中国の気候変動政策と行動

七、気候変動分野における国際協力を強化する


中国は「互恵・ウィンウィンで、実践的で効果がある」という原則に基づき、気候変動に対応する国際協力に積極的に参加し、推し進め、建設的な役割を発揮している。近年来、国家主席と国務院総理がそれぞれ主要8カ国(G8)首脳と発展途上国首脳との対話会議、アジア太平洋経済協力機構(APEC)首脳会議、東アジアサミット(EAS)、博鰲(ボアオ)アジアフォーラムなどの多国間および二国間の交流の中で、気候変動の国際協力に対する中国の立場を述べ、気候変動に対する世界行動を積極的に推進している。

中国は長期にわたり『気候条約』と『京都議定書』の枠組の下での活動に積極的に参加し支持し、『気候条約』と『京都議定書』の効果的な実施に力を入れている。中国の専門家は政府間の気候変動専門委員会の活動に積極的に参加し、関連する報告書の作成に貢献している。中国は『気候条約』と『京都議定書』の下での自国の義務をまじめに履行し、2004年に『中華人民共和国気候変動初期国家情報通報』を提出し、また2007年6月に『気候変動対策国家方案』と『中国気候変動対策科学技術特定行動』を公布した。

多国間協力の面において、中国は「二酸化炭素隔離リーダーシップ・フォーラム」(CSLF・Carbon Sequestration Leadership Forum)、「メタン市場化パートナーシップ」(Methane to Markets Partnership)、「クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ」(Asia-Pacific Partnership on Clean Development and Climate)の正式なメンバーであり、「主要8カ国(G8)と5つの主要発展途上国との気候変動対話」および「エネルギー安全保障と気候変動に関する主要経済国首脳会合」の参加国である。アジア太平洋経済協力機構(APEC)首脳会議で、中国は「アジア太平洋森林回復と持続可能な管理のネットワーク」の設定を呼びかけ、また「気候変動と科学技術革新国際フォーラム」を開催した。中国は気候変動分野における国際社会の交流と相互信頼に力を入れ、公平かつ効果的な気候変動に対応する世界メカニズムの構築を促進している。

二国間の交流では、中国は欧州連合、インド、ブラジル、南アフリカ、日本、米国、カナダ、イギリス、オーストラリアなどの国々や地域と気候変動に関する対話と協力メカニズムを確立し、気候変動を相互協力の重要な内容に位置づけた。中国は力の及ぶ限り、アフリカや小島嶼発展途上国が気候変動対策能力を高めるよう援助している。『中国対アフリカ政策文書』は、気候変動などの分野において中国がアフリカとの協力を積極的に推し進めることを明確に打ち出したものである。中国政府はアフリカとアジアの発展途上国の政府関係者に対し「クリーン開発メカニズム」(CDM)事業の研修班をそれぞれ2回ずつ開催し、これらの国々の「クリーン開発メカニズム」事業の能力を高めた。

中国は外国政府、国際組織、海外研究機構と気候変動分野対策の協同研究を積極的に展開している。内容は気候変動の科学問題、軽減と適応、対策と措置などの面にわたり、中国気候変動の趨勢、気候変化が中国に及ぼす影響、中国の農業・林業部門の適応措置と行動、中国の水資源管理、中国の海岸帯と海洋生態系の総合管理、中国の温室効果ガスの排出削減のコストと潜在力、気候変動に対応する法律法規と政策研究、およびいくつかの低炭素エネルギー技術の開発とモデルなどが含まれる。中国は関係の国際科学技術協力計画に積極的に参与している。例えば地球システム科学パートナーシップ(ESSP)の枠組みの下での世界気候研究計画(WCRP)、地球圏-生物圏国際協同研究計画 (IGBP)、地球環境変化の人間社会的側面国際研究計画(IHDP)、地球観測に関する政府間会合(GEO)、全球気候観測システム(GCOS)、全球海洋観測システム(GOOS)、高度海洋監視システム(ARGO)、国際極年(IPY)計画などがそれであり、また関係国際組織や機構との情報交換や資源の共同享有を強化している。

中国は『気候条約』の枠組みの下での技術移転を積極的に推し進め、それに参加し、国際技術移転に有利である国内環境を力を入れて作り、また技術要求リストを提出した。中国は、『気候条約』の下での技術移転は市場に依拠するだけでなく、そのカギは先進国政府が技術移転の障害を減らし、取り除き、リードと奨励の政策と措置をとり、技術移転過程で役割を発揮することに務めることにあると考えている。開発中の気候変動対策のカギとなる技術については、国際社会の広範なメンバー国の協力に頼り、劇的な進展をとげるために急いで努力し、また世界諸国が共同で享受できるようにすべきである。

中国はクリーン開発メカニズムが国内の持続可能な発展を促進する上で積極的な役割を果たすことを重視し、クリーン開発メカニズム事業の協力に参加することを通じて、国際温室効果ガスの排出削減に貢献したい。国際協力を通じて、中国はクリーン開発メカニズム面の系統的な研究を行い、国際的規則と国内の政策・措置の制定に対し科学的な基礎を提供し、利益関係の諸方面に有益な情報を提供している。中国は、政府部門、業界、学術機構、諮問サービス機構、金融機構などがクリーン開発メカニズム事業の開発を推し進める能力を高めるため、関連する能力建設を強化した。関連する国内制度を完全なものにし、『クリーン開発メカニズム事業運行管理弁法』を制定し発布した。2008年7月20日までに中国が国連に登録することに成功したクリーン開発メカニズム協力事業は244に達し、これらの事業は1億1300万トン二酸化炭素相当の排出量削減が期待されている。クリーン開発メカニズム事業は中国の再生可能なエネルギー発展を効果的に促進し、エネルギー効率の向上を促進し、関係の政府部門、企業、組織と個人の気候変動意識を大いに強化した。中国は、クリーン開発メカニズムが効果的で有益な協力メカニズムとして、2012年以降も引き続き実施する必要があると考えている。しかし事業実施における公平、透明、簡略化、確定性、環境の完全性をさらに促進し、また先進技術の発展途上国への移転を促進させ、ホスト国がクリーン開発メカニズム事業開発の中でさらに重要な役割を演じるべきだと主張している。