中国の知的所有権保護の新たな進展


九、知的所有権の司法保護


ここ数年来、中国の検察機関は知的所有権侵害の刑事事件を取り調べ、容疑者を逮捕、起訴し、法によって関係ある刑事訴訟活動に対し法的監督を行う職責を真剣に履行し、知的所有権侵害犯罪容疑のある多くの刑事事件を処理した。2000年から2004年にかけて、各クラスの検察機関は知的所有権侵害犯罪容疑者2533人を逮捕し、2566人を起訴するのを許可した。そのうち、2004年に逮捕を許可した知的所有権侵害事件犯罪容疑者は602人、起訴した者は638人である。2004年、全国の検察機関は、製品偽造と知的所有権侵害犯罪を取り締まる特別立件監督行動を繰り広げ、関係ある行政法律執行機関が法によって公安機関に犯罪容疑事件を移送するのを督促し、公安機関が法によって立件すべきであるがいまだに立件していない事件を法によって立件するのを監督し、犯罪容疑事件をすかさず司法プロセスに入らせるのを確保し、同時に偽造品製造・販売と知的所有権侵害の違法犯罪行為を放任、庇護する国家公務員の職務犯罪事件を多く調査、処理した。

長年来、中国の各クラス人民法院は、「公正と効率」というテーマをめぐって、知的所有権の民事・刑事裁判をたえず強化してきた。各種の知的所有権訴訟事件の審理を通じて、内外の知的所有権所有者の合法的権益を平等に保護し、法によって知的所有権侵害行為に制裁を加え、知的所有権を侵害する犯罪行為を厳しく取り締まり、社会の公平と正義を実現させるためたゆまずに努力を払っている。

1981年から技術契約紛争事件を受理して以来、中国の法院は知的所有権裁判分野をたえず広げ、著作権、商標、特許、不当競争、コンピューター・ソフト、植物新品種、集積回路配置図設計など各種の知的所有権事件の裁判を相次いで行い、知的所有権の裁判地位を確立した。1998年から2004年までに全国の法院が結審した知的所有権民事一審事件は3万8228件、刑法分則第3章第7節に記された知的所有権侵害犯罪の一審事件は2057件、判決を言い渡した犯罪者は2375人であった。そのうち、2004年に全国の法院が結審した知的所有権民事一審事件は8332件、刑法分則第3章第7節に記された知的所有権侵害犯罪の一審事件は385件、判決を言い渡した犯罪者は528人であった。このほか、2004年に全国の法院はさらに偽造劣悪商品生産販売犯罪事件932件を結審し、犯罪者1453人に判決を言い渡し、不法経営犯罪事件1434件を結審し、犯罪者2103人に判決を言い渡した。上述二種類の犯罪事件のうち、知的所有権侵害犯罪に属する事件がかなり多くある。

法律を的確に適用し、法律執行の尺度を統一するため、最高人民法院は知的所有権事件の裁判経験をしめくくった上、法によって一連の関係ある司法説明を制定し、一連の重要な知的所有権の法律適用原則を完全なものにして、知的所有権の裁判に現れた新しい問題をすかさず解決し、各クラス人民法院が知的所有権事件を正確に審理するよう指導することに対し重要な役割を果たしている。例えば、2001年6月に最高人民法院が公布した「起訴前に特許権侵害を停止した行為の法律適用問題に関する若干の規定」は権利侵害行為をすかさず制止し、所有権所有者の損害拡大を効果的に防止するために訴訟措置を提供している。最高人民法院が1998年12月に公布した「不法出版物刑事事件を審理するにあたって具体的に応用する法律の若干の問題に関する説明」は、著作権侵害犯罪の罪状決定と量刑基準を明確にしている。最高人民法院と最高人民検察院が2004年12月に共同で公布した「知的所有権侵害刑事事件を処理するにあたって具体的に応用する法律の若干の問題に関する説明」は、刑法の規定を厳格に遵守し、中国の国情と司法の実状を総合的に考慮して、知的所有権侵害犯罪の罪状決定基準を適当に引き下げ、刑法の関係条文の操作可能性を適当に高め、知的所有権侵害刑事事件の処理に適用する具体的な法律根拠を提供しているが、これは知的所有権侵害の犯罪行為を効果的に取り締まることにとって重要な意義がある。

中国の法院は知的所有権担当裁判官の職業化建設を非常に重視している。長年の裁判の実践と計画的訓練を経て、法律に精通し、外国語が堪能で、豊富な裁判経験と科学技術の専門知識を身につけた素質の高い知的所有権裁判官を多数養成し、わりに健全な知的所有権裁判組織を徐々につくり上げ、知的所有権裁判の効果的展開を人員、組織の面から力強く保障している。

中国の法院はたえず知的所有権司法分野の国際交流と協力を強化し、国外の知的所有権裁判の有益な経験と成功した方法を学び、それを参考にしている。最高人民法院は世界知的所有権機関、欧州連合(EU)などとの友好協力を積極的に繰り広げ、知的所有権シンポジウムと養成クラスを何回も催して、好ましい効果をあげ、中国の知的所有権の司法保護のレベルアップを力強く促し、知的所有権裁判を新たなレベルに達するようにたえず推し進めている。