| 民族平等は、中国の民族政策の基礎である。
民族平等を実行するのは中国の憲法の原則である。『中華人民共和国憲法』(以下は『憲法』と略称)は、「中華人民共和国の各民族は一律に平等である」と規定している。この原則の精神に基づき、『中華人民共和国民族区域自治法』(以下は『民族区域自治法』と略称)などの法律・法規は民族平等について具体的かつ明確な規定を制定した。
中国では、各民族の一律平等には3つの意味がある。1、各民族は人口の多少や歴史、居住地域、経済発展の程度、言語文字、宗教信仰、風俗習慣を問わず、政治的地位が一律に平等である。2、各民族は政治、法律の面で平等であるだけでなく、経済や文化、社会生活などあらゆる分野でも平等である。3、各民族の公民は法律の前に一律に平等であり、同じ権利を享有し、同じ義務を負う。
60年にわたるたゆまぬ努力を経て、中国は民族平等を保障する中国の特色ある法律規範体系をほぼ構築し、各民族の平等な権利が法律に基づき保障されている。
―人身の自由と人身の権利は侵害されない。憲法と法律の定めるところにより、国は人権を尊重し保障する。各民族公民の人身の自由は侵害を受けず、不法拘禁やその他の方法によって公民の人身の自由を不法に剥奪または制限することを禁止している。各民族公民の人格の尊厳を侵害せず、その名誉権、氏名権、肖像権などは法律で保護される。いかなる方法によっても公民を侮辱、誹謗、誣告し、陥れることを禁じている。新中国成立以前、四川などのイー族地区では約100万人が奴隷制度を存続させ、チベットや雲南のシーサンパンナなどの地区では約400万人が封建農奴制度をとどめていた。これら地区の少数民族大衆はほとんどが封建領主、大貴族、寺院または奴隷主に従属し、かってに売買されたり贈物にされ、人身の自由がなかった。例えば、旧チベットで、17世紀に作られ300年以上も通用していた『十三法典』と『十六法典』は、人を三等九級に厳格に区別していた。『法典』は、「上等上級人」の命の価値はその死体と同じ重さの黄金に等しく、「下等下級人」の命はわら縄一本の価値しかないと規定していたが、「下等人」はチベット総人口の95%以上を占めていた。新中国は人権を保障するために、20世紀50年代にこれら地区で民主改革を行い、奴隷制と封建農奴制を廃止した。昔の大量の農奴と奴隷は人身の自由を獲得し、新しい社会の主人公となった。
―法律の前に一律に平等である。中国では、すべての公民は憲法と法律が規定する権利を一律平等に享有しながら、憲法と法律が規定する義務を一律平等に履行する。公民の合法的権益が一律平等に保護され、違法行為や何人の犯罪も法律に基づき追及され、法律の適用において一律に平等であり、何人も法律を超える特権を持つことが許されない。少数民族が自民族の言語文字を使って訴訟を起す権利を保障するために、『中華人民共和国民事訴訟法』第11条は、「各民族公民は自民族の言語や文字を使用して民事訴訟を行う権利がある。少数民族の集中居住区または多民族の共同居住区では、人民法院は現地の民族に通用する言語や文字で審理を行い、法律文書を公布すべきである。人民法院は現地の民族に通用する言語や文字に通じない訴訟参加者に翻訳や通訳を提供すべきである」と規定している。『中華人民共和国刑事訴訟法』、『中華人民共和国行政訴訟法』、『中華人民共和国人民法院組織法』はいずれも類似規定を設けている。

―国家事務を管理する権利を平等に享有する。中国では、各少数民族と漢族は平等な地位に立って国家事務と地方事務の管理に参加する。『憲法』第34条は、「中華人民共和国の満18歳の公民は、民族、種族、性別、職業、出身家庭、宗教信仰、教育レベル、財産の状況、居住期限を区別せず、みな選挙権と被選挙権がある」と規定している。それのみならず、法律はさらに少数民族の政治的参加に特別な保障を与えている。全国人民代表大会と地方各クラス人民代表大会は、中国の各民族人民が国家権力を行使する機関である。『中華人民共和国全国人民代表大会と地方各クラス人民代表大会選挙法』は、同一の少数民族の人口が現地の総人口の15%にならない場合、少数民族の一人の代表が代表する人口数は現地の人民代表大会の一人の代表が代表する人口数よりある程度少なくてもよく、人口がきわめて少ない民族については少なくとも一人の代表がいるべきである、と規定している。各回の全国人民代表大会では、全国人民代表大会の代表総数に占める少数民族の代表数の比率が、いずれも同期の少数民族人口の全国総人口に占める比率を上回っている。第11期全国人民代表大会常務委員会委員161人のうち、少数民族は25人で、15.53%を占めている。
