二、二〇〇五年度の仕事の全般的配置
今年は「第十次五ヵ年計画」の任務を全面的に達成し、「第十一次五ヵ年計画」の発展に向けて基礎をしっかりうち固めるという意味で節目の年となる。政府活動の基本的な考え方は次のようなものである。鄧小平理論と「三つの代表」という重要な思想を導きとして、党の第十六回全国代表大会と十六期三中・四中全会の精神を真剣に貫き、科学的発展観を拠り所として経済と社会の発展の全局を統轄することを堅持し、マクロ規制を強化、改善し、改革開放を原動力として諸般の仕事を推し進め、社会主義の調和のとれた社会を築き上げ、社会主義の物質文明、政治文明及び精神文明がともに進歩するよう推し進めていくことである。
国内外の諸要素を総合的に考慮して、今年度の経済・社会発展の主要な所期目標を次のように定める。国内総生産(GDP)の伸び率を八%前後とする。都市部就業者の新規増加数を九〇〇万人とし、都市部の登録失業率を四・六%に抑え、住民消費者物価総水準の伸び幅を四%に抑える。国際収支の基本的なバランスを保つ。
安定した比較的速い経済成長を維持すること、これは政府活動の中でも必ずしっかりととらえるべき重要な課題である。わが国は今まさに重要な戦略的チャンスに恵まれる時期にあることから、わが国の経済は比較的速い発展を遂げるであろうが、経済成長のスピードについても適宜にコントロールしなければならない。景気の過熱や冷え込みはいずれも経済の発展にマイナスであり、改革開放と社会の安定にとってもデメリットである。中央が今年度の経済成長の所期目標を八%前後に定めたのは、所期目標を実際の状況に合わせるためであるとともに、必要とその可能性に配慮し、就業と物価などその他の所期目標の要請をも考慮に入れたためである。社会主義市場経済の条件下において、経済・社会発展の所期目標は指導的なものであり、経済運営の変化に応じて調整することができる。各地域は実際から出発し、実事求是の精神に則って各自の経済・社会発展の所期目標を提出し、仕事の重点を真に経済成長の質と効率の向上に置き、経済成長のスピードを盲目的に他の地域と比べたりしないようにすべきである。
今年の経済・社会発展の諸任務を全面的に遂行するには、その指導と配置において、重点的に以下の三つの方面に力を入れなければならない。一、マクロ規制への取り組みに力を入れること。経済運営における不安定かつ不健全な要素をさらに取り除き、経済構造の調整と成長パターンの転換を推し進め、経済の安定した比較的速い成長を維持し、物価の総体的水準を基本的に安定させる。二、改革開放の推進に力を入れること。改革によって諸般の仕事を推進することを堅持し、改革の深化を科学的発展観の徹底、マクロ規制の強化及び改善と結び付け、改革の方法を用いて発展に影響を及ぼす体制上の問題の解決に力点を置く。対外開放のレベルを全面的に高め、国内外の二つの市場、二つの資源をよりよく利用する。三、調和のとれた社会の構築に力を入れること。民主的法治を進める、公平と正義のある、信義誠実をむねとし友好的に付き合う、活力にあふれた、安定的で秩序だった、人間と自然が仲良く共存する社会主義の調和のとれた社会の建設に取り組み、すべての獲得しうる力を最も幅広く結集させ、すべての積極的要素を最も十分に引き出し、社会全体の創意と活力を引き出す。各方面の利益関係を適切に処理し、すべての人民が改革と建設の成果をともに享受するようにし、改革・発展・安定の関係を正しく処理し、経済と社会の持続的な発展に役立つ条件と良好な環境を作り出さなければならない。
三、引き続き経済の安定した、比較的速い発展を維持する
今年の経済発展において、重点的に次の四つの方面の仕事を立派に行なわなければならない。
(一)マクロ規制の強化と改善を堅持する。当面の経済運営の状況を見れば、マクロ規制への取り組みを緩めてはならない。今年は穏健な財政政策と通貨政策を実施し、諸般のマクロ経済政策の調整を強化する。実情に応じて区別して取り扱い、確保もすれば規制もするという原則をよりよく貫徹し、市場メカニズム機能の発揮をよりいっそう重視し、経済、法的手段の運用にさらに重きを置き、これをもってマクロ規制で収めた成果を確実なものにし、発展させる。
