2008年 中国の国防

二、国防政策


 中国は防御的な国防政策を実施している。中国は国の主権、安全、領土の保全を守ること、国の発展の利益を保障すること、国民の利益を守ることを至上の位置に置き、国の安全と発展の利益に適応する強固な国防と強大な軍隊の建設に力を入れ、小康社会を全面的に建設する過程で富国と軍の強化の統一を実現する。

 新世紀の新しい段階における中国の国防政策の基本的な内容は次の通りである。①国の安全、統一を守り、国の発展の利益を保障する。②国防と軍隊の建設は全面的かつ協調的で、持続可能な発展を実現する。③情報化を主要なベンチマークとする軍隊の質的建設を強化する。④積極的防御の軍事戦略方針を実施する。⑤自衛防御の核戦略を堅持する。⑥国の平和的発展にとって役立つ安全の環境をつくり出す。

 国の安全の必要と経済・社会の発展レベルに基づいて、国防と軍隊の現代化建設は3段階に分ける発展戦略を実施し、計画的、段階的に国防と軍隊の現代化建設を推し進める。この戦略構想は主に次の通りである。

― 国防と軍隊の情報化を推し進める。情報化を国防と軍隊の現代化の発展方向とし、国情と軍隊の情況に立脚し、中国の特色ある軍事変革を積極的に推し進めている。国防と軍隊の建設の戦略企画、軍・兵種の発展戦略を科学的に制定し、2010年までに確固とした基礎を築き、2020年までに機械化をおおむね実現し、また情報化の建設においても大きな進展をなしとげ、21世紀中期までに国防と軍隊の現代化の目標を基本的に実現する。

― 経済建設と国防建設を統一的に計画する。経済建設と国防建設を協調的に発展させる方針を堅持し、国の資源を統一的に計画し、国の富強と軍隊の強化をともに配慮し、国防と軍隊の発展戦略と国の発展戦略に適応させる。国防の建設を経済・社会の発展に有機的に溶け込ませ、経済の建設と国防の建設を協調的に発展させる科学的なメカニズムを形成し、国防と軍隊の現代化の実現に豊かな資源と持続的発展の原動力を提供する。国防建設は経済・社会の発展の必要を併せて配慮しなければならず、軍隊と人民の相互理解と互恵を堅持し、平和期における社会利用での国防資源の効果を高める。

― 国防と軍隊の改革を深める。軍隊の体制編制と政策制度を調整、改革し、軍隊の組織形態の現代化をちくじ推し進め、2020年までに中国の特色ある、現代軍隊の建設法則にもかなったトータルな科学的な組織モデル、制度配置と運営方式を形成することに力を入れる。国防科学技術産業の体制と兵器装備買付体制を調整、改革し、兵器装備開発のイノベーション能力と質的効果を高める。軍民結合、軍需産業を民間経済に融合させた兵器装備科学研究生産システム、軍隊人材育成システムと軍隊保障システムを確立し完全なものにする。集中、統一した、構造が合理的で、スピーディーに反応する、高い権威・効率を持つ国防動員システムを確立し完全なものにする。

― 飛躍的発展の道を歩む。機械化を基礎とし、情報化を主導とし、機械化と情報化の複合的発展を加速する。科学技術による軍隊の強化を堅持し、ハイテク兵器装備を発展させ、人材戦略プロジェクトを実施し、情報化の条件の下での軍事訓練を展開し、現代的な後方勤務を全面的に建設し、戦闘力形成パターンを適切に転換する。重点を際立たせ、重要なものと副次的なものを区別し、為すことも為さざることもあり、最もカギとなる分野での飛躍的な発展の実現に力を入れる。勤倹を旨として軍隊の建設を行い、科学管理を重んじ、限られた国防資源に最大の効果を発揮させる。 中国は積極的防御の軍事戦略方針を実施し、戦略において防衛、自衛、後で制圧するという原則を堅持する。世界の軍事発展の新たな趨勢に適応し、国の安全と発展戦略の要請に基づいて、中国は新しい時期の積極的防衛の軍事戦略方針を制定している。

 この方針は情報化の条件下での局地戦争に勝利することに立脚し、現代における戦争形態の発展変化と国が直面する主な安全の脅威を総合的に配慮し、最も複雑な、最も困難な情況に着眼し、防衛と作戦の準備を行う。現代戦争システムに対抗する要請に適応し、一体化された合同作戦を基本的な作戦形態とし、各軍・兵種の戦闘の長所を生かし、攻撃・防禦の結合を堅持し、機動性のある戦略戦術を重んじ、利を求め、害を避け、みずからの長所を発揚し他のものの短所をたたく。合同作戦指揮体制、合同訓練体制と合同保障体制を健全にし、力の構造を最適化し、部隊の編成を完全なものにし、情報化の条件下での局地戦争に勝利する戦闘力のシステムの確立を加速する。

 この方針は危機と戦争を制止するためのものである。軍事闘争を政治、外交、経済、文化、法律などの分野の闘争と密接に呼応させることを堅持し、有利な安全環境を積極的につくり出し、進んで危機を防ぎ、解消し、衝突と戦争の勃発を制止する。自衛の立場を厳格に守り、武力を慎重に使用し、戦局を効果的にコントロールし、戦争の危険と代償を低下させることに力を入れる。精鋭で高効率の抑制力を確立し、抑制方式を弾力的に運用する。中国は終始して、核先制不使用の政策をとり、自衛防御の核戦略を堅持し、いかなる国とも核軍備競争を行ってはならない。

 この方針は軍隊が多種類の安全の脅威に対応し、多様化の軍事任務を完成する能力を高めることに力を入れるものである。新しい世紀の新段階においての軍隊の歴史的使命を全面的に履行することに着眼し、情報化の条件下での局地戦争に勝利する能力を強化することを核心とし、海洋、宇宙、電磁空間の安全、反テロ・安定維持、応急救援、国際平和維持任務を遂行する能力を高める。非戦争軍事行動を国の軍事力運用の重要方式とし、非戦争の軍事行動能力の建設を科学的に企画し実施する。国際安全協力に参与し、多種類の形態の軍事交流をくりひろげ、軍事相互信頼メカニズムを推し進める。

 この方針は人民戦争の戦略思想を堅持し、発展させるものである。終始人民に依拠し国防を建設し、軍隊を建設し、精鋭の常備軍と強大な後備力の相互結合を実行し、国の潜在戦闘力と国防実力を強化する。統一かつ高効率の国防動員メカニズムを健全にし、経済、科学技術、情報と交通動員を強化し、後備力の建設の質を高める。人民戦争の内容と形態を革新し、人民大衆が戦闘に参加し、前線を支援する新たな道筋を模索し、情報化の条件下での人民戦争の戦略戦術を発展させる。国の建設の大局に服従し、地方の経済・社会の発展をサポートし、軍隊と政府、軍隊と人民の団結を強固なものにする。

「チャイナネット」資料 2009年3月