中国の高齢者事業の発展

二、養老保障システム


経済社会の発展と人口高齢化水準にふさわしい養老保障システムを確立することは中国が高齢者事業を発展させるうえでの重要な任務と優先的な分野である。ここ数年、中国は政府、社会、家庭、個人と結びついた養老保障システムを段階的に確立し、完全なものにし、高齢者の基本的な生活を保障することに努めている。

都市部の養老保険システムの確立

ここ数年、中国政府は都市部の各種類企業の職員、個人商工業者と自由業者をカバーする統一的な都市部企業職員基本養老保険制度を逐次確立している。2005年末現在、全国の基本養老保険加入者数は1.75億人に達し、そのなかには4367万人の離休(1949年10月1日以前の革命の履歴をもち定年した者をさす)・定年退職した高齢者が養老保険待遇を受け、その年の養老保険基金支出は4040億元に上った。国は基本養老金調整メカニズムを確立し、職員の給料の増加と物価変動の状況に基づいて、定年退職した人員の基本養老金水準を適時に調整している。政府機関と事業体の職員の離休・定年退職制度を確立し、国の財政あるいは部門によって国の規定基準に基づいて年金が支出されているのである。

国は数多くのルートを通じて基本養老保険基金を調達し、人口高齢化に対応するための準備金を増やすことに力を入れ、企業の離休・定年退職人員の基本養老金が期限どおりに全額支出されることを確保している。基本養老保険基金の納入を強化し、2005年末現在、全国の基本養老保険基金残高総額は4041億元であり、その年に納入した総額は4312億元となった。財政による補助の取り組みの度合を大きくし、2005年に各クラスの財政補助基本養老保険基金は651億元となっている。全国社会保障基金を確立し、2005年末現在、全国社会保障基金の積立金は2010億元に達した。

国は補完的な養老保険を積極的に発展させ、条件の備わった企業が職員のために企業年金を確立するよう指導し、それに協力し、その費用は企業と職員がともに納入し、基金の十分な積立と個人口座管理を実行することにしている。2005年末現在、全国では2.4万の企業が企業年金を確立し、参加した職員は924万人に達した。国は個人の貯蓄的性格をもつ養老保険の展開を奨励し、数多くのルートに頼って高齢者の生活保障を強化している。

農村部の養老保障システム確立の模索

中国の高齢者の60%近くが農村に分布している。中国政府は農村の経済社会発展レベルに立脚し、耕地による保障と家族による扶養の機能を積極的に発揮し、農村部の社会養老保障制度の確立を模索し、数多くの農村における高齢者の基本生活を保障することに努めている。

耕地をベースとする養老の保障効果を発揮させ、数多くの高齢者も含む農民の土地請け負い・経営権を保護する。「中華人民共和国高齢者権益保障法」に基づいて、扶養者が高齢者の請け負った農地を耕し、高齢者のものである林木や家畜などを世話する義務があり、それによる収益は高齢者に属するものであり、それによって、高齢者の基本生活の収入源を保障する。「家族による扶養取り決め」を結ぶことを提唱し、扶養の内容と基準を規範化し、村(住民)委員会または関連組織に取り決めの履行を監督させ、高齢者の扶養を受ける権利を保証する。現在、中国の農村では「家族による扶養取り決め」を結ぶことがすでに全面的にくりひろげられ、2005年末までに、1300万余件の「家族による扶養取り決め」が結ばれた。

農村部の社会養老保険制度の確立を模索する。2005年末現在、全国の31の省(自治区、直轄市)の約1900の県(市、区、旗)では農村社会養老保険の仕事が実施され、5400余万人の農民が保険に加入し、積み立てられた保険基金の総額は約310億元となり、保険に加入した300余万人の農民は養老金を受け取り、その年に支出された養老保険金は21.3億元に上った。

いろいろな種類の保障制度を積極的に発展させ、農村の特殊高齢者層を優先に社会保障の範囲に組み入れている。働く能力を失い、生活のための収入源がなく、法定扶養者や面倒を見てくれる人もなく、あるいは法定扶養者や面倒を見てくれることになっていた人が確かに扶養する能力がない農村の高齢者に対しては、国に食生活、衣服、住居、医療、お葬式の費用を保障される「五つの保障」の制度が実施される。現在、全国で「五つの保障」を受けている高齢者は460万以上に上る。計画出産政策を行うことにした農村の一人っ子夫妻または女の子2人いる夫妻に対しては、60歳になった後、中央あるいは地方の財政に特別項目の資金が案配され、計画出産家庭奨励扶助制度を実施している。2005年末現在、この奨励を受けている人は135万人に達した。中国政府は都市化過程において土地を徴用された農民の養老問題を重視し、土地を徴用された農民の基本的生活と長期の生活費を確保し、土地を徴用された農民たちを次第に社会保障システムに組み入れている。現在、15の省(自治区、直轄市)が土地を徴用された農民に対する社会保障の方法を公布し、約600万人が社会保障の範囲に組み入れられ、約500億元の資金が調達された。

貧しい高齢者に対する救済制度の確立

中国政府は高齢者の貧困を緩和しなくすことを国の貧困対策戦略と高齢者事業発展計画に組み入れている。国は都市住民最低生活保障制度を確立し、一人当たりの収入が地元の最低生活保障基準より低い家庭に対し基準に基づいて補助を与えている。2005年には貧しい高齢者を含めた2233万人の都市貧困人口が最低生活保障金を受領し、基本的に保障すべき人をすべて保障したのである。農村で、国は特別な困難を抱えた世帯に定期的に一定額の救済と一時的生活救済制度を実施し、条件のある地域では農村最低生活保障制度の確立を積極的に模索している。現在、865万人の農村人口は農村における特別な困難を抱えた世帯に対する定期定額救済枠に組み入れられ、985万人の農村人口は農村の最低生活保障枠に組み入れられ、その中には、「五つの保障」という条件には合わない貧しい高齢者も含まれている。国は条件のある地域に養老センターを確立し、養老手当と高齢者手当を給付し、高齢者の生活を積極的に改善するよう奨励している。地方政府は開発的貧困救済に積極的に取り組み、より低い年齢の、健康で、働く能力のある貧しい高齢者が栽培、養殖や加工などの作業に従事できるよう手助けし、貧しい高齢者の生産による自助能力を強化している。社会の力の高齢者貧困救済の中での効力を積極的に発揮させ、各地の高齢基金会などの社会団体、企業および事業体と個人が慈善救済と社会互助を展開するよう促し、ペアを組んで手助けし、相手を特定して扶養するかまたは手助け、ボランティアサービス、訪問お見舞いなどさまざまな種類の救済のパターンを作り出し、全面的に貧しい高齢者に中味の濃い扶助を提供している。