2008年 中国の国防

十四、軍備抑制と軍縮


中国政府はつねに国際軍備抑制、軍縮、拡散防止への努力を重視し、サポートしており、関連国際義務を厳格に履行するための確実な措置をとり、国際社会とともに、『国際連合憲章』の主旨と原則およびその他の公認の国際関係準則を遵守し、国際戦略の安定と各国の共同安全の増進を維持し、その上、既存の国際軍備抑制、軍縮、拡散防止体系を強固にし、さらに強化していく。

核軍縮

中国はすべての核兵器保有国が核兵器を全面的、徹底的に廃棄すること、新型核兵器の研究・開発を中止することを約束し、核兵器の国家安全政策における役割を削減することを主張している。最大の核兵器庫を擁する二カ国は核軍縮に対し特殊な優先的責任を負っており、締結した関連協議を真剣に履行し、査察できるが逆転できない原則にのっとって、いちだんと核兵器庫を大幅に削減し、他の核兵器保有国の核軍縮プロセスへの参与に必要な条件をつくり出している。

中国は『包括的核実験禁止条約(CTBT)』の早期発効を支持し、「核実験の一時中止」の約束を引き続き守っている。中国政府はCTBT機構準備委員会の条約発効のための準備作業をサポートし、また、国際モニタリングシステムの整備に積極的に参加している。

中国政府はいかなる時、いかなる情況の下でも、先に核兵器を使用しない、非核兵器保有国と非核地帯に対し無条件に核兵器を使用しないかまたは核兵器の使用をもって威嚇しないことを約束すると同時に、他の核兵器保有国に対し、同様の約束をし、国際法律文書を締結するよう呼びかける。中国はすでにオープンに調印されたすべての非核地帯条約の関係協定書に調印しており、すでに東南アジア諸国連合(ASEAN)と『東南アジア非核地帯条約』協定書に関する問題で合意し、また、中央アジア五カ国(カザフスタン、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン)の『中央アジア非核地帯条約』の調印に歓迎の意を示す。

中国はジュネーブ軍縮交渉会議の役割を重視し、その全面的でバランスのとれた活動プランをサポートし、『核兵器またはその他の核爆発装置に用いる分裂物質生産禁止条約』、宇宙空間における軍備競争の防止、核軍縮、非核兵器保有国への安全保障提供などの問題について実質的な活動をできるだけ早く展開する。

中国は、世界ミサイル防衛計画は戦略バランスと安定を損ない、国際および地域の安全にとってもマイナスとなり、核軍縮の進展にマイナスの影響を与えるにちがいないと考えている。これに対し、中国は非常に注目している。

生物兵器と化学兵器の禁止

中国は『生物兵器禁止条約(BWC)』の義務を厳格に履行し、同条約の有効性を強化するための多角的な努力をサポートし、積極的、実務的な姿勢で締約国の年次例会と専門家グループ会議に参加している。中国は比較的にそろった条約履行のための法律体系を確立し、専門の条約履行機構を設立し、条約履行サポート組織に「条約」の信頼醸成措置確立の発表資料を期限通りに提出し、生物安全と伝染病発生状況の監視測定・コントロールに力を入れ、国際的交流と協力を積極的に展開している。

中国は『化学兵器禁止条約(CWC)』に規定された諸義務を真剣に履行し、中央から地方までの各クラスの条約履行機構を設置し、各種の年度発表、新たに発見された日本が遺棄した中国領内の化学兵器の後続発表および年度国家防護方案を期限通りに、完全に提出した。化学兵器禁止機構(OPCW)の現場査察を170回以上受け入れた。1998年中国化学兵器防止研究院分析化学実験室が化学兵器禁止機構の最初の指定実験室になったのに続き、2007年軍事医学科学院毒物分析実験室が化学兵器禁止機構の指定実験室となった。2008年5月、中国は化学兵器禁止機構とともに北京で化学兵器の防護と援助の訓練コースを開設した。日本が遺棄した中国領内の化学兵器処理の進展を促進するため、中国は日本と協力して100回以上の現場調査を行い、4万件以上の遺棄化学兵器を回収した。中国は日本が条約の義務を確実に履行し、遺棄した化学兵器の実質的廃棄をできるだけ早く始動するよう促した。

拡散防止

中国は国際拡散防止の取り組みに積極的に参加し、大規模殺傷兵器とその運搬手段の拡散に断固として反対する。中国は拡散防止は根本的問題と枝葉の問題を同時に解決し、総合的に処理しなければならないと考える。国際社会は協力し、互いに信頼し合う、安定した世界と地域の安全環境をつくり出し、国際拡散防止システムの権威性と有効性の維持と強化に力を入れ、ダブル・スタンダードを捨て去るべきである。対話と交渉により関連の食い違いを処理することを堅持し、拡散防止と科学技術の平和的利用の関係を最善の形で処理すべきであり、各国の平和的利用の権利を保障すべきであるが、拡散を効果的に防止しなければならない。

中国は拡散防止分野におけるすべての国際条約と関連ある国際機構に参加しており、『核兵器不拡散条約(NPT)』『生物兵器禁止条約(BWC)』『化学兵器禁止条約(CWC)』の大規模殺傷兵器の拡散防止において果たした重要な役割を高度に重視している。中国は国連の拡散防止においてしかるべき役割を発揮することを支持し、安全保障理事会の関連の決定を真剣に実施している。