穏健な財政政策を実施する。一九九八年以来、アジア金融危機によってもたらされた悪影響及び国内有効需要の不足問題に対処するため、中央は積極的な財政政策を進めてきた。この政策は正しいものであり、著しい成果が見られたことを、実践が裏付けている。当面投資規模がかなり大きくなり、民間資金の投下もかなり増大してきている現状に鑑み、拡張型の積極財政からほどよい穏健な財政政策へと転換することが必要であり、その条件も備わっている。今年は財政赤字を適度に減少させ、長期国債発行規模を適度に圧縮する。計画では中央財政赤字を三〇〇〇億元計上し、前年度予算分より一九八億元減少させ、長期建設国債の発行額を八〇〇億元とし、前年度より三〇〇億元減少させると同時に、中央の予算枠内の経常的な建設投資を一〇〇億元増加させることとする。引き続き一定規模の長期建設国債を発行することにしたのは、主として「農業、農村、農民」、社会発展、生態系整備と環境保護など脆弱な諸方面への投入を大きくし、西部大開発、東北地区などの旧工業基地振興をサポートし、かつての革命根拠地、少数民族地区、国境地区及び貧困地区の発展の加速を支援するためであり、さらに一部の建設中プロジェクトも国債資金による継続的な後押しを必要としているためである。真剣に財政、税収の仕事を遂行する。法に則って租税の徴収と管理を強化し、税収面の優遇政策を全面的に整理し、規範化させ、税収の減免を厳しく抑制し、安定した財政収入の増加を確保する。一般的支出の伸びを厳格に抑制し、重点支出の需要を保証する。全面的に節約を励行することで、派手好みや無駄遣いに反対する。
引き続き穏健な通貨政策を実施する。マネーサプライや貸出を合理的に規制し、経済の発展を支えると同時にインフレの防止と金融リスクの回避にも注意を払うべきである。金融規制のパターンを改善し、多種類の通貨政策手段を弾力的に駆使する。金融企業が融資構造を最適化させ、金融サービスを改善するよう導き、広い販路のある高収益率の企業の流動資金調達の需要を満たし、中小企業と農村への貸付を増やし、中長期貸付を合理的に規制する。金融企業に対する監督・管理を強化する。さまざまな潜在的金融リスクを積極的かつ穏当に処理し、金融分野における違法犯罪行為を厳しく取り締まり、安全かつ高効率で穏健な金融の運営を確保する。
固定資産投資の規模を抑制する。引き続き土地使用の審査・許認可と貸出審査を厳しくする。最も厳格な土地管理制度の実行を堅持し、その政策を充実させ、厳格に法律を執行する。都市計画と土地管理を強化し、土地市場に対する整理・整頓を引き続きくりひろげ、農業用地を建築用地に変更することを厳しく抑制し、都市建設の規模を合理的に抑制する。重点業種の産業政策、特定項目の計画や市場参入基準の完備を急ぐ。投資構造の最適化に力を入れ、民間資金が発展における軟弱な部分へ投下されるよう導く。経済運営に対する調節を引き続き上手に行ない、石炭、電力、石油、輸送の逼迫状態を一段と緩和させる。
積極的に消費需要を拡大する。消費の拡大に役立つ財政・税制、金融及び産業政策を実行し、消費者ローンなど新しいタイプの消費方式を着実に発展させる。消費環境の改善に努め、とりわけ農村におけるインフラ整備を速め、農村の流通の活性化にさらに力を入れ、農村市場を開拓する。新たな消費ホットスポットを育成し、サービス消費を拡大し、消費者の購買行動を導き、消費者の自信を強め、スポット消費を増大させる。
価格の全般的水準の基本的安定を維持する。食糧などの主要農産物の価格を合理的水準に維持しつつ基本的安定を図り、重点として生産財価格と不動産価格の高騰に歯止めをかけ、公共商品とサービス価格の調整のタイミングと取り組みの度合いの把握に努める。市場及び価格に対する監督・管理を強化し、物価をつり上げる行為を断固として制止する。
(二)「農業、農村、農民」に関わる仕事をよりいっそう強化する。農業、農村、農民の問題を上手に解決することは、依然として仕事の全般における重点の中の重点である。わが国の経済発展の新段階における要請に応じて、工業が逆に農業を養うようにし、都市部による農村部支援という方針を実行し、国民所得の分配構造を合理的に調整し、農業と農村の発展をさらに支援していく。農業の総合的生産能力の向上をめざし、食糧の安定的な増産、農民の持続的増収をはかり、多方面から支援の度合いを大きくする。
