新疆の発展と進歩

一、経済が急速に発展している


1949年の新中国成立以前、新疆の経済は農業と牧畜業を主体とする自然経済であり、生産力のレベルが低く、生産方式が立ち後れ、発展が停滞状態に陥っていた。当時の新疆は、鉄道が一本もなく、農場と大規模な田畑もなく、工業と企業はほとんどが小さい作業場にすぎず、人民の生活は貧困をきわめたものであった。

新中国成立以来、とくに20世紀70年代末に改革開放の政策が実行されて以来、新疆は、経済と社会が急速な発展をとげ、総合的な実力が明らかに強化され、各民族大衆が最も多くの実益を手にする時期に入った。中国政府は国の発展戦略と各民族人民の根本的利益から出発し、新疆の発展と建設をきわめて重視し、終始辺境地域の経済発展を援助し、共同富裕を実現させることを1つの基本政策とし、また新疆の発展を促す一連の重要な戦略的政策決定を適時に行ってきた。2000年には、国は西部大開発の戦略を実行に移し、新疆の発展を促進することをいっそう際立つ位置にかかげた。多年来、新疆は自身の比較的優勢である部分を十分に発揮し、力を入れて経済構造を調整し、経済の成長方式を転換させ、インフラ施設の建設と生態環境の保護を強化し、人民の生活を改善し、基本公共サービスのレベルを高め、新疆の発展と全国の発展を協調させ、南疆と北疆の発展がうまくかみあった発展の新たな構造が構築されている。

--総合的な実力が明らかに強化している。2008年、不変価格で計算して、新疆の国内総生産(GDP)は4203億元に達している。これは新疆ウイグル自治区成立(1955年)前の1952年より86.4倍増加しており、年平均伸び率は8.3%に達している。1978年の改革開放初期と比べると19.6倍増え、年平均伸び率は10.4%である。2000年の西部大開発の初期と比べると2.2倍増え、年平均伸び率は10.6%である。2008年新疆地区の財政収入は361億600万元に達し、2000年の4.56倍、1978年の50.57倍、1955年の208.71倍である。

--経済構造がちくじ最適化された。近年来、新疆の工業、農業、第三次産業のいずれも急速な発展を維持している。工業化のプロセスが加速し、工業が農業に取って代わり主な産業になった。経済発展における第三次産業の役割が際立つようになり、卸売り、小売り貿易と飲食業が急速に発展し、郵便・電信の通信ネットが速やかに普及し、不動産、金融などの新興業種も急速な発展をとげた。2008年、第一次、第二次、第三次産業の地区総生産に占める比率はそれぞれ16.4%、49.7%、33.9%である。

--インフラ施設の建設がたえず強化している。「オアシス生態、灌漑農業」という新疆の特色に基づいて、阿克蘇(アクス)の克孜爾(キジル)ダム、和田(ホータン)の烏魯瓦提(ウルグ・アタ)水利センターなどを代表とする多くの現代的な大型水利工事や幹線・支線用水路およびその浸水防止工事を完成させたことにより、自治区全体の引水量、ダムの貯水量、有効灌漑面積が急速に増大した。100余億元を投資した塔里木(タリム)川総合整備プロジェクトが2008年に完工したことにより、タリム川下流300余キロの河道が30年も水涸れしていた歴史に終止符が打たれた。三北防護林(西北、華北、東北の3つの地区で実施している防護林プロジェクト)、平原緑化、退耕還林(耕地を森林に戻し、荒れ地を森林に造成する事業)、退牧還草(放牧地を草原に戻す)などの生態プロジェクト建設を全面的に推し進めたことにより、農業の生産条件を改善した。スプリンクラー灌漑、点滴灌漑(点滴灌漑装置で水を与える)などの高効率節水田畑80万ヘクタール近くを造設し、年間50億立方メートル以上の水を節約した。2008年末現在で、新疆はすでに国道主幹線8本、省道66本、県クラスの自動車道路600余本を有し、自動車道路開通距離の総延長は14万7000キロとなり、ウルムチを中心に国道幹線を主な骨幹とする幹線と支線の道路交通運輸網が形成されている。それは準噶爾(ジュンガル)と塔里木(タリム)の二大盆地をめぐり、古爾班通古特(グルバンテュンギュト)と塔克拉瑪干(タクラマカン)の二大砂漠を貫通し、天山山脈を横切り、南疆と北疆を結んでいる。前後して南疆鉄道、北疆鉄道および蘭新(蘭州―ウルムチ)鉄道の複線工事が完成して運営に入り、2008年現在の新疆鉄道の運営距離は3000余キロに達している。新疆の民間航空も急速に発展している。ウルムチを中心に、国内外の約70の大中都市、自治区内の12の地区、自治州、市を結び、114本の国内外の航路を有する航空輸送網が形成され、フライト総距離は16万余キロに達し、国内で空港が最も多く、航路が最も長い省・自治区となった。郵便・通信事業も急速に発展している。プログラム制御電話システム、光ファイバー通信、デジタルマイクロ波、衛星通信、モバイル通信などをフル装備した現代化通信システムが基本的に構築され、光ファイバー、デジタルマイクロ波、衛星通信などの現代化伝送網がすでに新疆全域をカバーしている。