中国は朝鮮半島の非核化実現に努め、朝鮮半島核問題をめぐる六カ国協議(アメリカ、韓国、朝鮮、中国、日本、ロシア)の進展を断固として推進し、六カ国協議では2007年2月と10月にそれぞれ『共同声明の実施のための初期段階の措置』共同文書と『共同声明の実施のための第二段階の措置』の共同文書が採択された。

中国は政治と外交交渉によるイラン核問題の平和解決を主張している。中国はイランの核問題をめぐる、アメリカ、ロシア、中国、イギリス、フランス、ドイツの六カ国外相会議と政治局長会議に何回も参加し、また2008年4月、上海でイラン核問題をめぐる六カ国政治局長会議を主催した。国際原子力機関 (IAEA)と国連安全保障理事会のイラン核問題審議の進展に積極的に参加し、建設的な役割を果たしている。

中国は拡散防止輸出管制を高度に重視し、現在、核、生物、化学、ミサイルおよび関係両用品と技術をカバーする完全な輸出管制法規システムを確立してきた。また担うべき国際義務と輸出管制の需要に基づき、関連法規をたえず調整している。2006年11月、『中華人民共和国核輸出管制条例』を改正し、2007年1月『中華人民共和国核両用品および関係技術輸出管制条例』、同年7月、『中華人民共和国核両用品および関係技術輸出管制リスト』を改正した。中国は拡散防止の輸出管制の法律執行能力を強化するための措置をたえず講じている。

中国は拡散防止と輸出管制分野における国際交流と協力を重視し、さらにそれを積極的に展開している。十数の国、欧州連合(EU)と軍備抑制と拡散防止の折衝メカニズムを確立し、北大西洋条約機構(NATO)と拡散防止に関する対話を行い、また「オーストラリア・グループ」、「ワッセナー・アレンジメント」など多国的輸出管制メカニズムとも対話と交流を保っている。

中国は「核テロリズムに対抗するためのグローバル・イニシアティブ」の目標と原則を支持し、「イニシアティブ」創始のパートナー国として、各回のパートナー国会議に出席している。2007年12月、同「イニシアティブ」の枠組みの下、中国とアメリカは北京で放射性物質捜索シンポジウムを共同で開催した。

宇宙空間における兵器化と軍備競争の防止

中国政府は宇宙空間の兵器化と軍備競争に反対し、一貫して宇宙空間の平和的利用を主張している。既存の宇宙空間に関する国際法律文書は宇宙空間の兵器化と軍備競争を効果的に防止するのに不十分である。宇宙空間に関する国際法律体系の不備を補完するため、国際社会は交渉を行って新たな関係国際法律文書を締結すべきである。

2008年2月、中国とロシアは共同でジュネーブ軍縮交渉会議に「宇宙空間における兵器配置、宇宙空間の物体に対する武力行使または武力行使の威嚇を防止する条約」草案を提出し、この草案についての実質的討論を行い、早期会談を経て締約することを願っている。

通常兵器の軍備抑制

中国は『特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW) 』(特定通常兵器条約)および関連議定書の諸義務を真剣に履行し、確実な措置をとり、現在使われている対人殺傷地雷が改正後の『地雷議定書』の技術の規定に合うよう確保し、クラスター爆弾問題に関する政府専門家グループ会談に積極的に参加し、同条約に付された『爆発性戦争残存物に関する議定書』の批准を引き続き積極的に準備中である。国際人道主義の地雷除去の援助に引き続き積極的に参加している。2年このかた、アンゴラ、モザンビーク、チャド、ブルンジ、ギニアビサウ、スーダン北・南部の地雷除去技術者の訓練を行った。また上述の国とエジプトに無償で地雷除去装備を贈与し、ペルー、エクアドル、エチオピアに地雷除去資金を提供した。

中国は軽火器と小型兵器の不法貿易を取り締るための国際的努力をサポートし、それに積極的に参与している。国連の軽火器と小型兵器に関する『行動綱領』と『不法な軽火器と小型兵器を識別、追及する国際文書』を真剣に実行に移し、また軽火器と小型兵器の標識についての細則を制定、実施している。中国は国連の「兵器貿易条約」問題の政府専門家グループ活動への参加のために専門家を派遣している。

国防費の透明性と通常兵器譲渡登録

中国は一貫して軍事の透明性の問題を重視している。軍事透明性を高めると同時に世界各国との軍事的相互信頼面でたゆまぬ努力を払っている。中国は2007年から国連の国防費透明性制度に参加し、国連に前財政年度の軍事支出の基本データを提出した。中国は国連の通常兵器登録の確立と発展に大きく貢献した。登録が実施されてから、中国は毎年登録に7種類の通常兵器の輸出入状況を提出している。個別の国が1996年から登録に台湾に兵器を輸出したその状況を提出したことは、国連総会の関係決議の主旨および登録の主旨と原則に違反するものであるため、中国は登録を一時中止せざるを得なかった。関係国がすでに上述のやり方を止めたことを考慮し、中国は2007年から登録に7種類の通常兵器の輸出入状況を提出することを再開した。

「チャイナネット」資料 2009年3月