一、農業支援政策を定着させ、それをより完全なものにし、強化する。農業税の減免のテンポを速める。全国的範囲において、農業税を大幅に減免する。五九二の国家貧困扶助・開発重点県で農業税を免除する。すべての牧畜業税を免除する。農(牧畜)業税の減免によって減少した財政収入分については、主として中央財政が特定項目の移転支出を計上してそれを補填する。今年は中央財政はこのため一四〇億元の支出金を新規増加し、この面での支出総額は六六四億元に達する。来年は全国的範囲で一律に農業税の免除を行う。五年間で農業税を撤廃するという当初の目標は、三年間で達成できることになる。食糧を生産している農民に対し引き続き直接補助金を与え、優良品種作付補助金と農機具購入補助金を増やすし、重点食糧品種に対し引き続き最低買付価格の保護政策を行なう。総合的な措置を講じて、農業生産財価格の速すぎる高騰を抑制する。中央財政はさらに一五〇億元を計上し、主要食糧生産県及び財政難を抱える県への移転支出の増加に振り向ける。これはこれらの地区における末端建設と農村の諸般事業の発展にとって重要な役割を果たしている。
二、引き続き農業と農村の経済構造調整を推し進める。一段と食糧生産を発展させ、穀物作付面積を安定的に維持し、増大させ、食糧生産基地の整備を強化し、耕地、とりわけ基本農地を厳格に保護する。農業の地域的特化の配置、専業化生産及び産業化経営を推進し、特色のある農業を大いに発展させる。農産物加工業の発展を速める。林業、牧畜業と水産業を鋭意発展させる。郷鎮企業の発展を促進し、県域経済を大きくする。
三、農地水利及び農村インフラの整備を強化する。国の基本建設投資と国債資金は、農地水利、生態系整備、中・低収農地の改良、「六小プロジェクト」(節水灌漑、人と家畜の飲用水、村や郷の道路、メタンガス利用施設、小型水力発電所、家畜飼育場の囲い柵などの中小型基盤施設)、畑作節水農業及び県・郷の自動車道路の整備などを重点的に支援しなければならない。農業の総合開発資金はよりいっそう主要食糧生産区へ傾斜させる。農民の直接利益が確保される小型基盤施設整備へ労務を提供するよう導き、奨励する。
四、農業の科学技術イノベーションと技術の普及を急ぐ。農業科学技術への投入を大幅に増やし、農業科学技術イノベーション能力の育成を強化し、技術普及システムをいっそう充実させる。重要な農業技術普及の特定項目補助金を増やす。科学技術者が農村へ赴いて技術面のコンサルティングとサービスを行なうよう後押しし、奨励する。
五、多ルートを通じて農村の余剰労働力の移出を図る。農村の第二、第三次産業を発展させ、都市化建設を穏当に推し進め、農村労働力の就業スペースを開拓、拡大する。農村から都市へ出向いた就労者の就業、起業のための環境を改善し、それに対する職業技能訓練を積極的に繰り広げる。農民就労者にかかわる諸政策を一歩進んで検討し策定する。農村の労働力が合理的に秩序だてて移動するよう導く。
(三)経済構造調整と成長パターンの転換を急ぐ。
産業構造の最適化とグレードアップを推進する。新しいタイプの工業化の道を歩むことを堅持し、科学技術の進歩に依拠し、自主的革新能力の向上をめぐって、構造調整を進めていく。経済成長に対して、重要な牽引役を果たすハイテクや在来産業のグレードアップを促進する汎用技術、カギとなる技術及び関連技術の開発を加速する。いくつかの重要な分野においてカギとなる技術革新の目標と措置の策定を急ぎ、早急に新たな突破を図る。イノベーションを奨励する体制と政策システムを完備させる。先進技術の導入とその消化、吸収、イノベーションを結びつけることを堅持し、自主的開発能力の増強に力を入れる。ハイテク産業の発展に取り組み、国民経済と社会の情報化を積極的に推し進める。ハイテクノロジーと適用先進技術をもって在来産業を改造し、グレード・アップさせる。重要なプロジェクトに依拠し、プラント製造業の振興を促す。特別計画の導きの下、引き続きエネルギー資源、重要な原材料などの基盤産業及び水利、交通、通信などのインフラ整備を強化する。現代流通、観光、コミュニティ・サービスなどの第三次産業を鋭意発展させる。資金・技術集約型産業を発展させるだけでなく、労働集約型産業をも引き続き発展させる。
