新疆の発展と進歩

六、公民の宗教信仰の自由の権利を保護している


新疆は歴史上多くの宗教が共存する地区であり、またそれが今日まで続いている。現在、新疆には主にイスラム教、仏教、プロテスタント、カトリック、道教などがある。中国政府は宗教信仰の自由の政策を実行し、新疆はこの政策を全面的に貫徹し、法律に基づき公民の宗教信仰の自由の権利を保護し、宗教界の合法的権益を保障し、宗教事業の健全かつ秩序ある発展を促している。

宗教信仰の自由は中国の憲法によって賦与された公民の基本的権利の1つである。『中華人民共和国憲法』は、「中華人民共和国の公民は宗教信仰の自由を享有する」、「いかなる国家機関、社会団体、個人も公民に宗教信仰または宗教不信仰を強制してはならず、宗教を信仰する公民と信仰しない公民を差別してはならない」、「国は正常な宗教活動を保護する」と規定している。国務院が公布した『宗教事務条例』は、「公民は宗教信仰の自由がある。いかなる組織または個人も公民に宗教の信仰または不信仰を強制してはならず、宗教を信仰する公民または宗教を信仰しない公民を差別してはならない。宗教を信仰する公民と信仰しない公民、異なる宗教を信仰する公民は互いに尊重し合い、むつまじく付き合うべきである」と規定している。中国のその他の関連法律・法規には、公民の宗教信仰の自由の保障についての具体的な規定もある。国は、すべての人が法律の前に平等であり、公民は宗教を信仰する自由もあれば、宗教を信仰しない自由もあり、公民の宗教信仰の自由の権利は相応の義務を負うことと一致していると強調している。公民の宗教信仰の権利を侵害するならば、法的責任を負わなければならず、宗教を信仰しているか否かを問わず、法律の規定に反するならば法的責任も負わなければならない。

新疆では、各民族人民は宗教信仰の自由の権利を十分に享有している。宗教を信仰するかしないかは公民が自由に選択するものであり、法律に保護され、いかなる機関、団体、個人も干渉してはならない。2008年現在、全自治区内にはモスク、教会堂、仏教・道教の寺院などの宗教活動の場所が約2万4800カ所あり、宗教教職者が2万9000人以上おり、宗教団体91、宗教大学が2つある。20世紀80年代以来、サウジアラビアに巡礼に出かけた新疆の人びとは合わせて5万人を上回り、近年来巡礼者数は年間2700人前後を維持している。2008年現在、各クラスの人民代表大会、政治協商会議で職務を務める新疆の宗教界人士は1800人余りおり、宗教を信仰する大衆を代表して積極的に参政・議政を行い、また政府が宗教信仰の自由の政策を貫徹する上で監督を行っている。

国と自治区は法律・法規に照らして宗教事務を管理し、法律に基づき宗教団体、宗教活動場所、宗教を信仰する公民の合法的権益を保護している。多年来、国務院は『宗教事務条例』を公布し、自治区人民代表大会常務委員会は『新疆ウイグル自治区宗教事務管理条例』を制定、公布し、自治区人民政府は『新疆ウイグル自治区宗教活動場所管理暫定規則』、『新疆ウイグル自治区宗教教職者管理暫定規定』、『新疆ウイグル自治区宗教活動管理暫定規定』など、3つの政府の規則を制定した。それら法規と規則は、次の基本的原則をいっそう明確にしている。1、公民は宗教信仰の自由の権利を持ち、国は法律に基づき正常な宗教活動を保護し、宗教団体、宗教活動場所、宗教を信仰する公民の合法的権益を保護する。2、宗教団体、宗教活動場所、宗教を信仰する公民は憲法、法律、法規、規則を守り、国の統一、民族の団結、社会の安定を維持すべきである。3、いかなる組織または個人も宗教を利用して社会秩序を破壊し、公民の身体の健康を損ない、国の教育制度を妨害してはならず、その他の国の利益、社会の公共利益、公民の合法的利益を傷つける行動をしてはならず、宗教を利用して国の行政、司法などの国家機能の執行などに干渉してはならない。

