中国の政党制度

四、多党協力制度における政治協商


政治協商は中国の多党協力制度の重要な内容である。中国共産党が国の重要な方針・政策・事務を決定する前と実行する過程で、それらに関して民主諸党派と無党派人士と協議を行うことは、政策を科学的かつ民主的に決定する上で重要なステップであり、中国共産党が執政能力を高めるための重要な道すじである。多年にわたる実践を経て、多党協力制度における政治協商は2つの基本的な方法を確立した。一つは中国共産党が民主諸党派と行う協商であり、もう一つは人民政協において中国共産党が民主諸党派、各界の代表と行う協商である。

中国共産党中央が民主諸党派中央と行う政治協商には主として以下のものが含まれる。中国共産党全国代表大会と中国共産党中央委員会の重要な文献、憲法と重要な法律に対する改正提案、国の指導者の人選に対する提案、改革・開放推進に関する重要な決定、国民経済と社会発展に関する中・長期計画、国の全局にかかわる一部の重要な問題、重要な文献と重要な情況の通報と意見聴取、およびその他の協商すべき重要な問題である。

中国共産党中央が民主諸党派中央と行う政治協商の方法は主に以下のようである。中国共産党中央は民主諸党派の指導者を招き民主協商会議を開き、中国共産党中央の提起する大政の方針について協商を行う。中国共産党中央の主要な指導者は情勢に応じて不定期に民主諸党派の主要な責任者をハイレベルかつ小範囲の懇談会に招いて、意志を疎通させ、意見を交換する。中国共産党中央または中国共産党中央に依頼された関係方面が民主諸党派と無党派人士の代表を座談会に招き、重要な情況を伝えて交流し、民主諸党派の提案する政策上の意見を聴取したり専門テーマをめぐって討議を行う。民主諸党派中央は会議で協商する以外に、書面で中国共産党中央に国の大政の方針およびその他の重要な問題に関する提案を行うことができる。

中国共産党中央が民主諸党派中央と行う政治協商のプロセスは主に以下のようである。中国共産党中央は年次活動の重点に基づき、政治協商に関する年間計画を研究し提案する。協商の議題は事前に民主諸党派中央、無党派人士に知らせ、関連材料も提供する。民主諸党派中央は関係者を組織して、議題の内容を読みとり、調査・研究を行い、協商の議題について集団討議を経た後、意見と提案を提出する。協商の過程では十分に民主を発揚し、幅広く意見聴取を行い、小異を残して大同に就く。中国共産党中央は民主諸党派中央、無党派人士の意見と提案を真剣に検討した後、重要な意見と提案の採用状況をすみやかにフィードバックする。

20世紀90年代いらい、中国共産党中央が民主諸党派との協商を強化する中で、協商内容は絶えず充実し、協商プロセスはしだいに規範化した。1990年から2006年末にかけて、中国共産党中央、国務院および依頼された関連部門が開いた協商会や座談会、情況報告会は230回余りに達し、そのうち中国共産党中央総書記が主宰した会議は74回に及んだ。ここ3年らい、民主諸党派や無党派人士は協商の中で、『党の執政能力建設の強化に関する中国共産党中央委員会の決定』『社会主義調和社会構築の若干の重要な問題に関する中国共産党中央委員会の決定』『中国共産党の指導する多党協力と政治協商制度の一層の強化に関する中国共産党中央委員会の意見』など多くの重要文献に対して求められた意見書、および全国人民代表大会と全国政治協商会議の指導者の人選、憲法改正および立法法や反分裂国家法、監督法、物権法など多くの法律草案、『中華人民共和国国民経済・社会発展に関する第11次5カ年計画要綱』など国民経済と社会発展に関する中・長期計画、社会主義の新農村建設、金融体制改革、衛生体制改革および教育体制改革など、国の経済と人民の生活にかかわる重要な問題について、意見と提案を出し、そのうちの多くが中国共産党中央、国務院および関連部門に採用されている。

そのほか、民主諸党派中央や無党派人士の代表は中国共産党中央に、書面で200件余りの重要な意見と提案を提出している。それらは経済、政治、社会、教育、科学技術、文化、衛生、国防、外交、香港・澳門(マカオ)・台湾・華僑事務などいろいろな分野をカバーしている。例えば、長江デルタ地域や環渤海地域、海峡西岸経済区、北部湾地域などの地域の経済社会発展の問題、三江源地域(長江、黄河、瀾滄江の水源地)や未発達地域の資源開発に対する補償メカニズム改革などの問題、文化体制改革の推進、伝統文化の発揚などの問題がそれである。これらの意見と提案は中国共産党中央や国務院に重視された上で採用され、良い社会的効果をもたらしている。

中国共産党の各クラスの地方の党委員会は地方の重要な問題について、地方の各クラスの民主党派組織の責任者と協商することもすでに制度化している。政策決定の科学化と民主化は、中国共産党各クラスの党委員会と民主党派の幅広い協商により、強力に推し進められた。

人民政協における中国共産党と民主諸党派、無党派人士、各界の代表の協商は、政治協商のもう一つの重要な様式である。人民政協は中国共産党、民主諸党派、無党派人士および各界の代表を含む34部分から構成される。人民政協の政治協商を強化することは、社会主義民主政治を発展させ、社会主義政治文明を建設する上で大切なことである。人民政協の役割をさらに発揮させることは、中国の社会主義政治制度と政党制度の特徴と長所を具現化し、発揮させることであり、民主的な団結、生気はつらつとした活気、安定して調和のとれた政治局面を強め発展させる上でプラスになるものである。