企業の技術改良と再編を促進する。既存企業の基盤に立脚して、保有資産の活性化と活用を重視し、盲目的な新規拡充を防ぐ。財政・税制、金融及び土地利用等の諸方面から、重点企業の技術改良に対する支援を強化し、企業の技術改良と改革を結びつけることに重きを置く。民間資金が既存企業の再構築と技術改良に振り向けられるようサポートし、それを導く。
エネルギー資源の節約と合理的利用を重視する。わが国のエネルギー資源と経済・社会発展の間の矛盾を緩和させるには、あくまで国内に立脚し、エネルギー資源の利用効率を著しく引き上げなければならない。一、開発と節約を同時におしすすめ、節約を首位に位置づける方針を断じて実行すること。省エネ・原材料消費量削減の新技術の開発と応用を奨励し、エネルギー資源、原材料の消費量が多い設備や製品に対し強制的淘汰制度を実施する。二、特定項目の計画策定を急ぎ、各業種における省エネ・原材料消費量削減の基準、目標及び政策・措置を明確にすること。重点業種における省エネ、節水、原材料節約の仕事に取り組む。環境にやさしい省エネ自動車、省エネ・土地節約型住宅と公共建築の発展を奨励する。三、循環型経済の発展に力を入れること。資源開発、生産過程での消費、廃棄物のリサイクル及び社会的消費などの諸段階で、資源の総合的利用とリサイクルを早急に推し進める。新エネルギー、再生エネルギー資源を積極的に開発する。四、鉱物資源の開発管理を強化すること。鉱物資源の開発秩序を整頓し、規範化させる。資源開発・利用の補償メカニズムと生態系環境回復・補償メカニズムを完備させる。五、エネルギー資源を節約する生産方式と消費スタイルの提唱に力を入れることであり、社会全体において節約の意識と気風を醸成し、節約型社会の建設を急ぐ。
環境保護と生態系整備を強化する。人民大衆の健康や安全に深刻な影響を及ぼす環境汚染問題の解決を急ぐ。水質汚濁対策を重点として、工業および都市における汚染対策を強化し、農村部における面的な汚染への対策に力を入れ、飲用水の水源地に対する保護を強化する。厳格な汚染物排出総量規制制度を実施し、環境保護への監督と法律執行に力を入れる。クリーン・プロダクションの推進に力を入れ、環境保護産業を発展させる。引き続き天然林の保全と草原の整備に力を入れ、風砂発生源や水土流失の対策を強化する。われわれの奮闘目標は人民大衆のためにきれいな飲用水や空気、より良好な勤労と生活の環境を確保するものである。
(四)地域間のバランスのとれた発展を積極的に促進する。西部大開発を実施し、東北地区などの旧工業基地を振興させ、中部地域の勃興を促進し、東部地区の発展の加速を奨励することは、小康社会を全面的に建設し、現代化建設を速める全局から打ち出された統一的戦略配置である。これは各地域の特徴に適合し、比較優位を生かすことができ、それぞれの重点があり、緊密に連係しあう地域発展戦略を統一に企画し、バランスのとれた発展の要請を具現したものであり、各地域の意欲を十分引き出すことに役立ち、東部、中部、西部が協力、相互補完し、促進し、ともに発展することに寄与する。
五年間の西部大開発戦略の実施によって積み重ねられた経験を真剣に総括しなければならない。国は政策措置、資金の投入、産業配置、人的資源の開発などの方面で西部地区にさらなる支援を与える。引き続きインフラと生態系環境の整備を強化する。引き続き耕地の林地への復元、放牧の停止による草地回復に力を入れる。優位資源の開発に力を入れ、特色のある産業を発展させ、加工による付加価値増大能力を向上させる。重点地域、重点地帯の開発を急ぐ。内外に対する開放を積極的に拡大し、周辺諸国・地域との経済・技術提携を強化する。長期的で安定した西部開発特定項目資金の調達ルートの開拓を急ぐ。
東北地区など旧工業基地の振興に関する中央の諸政策措置を全面的に実施する。現代農業の発展に力を入れ、国の商品食糧基地の整備を強化する。産業構造の調整やグレードアップと重点企業の改革・再編・改造を急ぐ。資源型都市の斜陽産業への援助メカニズムの構築を検討し、その経済構造の高付加価値化を促す。増値税の消費型への転換テストを真剣に推し進め、都市部における社会保障システムのテストを繰り広げる仕事を立派に遂行する。東北地区などの旧工業基地は改革が加速し、開放が拡大する過程において、体制、メカニズムの創造・革新を軸に振興を実現するという新たな道を歩むようにしなければならない。
