中国の民族政策と各民族の共同繁栄と発展

四、民族区域自治制度を堅持し完全なものにする


民族区域自治は、中国の民族問題を解決する基本政策であり、中国の基本政治制度の1つでもある。

中国の民族区域自治とは、国の統一的指導の下、各少数民族が集中居住する地方が区域自治を実行し、自治機関を設立し、自治権を行使することを指す。

中国の民族自治地方の設立は、地元の民族関係や経済発展などの条件に基づき、また歴史的状況を斟酌して確定したものである。現在、中国の民族自治地方は少数民族集中居住区の人口や区域面積によって、自治区、自治州、自治県の3クラスに分けられ、その行政的地位はそれぞれ省、区を設置している市、県に相当する。民族自治地方の人民代表大会と人民政府は自治機関であり、国の一級の地方政権機関でもあり、地元の実情に合わせて国の法律・政策を実行している。民族区域自治は国の統一的指導下の自治であり、各民族自治地方は国家と不可分の一部であり、各民族自治地方の自治機関はいずれも中央の指導に服従しなければならない。

中国が民族区域自治を実行するのは、歴史を尊重し、国情にかない、民心に従う必然的な選択である。第一に歴史的な伝統から言えば、統一した多民族国家が長期にわたり存在することが、民族区域自治を実行する歴史的な根源である。第二に民族関係から言えば、中華民族の多元一体の枠組みの中で、各民族間の広範囲にわたる密接な関係が、民族区域自治を実行する経済・文化的基礎である。第三に民族分布から言えば、中国各民族の「大雑居、小集居」の状況、および自然、経済、文化の多様性と相互補完性が、民族区域自治を実行する現実的条件である。

民族区域自治を実行することは次の点で有利である。国家の集中や統一を各民族の自主、平等に結びつけること、国の法律・政策を民族自治地方の実情、特殊な状況に結びつけること、国の富強・民主・文明・調和を各民族の団結・進歩・繁栄・発展に結びつけること、各民族人民が祖国を愛する感情を自らの民族を愛する感情に結びつけることなどである。統一した祖国の大家庭では、中国の各民族は睦まじく付き合い、心を合わせて協力し、調和的に発展しながら、それぞれが適所を得て、能力をいかし、長所を発揮している。

多年来、中国政府は終始民族区域自治を堅持してきたが、時代とともに前進し民族区域自治を完全なものにし、著しい成果をあげた。

民族自治地方があまねく確立された。早くも新中国成立前の1947年、中国は中国共産党の指導の下で最初の省クラスの民族自治地方―内蒙古自治区を設立した。中華人民共和国成立後、中国政府は憲法や法律の規定に基づき、少数民族が集中居住する地方に民族区域自治を実施し始めた。1955年10月に新疆ウイグル自治区、1958年3月には広西チワン族自治区、1958年10月には寧夏回族自治区、1965年9月にはチベット自治区が成立した。2008年末現在、全国には5自治区、30自治州、120自治県(旗)の合計155の民族自治地方が設立されている。2000年の第5回国勢調査によれば、55の少数民族のうち、44が自治地方を設立し、区域自治を実行する少数民族人口は少数民族総人口の71%を占め、民族自治地方の面積は全国土面積の64%を占めている。そのほか、中国は1100以上の民族郷を設立し、民族区域自治制度を補完している。

