中国の高齢者事業の発展

三、高齢者の医療・保健


高齢者の医療保障と医療衛生サービスを強化し、高齢期にある人たちの健康を向上させることは、高齢化社会の全国民的健康と生命の質の向上を図るための重要な内容である。中国政府は都市部・農村部における高齢者の医療保障の強化を重視し、高齢者向けの医療衛生の仕事に力を入れ、高齢者の医療衛生サービスを発展させ、高齢者の基本的医療需要の保障に努め、高齢者の心身健康の増進を目指している。

都市と農村における高齢者の医療保障の強化

国は社会の統一的計画と個人口座を結びつけた都市部の職員の基本医療保険制度を創設し、定年退職者個人が基本医療保険料を納めず、個人口座への振込金額と個人負担医療費の比例を適当に優遇すると規定している。各地域では普遍的に高齢者が患いやすい病気、慢性疾患などの高額な医療費を社会の統一計画基金給付の範囲に組み入れ、定年退職者個人の給付比例を減らしている。2005年末現在、全国の基本医療保険に加入している定年退職者は3761万人に上るものとなった。

国は多種多様な補足的な医療保障措置を積極的に実行して、高齢者の医療費負担の軽減に努めている。公務員の医療費補助方法を実施し、定年退職者を含む国家公務員に医療費の財政補助を行っている。政府は、各地が高額医療費の補助方法を制定することを推し進め、個人納付または企業納付によって資金を調達し、ひどい病気、重い病気や長期慢性疾患を患った職員と定年退職者のために、統一計画基金の最高上限額を超える医療費を補助している。一定の経済力のある企業は補足医療保険を設け、基本医療保険待遇以外の医療費を補助している。中国政府は都市部社会医療救助制度の確立を積極的に模索し、財政による支援、宝くじによる公益金、社会からの寄付など多種多様なルートを通して医療救助基金を調達し、経済的に困っている人たちの治療に補助を与えている。2005年末現在、医療救助を実施している試行県(市、区、旗)は1119に達し、年間で合計163.3万人の人たちを助けた。

2003年から、国は個人による納付、集団による扶助、政府による援助を結びつけた新しいタイプの農村合作医療制度の試行の仕事に着手した。2006年6月末現在、全国の新しいタイプの農村合作医療の試行県(市、区、旗)は1399に増え、農業人口4.95億人をカバーし、3.96億人の農民が新しいタイプの農村合作医療に加入し、試行地域で新しいタイプの農村合作医療に加入した高齢者の比率は73%を上回った。全国で新しいタイプの合作医療に加入した農民のうち2.82億人が補償を受け、補償金144.12億元が支払われた。国は、各地が新しいタイプの合作医療に加入した70歳以上の農村の高齢者に優遇策を与え、高齢者の特殊な需要への配慮を求めている。農村医療救助制度を積極的に創設し、政府の財政支援と社会からの寄付とを結びつけて救助資金を調達し、農村の「五つの保障」を受ける高齢者と経済的に困っている人たちの新しいタイプの農村合作医療への加入を助け、ひどい病気を患って医療費の個人負担が重すぎ、家庭の基本的生活にひびいている貧しい農民に補助を与え、高齢者の基本的な医療難をある程度緩和した。現在、31の省(自治区、直轄市)ではすべて農村医療救助制度が創設されている。2005年には農村で1112万人が医療救助を受け、10.8億元の救助資金が支出された。

中国は高齢者向けの特定項目の医療救助とリハビリ援助の仕事を積極的にくりひろげている。国の身体障害者事業発展要綱の実施によって、西部地区を重点とする「高齢者に再び視力を回復させる」プロジェクトなどを実行し、白内障の高齢患者約600万人に手術を施し、それに辺ぴな貧困地区の四肢に不具合のある高齢者、耳の不自由な高齢者に無料で義肢、補聴器を装着させ、身体障害のある貧しい高齢者の体の機能回復または機能補完を助けた。