中部地区の勃興を促進する計画と措置の検討、策定を急ぐ。中部地区の地域的優位と総合的経済優位を十分に活かし、現代農業、特に主要食糧生産地区の整備を強化し、総合交通・輸送システムやエネルギー資源、重要原材料基地の整備を強化し、競争力のある製造業とハイテク産業の発展を速める。中部地区という巨大な市場を開拓し、広域流通業を発展させる。国は政策、資金、重要な建設の配置などの面から支援を与えるべきである。
東部地区の発展の加速は、国の実力と競争力の増強にも、ほかの地域の発展をサポートし、牽引する上でもプラスとなる。東部地区は経済構造の最適化、体制改革の深化、成長パターンの転換などにおいて先を行くべきである。経済の全般的体質と国際競争力の向上をさらに重視し、外向型経済をいっそう発展させる。都市と農村、経済と社会の間の調和のとれた発展の促進に一段と力を入れ、耕地保護、資源節約と生態系環境の整備を確実に強化する。積極的に中部・西部地区の発展をサポートする。
いっそう有力な措置を講じて、かつての革命根拠地、少数民族地区、国境地区と貧困地区をサポートし、その経済・社会の発展を速める。
四、経済体制改革と対外開放の推進に力を入れる
今年、われわれはさらに力を入れて経済体制改革を推し進め、一部の重要分野とカギとなる部分において突破を目指さなければならない。
(一)引き続き農村の改革を推進する。農村における租税・費用改革は農村の経済・社会分野における大きな変革である。すべての農業税を免除して、農民のさまざまな不合理な負担をなくし、二千年余りも続いてきた農民に「年貢」を納めさせる歴史を徹底的に改めること。この目標の達成は農村における租税・費用改革が踏み出した第一歩にすぎず、その成果を定着させるにはより大きな努力を払らい、より一層長い道を歩まなければならない。租税・費用改革における新たな矛盾と新たな問題の解決の検討を急ぎ、仕事の重点を郷鎮機構、農村義務教育体制及び県・郷財政管理体制などの諸改革に置かなければならない。これはより重要であるとともに、より複雑で困難な課題である。それと同時に、食糧流通体制の改革、農村における金融体制の改革、農村における土地管理制度の改革を深化させなければならない。
(二)国有企業の改革を深化させる。国有企業の改革は依然として経済体制改革の中心的な一環であり、確固としてゆるぐことなく中央の定めた方針政策に基づき推進しつづけなければならない。一、国有経済の配置と構造の戦略的調整を堅持し、国有資本が参入も退出もできる、合理的に流動するメカニズムを整備する。独自の知的財産権、著名ブランドと国際競争力のある大会社、大手企業グループを積極的に発展させる。二、国有大型企業の株式制改革を速める。現代企業制度構築の要請に基づき、企業統治(コーポレート・ガバナンス)構造を健全化し、企業の経営メカニズムを転換する。企業の年度経営目標と任期責任制を導入し、国有企業の経営者俸給制度を規範化する。三、企業の社会事業兼営という問題の解決を急ぎ、国有企業の政策的な閉鎖、破産の作業を引き続き立派におしすすめ、法に基づく破産メカニズムを構築する。四、電力、電信、民間航空など諸業種の改革を深化させ、郵政、鉄道と都市公共事業の改革を推し進め、市場参入の基準を緩和し、競争メカニズムを導入する。国有資産に対する管理体制と監督方式を充実させ、国有資本の経営予算制度を確立し、企業の体制転換と国有企業の所有権譲渡を規範化させ、国有資産の流失を防ぎ、職員・労働者の合法的権益を守る。集団所有制企業の改革を深化させ、様々な形態とした集団経済の発展を促進する。
(三)非公有制経済の発展を奨励し、支援し、導く。国務院の『個人経営など非公有制経済発展を奨励し、支援し、導くことについての若干の意見』を真剣に貫き、非公有制企業が平等に競争する法治の環境、政策環境及び市場環境を作り出すようにする。非公有資本の参入業種と分野をいっそう緩和し、非公有制企業の融資ルートをさらに広げ、法によって私的財産権と非公有制企業の権益を保護する。非公有制企業に対する政府のサービスと監督・管理を改善する。非公有制企業もみずからの資質を向上させ、国の法律・法規、政策や安全、環境保護などの関連規定を遵守し、従業員の合法的な権益を保障する必要がある。
