中国の政党制度

六、多党協力制度と中国人民政治協商会議


中国人民政治協商会議は中国人民の愛国統一戦線の組織であり、中国共産党が指導する、多党協力と政治協商の重要な機構であり、中国において社会主義民主を発揚する重要な形式となっている。

民主党派は人民政協の重要な構成部分である。人民政協の構成において、民主党派のメンバーが各クラスの政協委員や常務委員、政協指導者メンバーの中で占める比率は比較的大きく、政協の各専門委員会の責任者や委員および政協機関の中でもいずれも一定程度の数を占めている。例えば、第10期全国政治協商会議第1回会議では、民主党派のメンバーと無党派人士で政協委員になった人は1343人で、委員総数の60%を占め、政協常務委員に任じられた人は195人で、常務委員総数の65.2%を占め、全国政協副主席に任じられた人は13人で、副主席総数の54.2%を占めた。省、市、県の各クラスの人民政協の中で、合わせて33万6000人の民主党派のメンバーや無党派人士が政協委員を担当した。民主諸党派が政協の各種の会議でその党派の名義で意見を出し、視察を展開し、提案を提出し、不正を告発し、社会状況と民意を反映し、調査と検査活動に参与するなどの諸権利は十分に尊重され保障されている。民主党派が人民政協で発揮する役割は、主として次の部分に現れている。

――政治協商に積極的に参与する。民主諸党派は人民政協の各種の協商方法を十分に運用し、国と地方の大政方針および政治、経済、文化や社会生活の中での重要問題に対して、民主諸党派が参加する人民政協活動の共同的事務に対して、政協内部の重要事務および愛国統一戦線に関するその他の重要問題に対して協商討論を行い、意見と提議を提出する。中国共産党中央委員会の主な指導者は毎年の元旦と中国人民政治協商会議全国委員会全体会議期間に民主諸党派と共に国是を討議する。政協委員を担当する民主党派のメンバーは他の政協委員たちと一緒に人民代表大会の主な会議に列席し、国の重大問題の協商討論に参加し、国の経済と人民の生活にかかわる大政方針や重大な問題について意見と提議を提出する。政協の常務委員会会議、主席会議、秘書長会議、専門委員会会議の内容は絶えず豊かになり、民主諸党派が政治協商にさらに広範に参与する条件をつくり出している。近年らい、経済社会が発展する中での重要問題をめぐって、民主諸党派は人民政協と政府の関係部門が行った特定項目の協商会に積極的に参加している。例えば2006年前後して、西部大開発の戦略をさらに推進すること、国家の中長期科学・技術発展計画要綱を着実に実行することを主な議題とする特定項目の協商会に参加し、広く言論発表の道を開き、衆知を集めて有益な意見を広く吸収し、政府の関連活動の展開を強力に促進した。

――民主的監督を真剣に展開する。民主諸党派が政協の視察、大会の発言あるいは他の形式での国の憲法や法律・法規の実施、重大な政策・方針の徹底的な実行、国の機関およびその職員の仕事に対して、建議と批評を通じて監督を行った。政協委員の中の民主党派のメンバーはまた、中国共産党委員会と政府関係部門が組織した調査と検査活動、あるいは司法機関や政府部門の特別招請監督スタッフなどを通じて民主的監督を展開した。1997年から2006年まで、民主諸党派中央は全国政治協商会議で370余回の大会発言(書面発言を含める)を行った。内容は改革、発展、安定などに関する一連の重大問題に及ぶ。例えば産業構造を優れたものにレベルアップすること、循環経済の発展を強力に推し進めること、災害の社会的な管理を重視し応急システムの建設を急ぐこと、農民工(出稼ぎ者)の合法的な権益を擁護保障し、社会保障システムを完全なものにすること、農村の文化建設を強化し、教育とりわけ基礎教育の投入を保障し、民営教育を積極的に推し進めること、公共衛生システム建設を強化すること、断固として分裂に反対し祖国の統一を促進すること、両岸の経済貿易交流などを発展させることなどがそれである。政協会議での民主党派の発言は、集団の力と知恵を十分に現している。彼らは政協会議の政治舞台を運用して、国是を自由に論じ、多くの意見と提議が受け入れられている。

――参政・議政を深める。人民政協に参加する民主諸党派のメンバーは、政治や経済、文化、社会生活における重要問題および人民大衆があまねく関心をもっている問題に対して調査研究を展開し、社会状況や民意を反映し、調査研究報告、提案、建議案あるいは他の形式を通じて、中国共産党と国家機関に多くの意見と提議を提出している。1990年から2006年まで、民主諸党派と民主党派メンバーの政協委員は、全国政治協商会議で合わせて2400余件の提案を提出している。例えば国を分裂させる行為に反対するための法律を早急に制定すること、農村税の改革、非公有制経済の良好な発展環境を強力に作ること、社会保障基金の監督メカニズムを設立すること、農村社会保障システムを構築することなどがそれである。その中の多くの提案が採択されて実施され、あるいは関係する法律の制定を促し、あるいは政策制定の重要な参考の根拠となった。