2008年 中国の国防

八、人民武装警察部隊


武装警察部隊は中国の武装力の構成部分であり、国務院の編制序列に属するものであり、国務院と中央軍事委員会の両方からの指導を受けている。武装警察部隊は国内警備部隊と警種部隊(金鉱・森林・水道電気の供給・交通などを守る武装警察部隊)から構成され、公安・国境警備部隊、消防部隊、警備保護部隊は武装警察部隊の序列の中に入っている。国の安全を守り、社会の安定を維持し、人民大衆が安心して暮らせるよう保障することが国から与えられた武装警察部隊の根本的な職務である。

経常的勤務

経常的勤務は国内の安全防衛任務を完成するために実施される各種の勤務活動であり、主に国内警備部隊によって行われる。その基本的な任務は次の通りである。各種の侵害や破壊活動を防ぎ、警備対象、警備目標と国際的、全国的な重要な会議および文化的大型娯楽・スポーツイベント会場の安全を守る。重要な空港、ラジオ放送局、国の経済と国防建設などの重要な機関の機密、または重要な部門や場所の安全を守る。重要な橋梁やトンネルの安全を守る。刑務所、留置所の安全を確保する。国が規定した大・中都市や特定地域の社会治安を守る。経常的勤務は固定勤務と臨時勤務に分かれる。固定勤務は普通は公安部から命令され、臨時勤務は普通は地域の党委員会、政府や公安機関から与えられる。

武装警察部隊は毎日26万余人が交替で勤務している。ここ数年来、武装警察部隊は正規に勤務を実行し、勤務を厳格に管理し、科学技術によって勤務を強化することを堅持し、勤務施設の建設を強化し、力を入れて勤務の潜在的危険性に対処し、全員、全コース、全時間の勤務管理のビジュアル化を実現した。勤務組織を強化し、勤務配置を厳格にし、勤務制度を着実に実行させ、重要な臨時勤務を綿密に組織し、勤務の質と目標の安全係数を効果的に高めている。年平均で警備目標を侵害する事件を数十件に抑え、収監されている犯罪容疑者と犯罪者の脱獄事件を数百件に抑え、重要な臨時勤務に数千回も取り組み、関係部門と協力し合って国際、国内の重要な会議や大イベントの安全を確保した。各部隊は社会治安総合管理にも積極的に参加し、2007年以来、公安機関に協力して各種の犯罪容疑者2800余人を逮捕した。

突発的な公共事件に対応

突発的な公共事件に対応することは、武装警察部隊が突発し、公共安全を脅かす緊急事件を処理、制止する行動である。突発的な公共事件に対応することは主に武装警察機動部隊が担当し、社会安全事件、自然災害事件、事故災禍事件、公共衛生事件などに対する処理が含まれる。その具体的な任務は事件発生地域を管理、コントロールし、容疑者の証明書、車両、物品などを検査し、重要な目標を守り、不法に集まった群衆を処理し、人質や問題を起こした人びとに閉じ込められた人たちを救出し、不法犯罪行為を制止し、犯罪者を逮捕または処置し、災害救援を行うことなどである。

武装警察部隊は国が突発的な公共事件を処理する際の中堅であり突撃力である。武装警察部隊が突発的な公共事件に対して遂行する任務は、中国共産党中央委員会、国務院、中央軍事委員会、地域の党委員会、政府および公安機関から与えられ、同時に中国共産党中央委員会、国務院、中央軍事委員会や地域の党委員会、政府および公安機関の統一指導と指揮の下で行動するものである。

平時、武装警察部隊は十分に準備を整え、突発事件処理の各クラスの指揮センターを確立し、突発事件処理の情報システムを完全なものにし、人員を科学的に配置し、通信、補給、輸送などの保障をきちんと行う。任務を受けたら、迅速に所定の位置につき、軍事力による警告、広報、説得を行い、法律に基づいて取り締るという手段によって、武力、強制措置、警備機材や武器を慎重に使用し、ごく少数の犯罪者を法律に基づいて取り締り、群衆を巻き込んだ騒ぎおよび暴力事件、治安事件、武闘事件、暴力テロ事件に対して高効率で適切な処理を行う。ここ2年来、武装警察部隊は「3・14」のラサにおけるゆゆしい暴力犯罪事件、「東トルキスタン」テロリストに対する取り締り、事故救援、群衆を巻き込んだ大規模な事件および各種の突発事件の処置に参加し、人民大衆の根本的な利益を大いに保護し、駐屯地の社会の安定を守り、国の法律の尊厳を保った。