(四)金融体制の改革を加速させる。これは改革と発展の全局にかかわる重要な課題である。国有商業銀行の改革を速め、株式制改革のテスト作業を上手に進める。政策銀行とその他の商業銀行の改革を推し進める。多種類の所有制の金融企業を積極的かつ着実に発展させる。引き続き国務院の『資本市場の改革開放と安定した発展の推進についての若干の意見』の実施を急ぎ、資本市場のインフラ整備を強化し、資本市場の発展にかかわる諸般の制度を確立し、充実させる。投資者、特に大衆投資者の合法的な権益を確実に保護し、資本市場の安定と健全な発展に向けた良好な環境を作り出す。保険業の改革を深め、保険市場の秩序の規範化をはかる。金利の市場化と人民元の為替レート形成メカニズムの改革を着実に推し進め、人民元の為替レートを合理的でバランスのとれたレベルに維持しつつ、基本的な安定を保つ。金融監督・管理システムを健全なものにし、金融への監督と管理を強化し、その改善をはかる。
(五)財政・税制と投資体制の改革を推し進める。公共財政体制を健全化し、中央財政の移転支出制度を整備し、規範化させる。省クラス以下の財政体制を完備させる。増値税の消費型への転換テストを立派におこない、それを全面的に実施するための方案を策定する。輸出による租税還付メカニズムを健全化させる。予算管理制度改革の深化をはかる。投資体制改革の決定を全面的に貫き、関連の方法を制定し、そのプロジェクトの審査、許認可及び登録制度を健全なものにする。新しい情勢下における社会全体の投資規制体系の確立を急ぐ。政府による投資の範囲と行為を規範化させ、それに対する監督・管理制度を整備し、政府による投資と国有企業による投資の責任制と責任追究制を確立し、投資にかかわる意思決定を誤っても誰もその責任を負わないといった状況を根本から改める。
(六)市場体系の整備を強化する。各種類の要素市場を積極的に発展させ、財産権取引市場の規範化と発展をはかる。流通体制の改革を推し進め、現代流通方式の発展に力を入れる。価格改革を深め、価格関係を合理化させる。市場秩序の整頓にさらに力を入れ、その規範化をはかる。その重点は次のようなものである。人民大衆の健康と生命に直接かかわる食品・医薬品市場の特別対策に引き続き力を入れること。また、引き続き農業生産財市場、建築市場及び不動産市場を整頓し、規範化させ、知的財産権を保護するための特別行動を深く繰り広げ、マルチ商法や商法上の様々な詐欺行為を厳しく取り締まり、密輸、脱税・還付金の詐取、マネー・ロンダリングなどの経済犯罪を厳しく取り締まることである。社会信用システムの構築を急ぐ。
今年、わが国の対外開放は多くの新しい情況に直面することになる。関税がWTO加盟の際に公約した基準に引き下げられ、非関税障壁のほとんどが撤廃され、サービス分野がよりいっそう開放されることになる。したがって、われわれは新しい情勢に適応し、対外開放を確実におしすすめなければならない。一、対外貿易の成長パターンの転換を加速させること。輸出品の構造を最適化させ、加工貿易のグレードアップを促進し、輸出の持続的成長を保つ。ひきつづきエネルギー資源、重要原材料、カギとなる技術及び重要設備の輸入に力を入れる。通関窓口の管理体制を改革し、「大通関」プロジェクト(通関にかかわる一連の業務を総合的に処理するための効率アップを目指す)の整備を速める。国際貿易における摩擦、トラブルに上手に対処する。二、ひきつづき外資を積極的かつ合理的に利用すること。外資運用の質的向上に力を入れ、外資の誘致を国内の産業構造と技術レベルのグレードアップによりよく結びつける。外商のハイテク産業、現代サービス業、現代農業と中・西部地区への投資を奨励し、消耗が大きく、汚染もひどいプロジェクトを制限する。三、「海外進出」戦略を一歩進んで実施すること。条件の備わっている企業が海外投資と多国籍経営をおこなうよう奨励し、資金調達、保険、外国為替などの面における支援を大きくし、「海外進出」企業への指導と協調を強化する。海外における国有資産の監督・管理制度を確立し、充実させる。四、WTO加盟後の移行期における諸作業を急ぎ、立派におしすすめること。ひきつづき多国間、二国間の経済・貿易関係を発展させ、地域的経済提携に積極的に参与する。
「人民網日本語版」2005年3月15日
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