―宗教信仰の自由を平等に享有する。中国では、宗教信仰の自由とは、公民はだれでも宗教を信仰する自由があり、宗教を信仰しない自由もあり、この宗教を信仰する自由もあれば、別の宗教を信仰する自由もあり、かつて宗教を信仰していなかったが現在は信仰するという自由もあれば、かつて宗教を信仰していたが現在は信仰しないという自由もあることを意味する。『憲法』第36条は、「中華人民共和国の公民は宗教信仰の自由を享有する。いかなる国家機関、社会団体、個人も公民に宗教信仰または宗教の不信仰を強制してはならず、宗教を信仰する公民と信仰しない公民を差別してはならない」と規定している。憲法の原則を貫徹するために、国務院は『宗教事務条例』を公布した。中国では、少数民族の信者たちのすべての正常な宗教活動は法律によって保護され、宗教活動場所は各地に分布し、信者たちの宗教生活の需要をほぼ満たしている。例えば、新疆にはモスクが2万4300カ所あり、イスラム教教職者が2万8000人以上いる。チベットにはチベット仏教のさまざまな宗教活動場所が1700余カ所あり、寺院の僧侶と尼僧は4万6000人以上おり、仏教経典の学習、弁論、受戒、灌頂(チベット仏教の僧侶が密法の修行時に必ず行う宗教儀式で、チベット語で力を与えるという意味)、修行などの伝統的な宗教行事や寺院で経典を学び試験によって学位昇進をはかるなどの活動が正常に進められ、経幡(仏教の旗、タルチョ)や経文が刻まれたマニ堆および宗教行事を行う信者たちの姿をいたるところで目にすることができる。そのほか、中国政府は宗教団体を援助して宗教大学を設立し、少数民族の宗教教職者を育成し、また少数民族地区の一部の宗教活動場所の補修資金を支援し、生活に困窮する少数民族の宗教界の人びとに補助金を与えている。
―自民族の言語文字を使用し発展させる権利を享有する。『憲法』は、「各民族は自民族の言語文字を使用し発展させる自由を有する」と規定している。国の政治的生活では、全国人民代表大会や中国人民政治協商会議などの重要会議では、いずれも蒙古族、チベット族、ウイグル族、カザフ族、朝鮮族、イー族、チワン族などの文字による文書または言語の通訳を提供している。中国の人民幣の主要貨幣には漢字のほかに、蒙古族、チベット族、ウイグル族、チワン族などの4種の少数民族文字が表示されている。民族自治地方の自治機関が公務を執行する場合、現地に通用する1種あるいは何種類かの文字を使用している。同時に、少数民族の言語と文字は教育、報道・出版、放送・映画・テレビ、ネット・電信など諸分野においても広く用いられ、発展している。
―自民族の風俗習慣を保持または改革する自由を享有する。『憲法』は、各民族は「自らの風俗習慣を保持または改革する自由がある」と規定している。国は、少数民族の服飾や飲食、居住、婚姻、祝祭日、礼儀、葬儀などの風俗習慣を十分に尊重し、確実に保障している。例えば、清真食品(ブタ肉を用いないイスラム教信者の食品)を飲食する一部の少数民族の習慣を保障するため、北京や江蘇、新疆など16省(自治区、直轄市)および広州、昆明、成都など多くの中心都市が、専門の法律を制定して清真食品の供給や管理を保障している。そのほかの地方も総合的な法規の中に清真食品の管理基準を設けている。少数民族が自民族の祝日を楽しく過ごす権利を保障するため、国の法律の定めるところにより、民族自治地方の人民政府は関係する少数民族の習慣に照らして休日規則を制定することができ、少数民族の職員・労働者は自民族の重要な祝日や行事に参加する場合、国の関連規定により休みにすることができ、また給与は平常どおり支払われる。少数民族の風俗習慣を侵害することを防ぐため、国の法律・法規は報道、出版、文芸、学術研究などの関係部門と従事者に対して明確な要求を出している。刑法には「少数民族風俗習慣の不法侵害罪」が特別に設けられ、法律に基づき少数民族の風俗習慣を侵害する違法行為を追及する。
経済社会発展などにおいて少数民族が漢族と比べ一定程度の格差があることに鑑み、中国の少数民族公民は憲法と法律が規定するすべての公民の権利を平等に享有するだけでなく、さらに法律に基づいて特別な権益保障を享有している。
国はいかなる形態の民族差別や抑圧にも断固として反対している。中国では、民族の恨みや差別を扇動し、民族の平等団結を傷つけるいかなる言行もすべて違法である。少数民族は差別や抑圧、侮辱を受けたとき、司法機関に告訴する権利がある。中国は『あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約』(ICERD)に加盟しており、国際社会とともに条約の定める義務を真剣に履行し、民族と人種の差別がない世界を構築するためにたゆまず努力している。 |