自治区は関連法律、法規、規則に基づき、宗教活動場所や、信者が宗教習慣により自宅で行うすべての正常な宗教活動を保護している。仏像を拝む、経書を読む、線香を立てる、礼拝や祈祷を行う、経を講義し道を説く、ミサ、洗礼を受ける、仏戒を受ける、断食斎戒する、宗教的祭日を過ごす、終油(臨終の時に天国行きの安らぎに塗油)、追想行事などは、いずれも宗教組織や信徒が自己責任で行い、法律の保護を受け、いかなる人も干渉を加えてはならない。法律に基づき、宗教を利用して国の行政、司法、教育、婚姻、民事訴訟などに干渉する活動を制止している。

新疆では、宗教事業は秩序ある正常な発展をとげている。現在、ウイグル語、漢語、カザフ語、キルギス語などの『コーラン』、『サヒーフ・アル=ブハーリー』、『コーラン』注釈書、『臥爾茲(Wa’z、教導・訓戒の意味をもつアラビア語の音訳)選集』などの宗教経典、宗教書籍、および漢語、ウイグル語の『新編臥爾茲演説集』シリーズや雑誌『中国ムスリム』を発行しており、発行部数は100万部以上に達している。新疆の大部分のモスクは国、自治区、県クラスの重点文物保護単位に指定されている。1999年に中央政府は760万元を投入してウルムチの洋行大寺、伊寧の拜図拉モスク、和田の加麦大寺を建て直した。政府は何度も資金を投下して喀什の艾提尕爾(エイティガール)モスク、香妃墓(アパク・ホージャ・マザール)、トルファンの蘇公塔を補修した。2008年だけでも、国は3300万元を支給して艾提尕爾モスクと香妃墓を補修している。

現在、新疆では、10の少数民族の大多数の民衆がイスラム教を信仰しており、その数は1130余万人に及んでいる。イスラム教のモスクは改革開放初期の2000余カ所から現在の約2万4300カ所に増え、教職者は3000余人から2万8000余人に増えている。新疆イスラム教経学院は創設以来、ウイグル語など少数民族の言語で授業を行い、新疆各地のために489人のイマーム(イスラム教の指導者)、哈提甫(経典を伝授する導師)、あるいは宗教学校の教師を育成し、現在の在校生は161人である。新疆イスラム教経文学校は2001〜2008年に、宗教教職者延べ2万人以上を育成した。各地(州、市)のイスラム教協会が開いた経文学校、経文クラスおよび宗教家が指導して育てた塔里甫(経学の学生)は3133人に達する。卒業した塔里甫1518人のうち、803人が宗教の教職に就いている。2001年から、ハイレベルのイスラム教教職者を育成するために、新疆は前後して47人をエジプト、パキスタンなどイスラム教国の高等教育学校に留学させ研究を深めさせている。

歴史的には、新疆地区の異宗教間や同一宗教の異教派間で多くの衝突が発生している。10世紀半ば、イスラム教を信仰する喀喇汗(カラハン)王朝と仏教を信仰する于闐(うてん)王国が40余年にわたる宗教戦争を行った。明・清時代にはイスラム教内部の争いが数百年にわたり続いた。これら宗教間の戦争や宗教内部の争いは、諸宗教と教派間の団結、社会の調和と安定に深刻な影響をもたらした。新中国成立以来、宗教信仰の自由の政策が貫徹実施され、また法律に基づく宗教事務管理が行われたことにより、新疆の諸宗教は仲よく交流し、宗教を信仰する公民と宗教を信仰しない公民および異なる宗教を信仰する公民の相互尊重と理解が進み、宗教信仰や教派の違いによって各民族が矛盾や衝突を引き起こすことはなかった。