民族区域自治に関する法律制度はちくじ整備されている。1949年の中国人民政治協商会議が採択した、臨時憲法としての役割を持つ『中国人民政治協商会議共同綱領』は、民族区域自治を新中国の基本政策の1つと定めている。1952年に中央人民政府が公布した『民族区域自治実施綱要』は、民族自治地方の設立、自治機関の構成、自治機関の自治権利など重要な事項に対し明確な規定を行っている。1954年の全国人民代表大会が採択した『憲法』は、国の根本法としてこの制度を確認し、同時にずっとこの制度の実行を堅持してきた。1984年、民族区域自治の歴史的経験を総括したうえで、第6期全国人民代表大会第2回会議は『民族区域自治法』を採択し、これにより中国の民族区域自治は政策、制度、法律の三位一体を実現した。『民族区域自治法』は憲法の定める民族区域自治制度を施行する基本的な法律であり、中央と民族自治地方の関係および民族自治地方の各民族間の関係を規範化し、その法的効力の及ぶ範囲は民族自治地方に限らず、全国各民族人民とすべての国家機関がこの法律を順守、実行しなければならない。2001年に社会主義市場経済体制が確立したという実情に基づき、全国人民代表大会常務委員会は『民族区域自治法』を改正した。2005年、国務院は『「中華人民共和国民族区域自治法」の実施に関する国務院の若干の規定』を公布し、上級人民政府が民族自治地方を支持し支援する職責を明確に規定した。

民族自治地方は自治権を効果的に行使している。民族自治地方の自治機関とは自治区、自治州、自治県の人民代表大会であり人民政府である。民族自治地方の自治機関は法律に基づいて以下の権力を行使している。

―自民族、地元地域の内部事務を自主的に管理する。民族自治地方の各民族人民は憲法と法律が賦与する選挙権と被選挙権を行使し、人民代表大会代表を選出し、自治機関を構成し、自民族や地元地域の内部事務を管理する権利を行使している。現在、中国の155の民族自治地方の人民代表大会常務委員会には、いずれも区域自治を実行する民族の公民が担当する主任または副主任がいる。自治区主席、自治州州長、自治県県長はすべて区域自治を実行する民族の公民が担当している。同時に、民族自治地方の人民政府のその他のメンバーも、区域自治を実行する民族とそのほかの少数民族のメンバーが合理的に登用されている。自治機関に所属する部門の幹部も、同様に区域自治を実行する民族とその他の少数民族のメンバーを合理的に配置している。

―自治条例と単行条例を制定する権力を享有している。中国の『民族区域自治法』は、民族自治地方の人民代表大会は一般の地方国家権力機関の権力を享有する以外に、地元の民族の政治、経済、文化の特徴に基づき、自治条例と単行条例を制定する権利を有すると規定している。『中華人民共和国立法法』は、また自治条例と単行条例は地元の民族の特徴に基づき、法律と行政法規の規定に対し適当に融通を利かせることができると規定している。2008年末現在、民族自治地方は自治条例、単行条例、関連法律に対し合計637件の状況に応じた規定または補足規定を制定している。民族自治地方は地元の実情に合わせて、国が公布した婚姻法、相続法、選挙法、土地法、草原法など多くの法律に対し状況に応じた規定と補足規定を行っている。

―経済建設事業を自主的に計画、管理し、発展させている。民族自治地方の自治機関は法律の規定と地元の経済発展の実情に基づいて、生産関係と経済構造を合理的に調整し、地元の管轄を受ける企業・事業体を自主的に管理している。民族自治地方の自治機関は法律の定めるところにより地元の自然資源を管理、保護し、地方財政を管理する自治権がある。国の計画の導きの下で、民族自治地方の自治機関は地元の条件に合わせて、経済社会発展の計画や目標を自主的に立て、地方のインフラ建設プロジェクトを実施している。民族自治地方は国の規定に基づき、国務院の批准を経て、対外貿易の開放通商口を開くことができる。民族自治地方の自治機関は対外経済貿易活動で、国の優遇策を享受している。

―文化・社会面の諸事業を自主的に発展させている。民族自治地方の自治機関は国の教育方針により、法律の規定に基づき、地元の教育計画、さまざまな学校の設置や学制、学校運営形態、教学内容、学生募集方法を決定している。民族自治地方の自治機関は民族形態や民族特徴をそなえた文学、芸術、報道、出版、ラジオ放送、映画、テレビなどの民族文化産業を自主的に発展させている。民族自治地方の自治機関は、関係部門が民族の歴史・文化書籍を収集、整理、翻訳、出版し、名所旧跡や貴重な文化財、その他の重要な歴史文化遺産を保護することを組織、支持し、民族のすぐれた伝統文化を受け継ぎ、発展させている。