかどうか?こうした問題は検討することもできる。たとえばASEM会議に事務局を設置すべきかどうかということは、すでに数年も語りつがれ、日本は「バーチャルな事務局」を設置する考え方を打ち出したことがあるが、今なお懸案となっており、未解決のままである。適切にASEM会議のメカニズム化を強化する必要ということから見て、筆者個人の未熟な見方では事務局の設置を推し進めるとともに、それをアジアに設けるべきであると考えている。これを前提として、私達はASEM会議事務局を日本に設置することを支持してもよく、これは中国の利益を損なわないばかりか、マルチラテリズムの発展を推進することに役立ち、同時に中日両国間の相互信頼を深めることにもプラスとなるものでもある。このように多角メカニズムの下で両国間のことをおしすすめ、多角的な協力で二国間の協力を促すことは、じっくり考えるべき構想である。
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