2008年 中国の国防

十、武装力と人民


中国の武装力は人民に属する。国の建設事業、災害救援に参加することは、憲法と法律によって武装力に与えられた重要な任務である。軍隊擁護・軍人家族優遇および政府擁護・人民愛護は、国防と軍隊の建設を増強する政治基盤である。

災害救援に参加する

人民解放軍、人民武装警察部隊、民兵は災害救援の突撃力である。その主な任務は次の通りである。孤立した被災者の救出、搬送、避難。重要目標の安全確保。重要物資の緊急持ち出しと運搬。道路(橋、トンネル)の応急補修、海上での捜索・救援、核・生物・化学環境下の救援、重大な疫病の抑制と医療救護などの専門的な災害救援。その他の重大な危険・災害の排除とコントロール。必要な場合、地方政府による被災者救済や災害復旧への協力などの任務も担う。近年らい、人民解放軍は洪水対策・災害救援の専門応急部隊19を創設した。

2005年6月、国務院、中央軍事委員会は『軍隊の災害救援についての条例』を公布した。条例に基づき、国務院に組織された災害救援が軍隊の参加を必要とする際、国務院の関係主管部門が総参謀部に要請する。県クラス以上の人民政府に組織された災害救援が軍隊の参加を必要とする際、県クラス以上の人民政府が現地の同クラスの軍事機関を通じて要請する。危険、災害の緊急事態の下で、地方人民政府は駐屯軍隊に直接要請することができ、駐屯軍隊は規定によって即時救援を実施すると同時にその上級に報告しなければならない。駐屯軍隊が危険、災害を発見した時にも即時に救援を行い、またその上級に報告しなければならない。軍隊が地方の災害救援に参加することは人民政府の統一指導の下で行うものであり、具体的な任務は災害救援指揮機関から与えられ、部隊の行動は軍隊に指揮される。2006年11月、中央軍事委員会は『突発事件を処理する軍隊の全般的な応急予備案』を批准し公布した。

この2年間に、軍隊と武装警察部隊は延べ兵力60万人、各種タイプ車両(機械)63万台、航空機とヘリコプター6500余機を出動させ、民兵予備役人員139万人を動員し、洪水・冠水、地震、氷雪、台風および火災などの災害対策に130余回も参加し、1000万人の被災者を救助し、移転させた。

2008年1月、中国南部の一部地域でひどい低温、大雨・大雪、凍結災害が発生した。軍隊と武装警察部隊合計22万4000人、民兵予備役人員を103万6000人出動させ、軍用輸送機とヘリコプターを延べ226機出動させ、主に交通幹線ルートの疎通、足止めを食っている人たちの救助、送電線の回復などの緊急、困難、危険、重要な任務を担った。 2008年5月12日、四川省汶川県を震源地とするマグニチュード8.0の特大級の地震が発生した。軍隊と武装警察部隊は合計14万6000人を繰り出し、民兵予備役人員7万5000人を動員し、各種航空機およびヘリコプター延べ4700余機、車両延べ53万3000台を出動させ、生存者3338人を救出し、被害者140万人を移転させ、救援物資157万4000トンを輸送、空輸、空中投下した。210の医療隊、心理カウンセラー救援隊と衛生防疫隊を派遣し、負傷した大衆136万7000人を巡回診療させた。災害救援部隊は大衆に対する規律を厳格に実行し、廃墟から救出した数億元の現金や多くの貴重品を詳しく登記して1冊にとじ、そのすべてを所有者か地元の関係部門に引き渡した。

五輪の安全防衛に参加し、五輪の準備・開催を支援する

北京オリンピック組織委員会の要請に基づいて、軍隊と武装警察部隊は五輪の安全防衛に積極的に参加し、五輪の準備・開催を支援し、北京オリンピック、パラリンピックの開催の成功のために貢献した。

五輪の安全防衛の仕事の中で、軍隊は主に次の任務を担った。北京市や市外の競技施設の空からの安全確保、海に臨む競技施設およびその周辺の競技施設の海上の安全を保障する。核・生物・化学によるテロ襲撃や爆発などのテロ事件を処置することについて、情報支援を提供する。災害救援、医療救援、ヘリコプター輸送を組織する。北京オリンピック期間の国境の管理やコントロールなどの任務を強化するなど。軍隊は合計4万6000人、航空機98機、ヘリコプター60機、艦船63隻および一部地対空ミサイル、レーダーと対化学戦プロジェクトの保障装備などを繰り出した。武装警察部隊は主に次の任務を担った。聖火リレーを防衛する。競技施設、要人宿泊地、五輪関連の空港を警戒・防衛する。開幕式・閉幕式の会場、外国からの重要な賓客の中国での行動および重要かつ人気の競技会場を警備、防衛する。五輪と密接な関係のある水、電気、ガス、石油、通信枢軸などの人びとの生活と関連のある重要な目標および北京、天津、河北省の雨を防ぐための人工措置の地上ロケット発射陣地を防衛する。公安機関に協力し諸競技施設の周辺、北京周辺の要路に検問所を設置し、競技施設の付近で武装パトロールする。競技施設の安全を検査する。反テロ、反ハイジャック、突発事件を処置するなどの任務を担う。武装警察部隊は将校と兵士合計8万5000人を繰り出し、五輪の安全防衛に参加させ、目標の安全を妨げるさまざまな状況約300件を適切に処置し、携帯禁止物品9000余件、携帯制限物品14万余件を検査し、制御下に置いた。