高齢者の医療衛生サービスの発展

国は高齢者の医療衛生の仕事に対する企画・指導を強化している。「高齢者医療・保健第8次五カ年計画(1991~1995年)」を制定、実施し、高齢者の医療衛生の仕事の強化に関する政策的文書を二度も発布し、高齢者の医療・保健の仕事を「全国健康教育および健康促進活動計画要綱(2005~2010年)」「中国介護事業発展計画要綱(2005~2010年)」「中国精神衛生活動計画(2002~2010年)」など医療衛生の仕事の発展に関する一連の企画に組み入れた。全国の高齢者の医療衛生の仕事に対する指導・協調・科学的政策決定を強化するように、全国の高齢者の衛生の仕事の指導グループと高齢者の衛生の仕事の専門家諮問委員会を設置した。

国は、有力な大・中医療機構が老年病科または老年病外来診療部門を開設し、高齢者に対して専門サービスを積極的に提供することを奨励している。地域衛生計画により老年病の予防治療、高齢者リハビリ、ホスピス介護などのサービスを提供できる医療衛生サービス機構を設立している。各地の医療機構は70歳以上の高齢者に診察受付、受診、薬の受け取り、入院などの優先サービスと優遇サービスを普遍的に提供している。2006年に国は「国民経済と社会発展の第11次五カ年計画要綱」を公布し、心の温まる介護プロジェクトの実施、高齢患者と高齢身障者(80歳以上)向けの介護サービス施設の発展を重点として企画に組み入れた。

都市コミュニティーの医療衛生サービスシステムの構築を加速し、各地が高齢者の医療・保健をコミュニティーの医療衛生の仕事の重点とすることを促進し、高齢者に対して安全で効果的で利便性のある経済的な医療衛生サービスを提供することに努めている。各地は末端医療衛生機構のコミュニティー衛生サービス機構への転換を積極的に指導し、高齢者保健、医療介護、リハビリなどのサービスを展開している。2005年末現在、全国の都市はコミュニティー医療衛生サービスセンター(ステーション)を1.5万カ所以上設置し、95%の地区クラス以上の都市、86%の市管轄区、一部の県クラスの都市で都市コミュニティー医療衛生サービスをくりひろげている。末端医療機構は高齢者の特殊な需要に応じて、家庭往診、家庭介護、昼間における病状の観察、ホスピス介護などのサービスを提供いている。高齢者の一部の基本的な健康問題はコミュニティーで解決できるようになっている。

国は高齢者の健康の特性に応じて、医療衛生・保健についての広報を積極的にくりひろげている。ラジオ、テレビ、新聞・雑誌、コミュニティー広報掲示板など多種多様なやり方で高齢者の養生・保健常識をPRし、普及している。各クラスの病院は年間を通じて所在するコミュニティーに向けて健康講座を開き、慢性病患者に保健のためのアドバイスを行っている。国は健康な高齢者の基準を制定し、全国で健康な高齢者の評価の仕事をくりひろげ、科学的かつ健康な生活スタイルを積極的に普及している。心臓・脳血管病、糖尿病など慢性病の三段階の予防の仕事を強化し、高血圧症、糖尿病の予防治療マニュアル、管理案を作成し、逐次普及し、高齢者の慢性疾患の早期発見、早期診断、早期治療を促進している。1991年から、中国政府は老年病の予防治療に関する研究の仕事を国の科学技術計画に組み入れた。今では、老年病の予防治療研究機構の数は全国で50カ所以上に達する。

高齢者の大衆的スポーツ保健活動の推進

中国政府は高齢者の大衆的スポーツ保健活動を大いに推進し、高齢者の体位の向上と健康の増進を図っている。2005年末まで、全国で県以上の各クラス行政区、70%の都市コミュニティー、50%の農村の郷・鎮に高齢者体育協会を設立し、高齢者の大衆的スポーツ活動に対する組織と指導を強化した。ここ数年らい、国は「全人民保健プロジェクト」を実施し、公益的なスポーツ保健のスペースと施設の整備を強化し、高齢者にスポーツ保健活動のスペースを提供した。現在、全人民保健プロジェクトは3万カ所以上の施設を整備した。2001年から、中国は「億万高齢者保健活動」を組織、実施し、より多くの高齢者の注目を集め、スポーツ保健に仲間入りさせている。現在、日常的なスポーツ保健活動に参加している高齢者は全国で5800万人以上に達する。