--農業の総合的生産能力が著しく向上している。新疆の農業資源は非常に豊かである。近年来、食糧、綿花、特色のある果物、すぐれた牧畜業基地や施設農業の建設をめぐり、新疆の農業産業化経営が大いに加速し、高品質の特色のある農産物の産業ベルトがちくじ形成され、農業の基礎的地位、農業の総合生産能力がさら一歩強化されレベルアップし、農作物の有効な供給が倍増している。2008年の農業増加額は691億元に達し、2000年と比べ1.4倍増えている。2008年の食糧総生産量は1022万8500トンに達し、自治区内の供給と需要のバランスが維持され、さらにやや余剰が出ている。新疆は中国の重要な商品綿花の生産地であり、2008年の綿花総生産量は301万5500トンに達し、綿花の総生産量、単位面積当たりの収穫量と1人当たりの平均占有量のいずれも中国のトップにランクされた。現代牧畜業も発展を加速し、すでに農業生産総額の27%を占め、2008年の肉類生産量は175万4900トンに達し、2000年と比べて95%増えた。特色のある林業・果樹栽培業の発展は急速な発展をとげ、2008年の林業・果樹の栽培総面積は100万ヘクタールを突破し、その総生産量は400余万トンになり、生産総額は60億元を上回った。2008年現在、新疆には各種の農産物加工企業1059社があり、中国最大のトマト製品の加工・輸出基地になっている。乳製品の1日の加工能力はわずか数年のうちに1000トン足らずから3000トン近くまで高められ、全国で増産スピードが最も速い省・自治区となった。テンサイ糖の生産能力は60万トンに達し、全国最大のテンサイ糖の生産基地になった。ワイン醸造業の発展も迅速である。農産物加工企業によって、新疆の50%以上の栽培面積が受注生産を実現し、その効果は新疆の65%の農家に波及している。

--現代工業システムがちくじ形成されている。新疆の工業は無から有へ 、小から大への発展過程を経てきた。近年来、優位資源の転換、大企業・大集団戦略、中小企業成長プロジェクトなどの実施を通じて、新疆の新型工業化のプロセスは加速し、主な工業製品の生産高が倍増し、石油、石炭、鉄鋼、化学工業、電力、建築材料、紡績などを含む、分野が比較的そろった現代工業システムがちくじ形成された。天山北麓経済ベルト、烏昌(ウルムチと昌吉回族自治州)が一体化した経済区、庫爾勒(コルラ)・庫車(クチャ)石油化学工業ベルトなどの工業集中区ができ、国と自治区クラスの32の工業パークが構築された。2008年、国民経済への工業の貢献率は52.3%に達し、工業増加額は1790億7000万元に達し、1952年より274倍、1978年より16.6倍、2000年より3.98倍それぞれ増え、新疆経済の急速な成長を推し進める重要な要素になった。重点業種や重点分野の情報技術の応用は引き続き強化され、主な汚染物の排出総量は初歩的に抑制され、省エネ・排出削減活動も成果を収めている。

--鉱産物資源が効果的に開発された。新疆は中国で石油、天然ガス、石炭などの鉱産物の埋蔵量が最も豊かな地域の1つである。国は新疆の石油・天然ガスに対し、大探査、大開発、大投入の方針を堅持し、資源優位を経済優位に転換させ、資源開発を通じて新疆経済の急速な発展を促し、新疆各民族人民に幸福をもたらそうと努力している。2008年、新疆の石油生産量は2722万トンに達し、全国で2番目の原油生産地区になった。天然ガスの生産量は240億立方メートルに達し、全国第1位にランクされた。新疆の石油、天然ガスの開発および中国と西アジア諸国の関係分野の協力に伴い、新疆のパイプライン輸送建設も急速な発展をとげた。2008年、新疆は各種の石油・天然ガス輸送パイプライン4000余キロを擁し、北疆、南疆、東疆をカバーする石油・天然ガスパイプライン網の枠組みも基本的に形成された。近年来、石炭資源に頼った石炭発電・石炭化学工業産業が新疆で勃興している。エネルギーおよび化学工業の急速な発展は、新疆の経済発展のエネルギーと石油化学工業製品に対する需要を満たすだけでなく、また関連産業の発展も強力に牽引し、サービス業の成長を刺激し、区域経済構造の形成とグレードアップ化、就業創出や都市化進展の促進などの上でも重要な役割を発揮している。

--開放が引き続き拡大している。新疆は中国の西への開放の重要な玄関口であり、また新ユーラシア・ランドブリッジの主要通路でもある。新疆はモンゴル、ロシア、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、アフガニスタン、パキスタン、インドなど8つの国と隣接し、中国で陸地の国境線が最も長い省・自治区である。改革開放以来、新疆は閉鎖、半閉鎖から全方位的開放へと歴史的な転換をとげた。現在、新疆には国に認可された一類開放通商口が17、自治区に認可された二類開放通商口が12あり、周辺の十数カ国へ向って伸びている。2008年末現在、新疆はすでに167の国や地区と経済貿易協力と科学技術文化交流を展開している。2008年、新疆の対外貿易の輸出入総額は222億1700万ドルに達し、全国第12位(中西部の省・自治区・市の第2位)にランクされた。金融以外の対外直接投資額は1億6400万ドルに達し、全国第13位となった。対外工事請負業務は取引額7億9500万ドルを達成し、全国第14位、対外労務協力業務ではさまざまな労務人員8548人を派遣し、全国第13位にランクされている。