国際反テロ協力

中国は国際反テロ協力を高度に重視し、現在すでに11の国際反テロ条約に参加している。武装警察部隊は国の反テロの重要な力である。

国際反テロの折衝と交流を強化する。国際反テロ条約の協定に基づき、前後して代表団を派遣しフランス、ドイツ、スペイン、イタリア、オーストラリア、イスラエル、ブラジル、キューバ、南アフリカ、ロシア、パキスタンなど30余国を訪問し、二国間や多国間の反テロの交流を行い、ロシア、ルーマニア、フランス、イタリア、ハンガリー、南アフリカ、エジプト、オーストラリア、ベラルーシなど17国の代表団の来訪を受け入れた。

人員の海外研修と外国に対する育成支援。代表団を組織して訪問し、前後してフランス、イスラエル、ハンガリー、シンガポール、マレーシア、タイなどの10余国に人員を派遣し、特殊勤務の業務育成に参加させ、各種の試合に参加させるかまたは見学させ、反テロの専門技術交流などを行った。またコーチグループをルーマニア、アゼルバイジャンなどの国に派遣し、指導者や訓練の補助に当たらせた。

反テロ合同演習を行う。2007年9月、武装警察部隊とロシアの内衛部隊は、「特殊部隊の人質の救出およびテロ組織粉砕の行動」をテーマに、「協力―2007」という反テロ合同演習を初めて行った。

国境・沿海地域の社会治安と港の出入国の秩序を維持する

武装警察部隊に属す公安国境警備部隊は、国境や沿海地域、港湾に配置された武装による法執行力である。その主な職責は次の通りである。国境・沿海地域の治安管理。港と国境通路の国境警備に必要な検査と監視・管理。香港、澳門(マカオ)の境界沿い地帯のパトロールと警戒。国境沿いおよび沿海地域の密出入国、密輸、麻薬密売などの不法犯罪の防止と取り締り。

公安国境警備部隊は各省(自治区、直轄市)に30の公安国境警備総隊(北京には設立されていない)を設置し、国境や沿海地域(市、州、盟)に110の公安国境警備分遣隊を置き、沿海地域に20の海上警察分遣隊を置いている。開放港湾に207の出入国管理所を設置し、国境や沿海地域の県(市、旗)に310の公安国境警備大隊を設置し、国境沿いおよび沿海地域の郷(鎮、蘇木<内蒙古自治区で郷にあたる行政単位>)に1691の国境警備派出所を置き、国境の主な通路、要路に46の出入国管理所を設置し、国境地域の重点地帯、方向に113の機動隊を配置している。

近年、公安国境警備部隊は「人民を愛し、国境を守る」という戦略を全面的に実行し、大衆による警備、管理の組織を強化し、矛盾・紛争や群衆を巻き込んだ事件の捜査と調停・処理メカニズムを健全化し、先鋭化した治安問題を取り締り、「人民を愛し、国境を守る」モデル村を創建する活動を展開し、困窮児童に配慮するプロジェクトを実施し、国境沿いおよび沿海地域の調和と安定を大いに促進している。出入国管理所で出入国審査のサービスレベル向上活動を展開し、安全、スピーディーな出入国審査、通関環境をつくり出している。

国境・沿海地域において、関係部門と共同で密出入国、麻薬売買、密輸などの犯罪を厳しく取り締り、暴力団のような犯罪グループの取り締りなどの特定項目の行動をとっている。2007年以来、合計で密出入国者4400人を逮捕し、麻薬3806キロを押収し、取り締った案件は総額にして6億2000万元にのぼり、刑事事件1万9205件を解決し、治安事件6万63件を取り締った。

公安海上警察部隊は海上法執行機構を確立し、健全にし、法執行人員を充実させ、法執行制度を完全なものにし、船艇の装備を改善し、海上の刑事事件合計41件を解決し、海上における災害救助を115件実施し、遭難者238人を救助した。

「チャイナネット」資料 2009年3月