五輪の準備・開催支援の仕事の中で、軍隊と武装警察部隊はプロやアマチュアの一般俳優1万4000余人を組織して、北京オリンピック、パラリンピックの開幕式と閉幕式の大型文芸公演と儀式の演奏に参加させた。6900余人の専門的なボランティアを組織し、交通保障、授賞・旗の掲揚、医療救援、競技施設サービスなどの84項目の支援任務を担った。北京駐屯部隊は将校、兵士延べ67万人を繰り出し、首都空港の航空回廊、国家オリンピック森林公園など36カ所のオリンピック重点プロジェクトの建設に参加させた。

国の建設に参加し支援する

中央と地方の各クラスの人民政府の統一的配置の下で、軍隊と武装警察部隊は国のさまざまな建設事業に積極的に参加し支援している。この2年間に、延べ1400余万の労働日数を費やし、100万台の機械車両を出動させた。

インフラ施設と生態建設プロジェクトづくりを支援する。エネルギー、交通、水道・電気、通信などの重点プロジェクト200余項目を支援し、黄河中上流、北京天津風砂源(北京市・天津市付近の砂あらし発生源)などの生態環境建設170余項目に参加し、荒れ山、荒地、荒れた河原周辺の植林300万ムー(1ムーは0.067ヘクタール)、空からの2400万ムーの植林保護を完成した。

新農村の建設に参加する。農地の水利と農村のインフラ施設の建設を支援し、貧困地域の農村の自動車道路2100余本、農村の水道・電気、人畜の飲用水、小流域の治水などの小型プロジェクト9万余カ所の補修、新築を行った。貧困扶助スポット2万5000カ所を強化、新築し、8万余世帯の人びとを助け、貧困から脱出させた。

 科学技術・教育・文化・医療衛生事業の発展をサポートする。約1万人の各種人材の養成に協力し、科学技術のモデルスポット240カ所を建設した。小・中学校200余校の建設を援助し、家庭が困窮している生徒24万人を助けて学業を完了させた。貧困地域の県、郷の病院470カ所と長期援助協力関係を確立し、1万3000の医療隊を派遣し、大衆のために無料で延べ4100万人の病気を治療した。

少数民族地域の経済・社会の発展をサポートする。飛行場3カ所、発電所5カ所、水利施設12カ所の新築、増築を支援し、自動車道路900余キロを補修し、井戸300余本を掘り、小型貯水所、小型発電所、太陽光エネルギーとテレビの中継設備合計6000余を建設し、取り付けた。

国防と軍隊の現代化建設をサポートする

各クラス政府は科学技術、情報、人材、教育、文化などの諸方面から、軍隊の現代化建設をサポートすることを重視している。地方政府は駐屯軍隊と共同で「議軍会」(駐屯軍隊と地方の合同会議)、「双擁(軍隊擁護・軍人家族優遇、政府擁護・人民愛護)」活動の合同会議、軍隊・政府の座談会などの制度をあまねく確立し、部隊の軍事訓練、インフラ施設の建設、軍人権益擁護などの面での困難の解決に協力した。部隊が訓練演習、災害救援などの重要な任務を実行する際、地方政府と人民大衆はあらゆる困難を克服し、部隊の集結、機動、救援などを保障した。各地では科学技術、知識、文化による軍隊擁護活動を幅広く展開し、科学技術軍隊擁護基地2000余カ所をつくり、延べ10万人の各種人員の養成を助け、部隊に図書2000万冊を寄贈した。各クラス政府は退役・除隊軍人、同行していた軍人家族、軍隊の引退・定年退職幹部、非軍籍職員・労働者をちゃんと受け入れ、配置し、弔慰優遇対象の弔慰・救済の仕事をきちんと実行した。この2年来、全国や地方的な政策・法規500余件が制定、公布され、除隊幹部10余万人、退役兵士50余万人、軍隊引退・定年退職幹部と非軍籍職員・労働者6万余人を受け入れ、再配置した。

「チャイナネット」資料 2009年3月