--観光業が急速に発展している。近年来、新疆の観光業は急速な発展を見、経済の新たな成長スポットになった。2008年現在、新疆には景勝地(観光スポット)が総計500カ所あり、「シルクロード」を主要コースに、喀納斯(カナス)湖生態景勝地、天池・賽里木(セリム)湖、博斯騰(ボスト)湖景勝地、トルファン・庫車(クチャ)文化遺跡観光区、喀什 (カシュガル)民族風情観光区、伊犁(イリ)塞外江南風光景勝地などを重点とする発展構造を作り上げた。2008年、新疆は国内外の観光客延べ2231万3200人を接待し、観光収入総額は200億元近くに達した。

--区域経済が協調的に発展している。国と新疆自治区は、強みを持ち条件のある地区が率先して発展することを積極的に支持し、同時に特別な政策や措置の実施により、「南疆三地州」(ホータン地区、カシュガル地区、グズルス・キルギス自治州)や牧畜地帯、辺境地区の発展を加速させ、新疆の南部と北部の協調的な相互影響、区域間の競争による相互促進、都市部と農村部の統一的計画による相互発展を促すパターン形成を推進している。天山北麓経済ベルトは東部沿海地域の産業移転を主動的に引き受け、新型工業化の発展基地を構築することを加速させている。烏昌(ウルムチ・チャンギ地区)の一体化の進展を速め、国家クラスの輸出製品加工区、開発区、工業パークの建設を加速させ、現代サービス業の発展に積極的に取り組んでいる。天山南麓の吐哈(トルファン・ハミ)地区の石油化学産業帯の発展を推し進め、石油・天然ガス、石炭発電・石炭化学工業に依拠し、大型プロジェクトによる集中効果を発揮させ、組み合わせて系統化する産業群が形成されている。「南疆三地州」の経済・社会の発展に力を入れ、耐震安全住宅プロジェクト、カシュガル古城地区の改造プロジェクト、農村インフラ施設の建設、地下水の開発、アルカリ性土壌の改良、安全な飲用水の確保、農村メタンガスなど、永続的に人民の生活改善に関わる一連のプロジェクトをしっかり行っている。牧畜区と辺境地区の生産・生活条件の改善に拍車をかけ、特別な援助政策をとって牧畜区と辺境地区の加速発展を促進している。

新疆の経済発展が勝ち取った巨大な成果は新疆各民族の人民が団結奮闘した結果であり、また中央政府と全国人民の長期にわたる支援の下で実現したものでもある。多年来、中央政府は国民経済や社会発展計画の制定に際し、常に新疆のインフラ施設プロジェクト、農業発展の基礎となるプロジェクト、現代工業体系の構築プロジェクトなどを国の重点プロジェクトに組み入れ、政策と資金的なサポートを行ってきた。1950年から2008年までに中央政府が新疆へ投じた額は3862億3000万元に達し、同期間の新疆の投資総額の25.7%を占めている。新疆ウイグル自治区が成立した1955年から2008年までに、中央政府が新疆に支給した財政補助は総額3752億200万元に達している。とくに2000年以降、西部大開発戦略の実施に伴い、中央政府の新疆への財政補助も年々増え、年平均伸び率は24.4%となり、2008年には685億6000万元に上った。中央政府はまた国際金融組織や外国政府借款など複数のルートを通じて、新疆への資金投入と支持を拡大している。ここ数年来、新疆の産業配置を最適化するため、中央政府は東南沿海の比較的発達した地区の一部の企業、工場を新疆に移転させ、内地からエンジニアリング技術者を新疆に新たに建設された基幹企業に派遣している。また多くの少数民族労働者を選んで内地企業で研修実習させ、短期間に新疆のためのエンジニアリング技術中堅陣を育成した。また全国の他の省・市は一対一の形で新疆に多くの資金、技術、人材支援を提供し、新疆の発展にとって重要な役割を発揮している。一方、発達した地区は技術者、教師、医者、企業管理者などのさまざまな人材を新疆支援リーダとして選抜し、新疆の地区(州)県へ派遣して臨時職務を担当させ、先進的な技術や考え方を伝え手本を示している。他方、新疆の党・政府機関のスタッフ、経済管理部門のスタッフや各種の専門技術者もグループに分かれ、一対一で支援する内地の省、市へ赴き臨時職務を担当し学習している。近年来、中央政府の求めに応じ、北京、浙江、天津、山東、遼寧、江西、上海、河南などの8つの省・直轄市と15の国有中核企業は、南疆の33の県(市)に対し、経済、科学技術、文化の全方位的な一対一の支援を行っている。