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温家宝総理の政府活動報告(全文)

代表のみなさん

ここに、私は国務院を代表し、大会に政府活動報告を行い、審議を求めるとともに、全国政治協商会議の委員の皆さんからもご意見を求めたいと思う。

一、二〇〇六年の活動の回顧

二〇〇六年は、わが国「第十一次五ヵ年計画」の実施において、幸先のよいスタートを切った一年であり、国民経済と社会の発展において重要な成果を収めた。

――経済は安定した急速な成長をとげた。国内総生産(GDP)は二〇兆九四〇〇億元となり、前年度より一〇・七%伸びた。消費者物価の総体的水準は一・五%上昇した。経済成長は四年連続で一〇%ないし一〇%強となったが 、目立ったインフレは見られなかった。

――経済のパフォーマンスは着実に向上した。全国の歳入は三兆九三〇〇億元に達し、前年度より七六九四億元増え、一定規模以上の工業関連分野の企業が達成した利潤額は四四四二億元増え、三一%伸びた。

――改革開放は一段と深化した。重点分野及びカギとなる部分の改革には新たな進展が見られた。輸出入貿易総額は一兆七六〇〇億ドルに上り、前年度より二三・八%伸びた。外商の直接投資の実質利用額は六九五億ドルとなった。

――社会諸事業の発展は加速された。科学技術イノベーションでは重要な成果をあげ、教育事業は引き続き発展し、公共医療衛生体系の整備は強化され、文化、スポーツ事業はいっそう繁栄している。

――人々の生活はかなり改善された。都市部の新規就業者数は一一八四万人に達した。都市部住民の一人当たりの可処分所得は一万一七五九元、農村部住民一人当たりの純収入は三五八七元となり、価格要因を差し引くと、前年度よりそれぞれ実質的に一〇・四%と七・四%の伸びとなった。

これらの成果は、わが国の総合的国力がいっそう増強され、われわれが小康社会の全面的建設という目標に向かって、さらに堅実な一歩を踏み出したことを物語っている。

ここ一年の主要な活動は次の通り。

(一)マクロコントロールを強化し、改善した。経済運営の過程で生じた投資の過熱やマネーサプライ・銀行貸出の過剰供与、対外貿易の黒字超過などの際立った問題について、中央政府はいち早く一連のマクロコントロール措置を講じた。土地に対する規制を強化し、建設用地の新規増加を引き締め、規制し、土地利用に関する法律・法規違反行為をきびしく取り調べ、処罰した。マネーサプライ・銀行貸出の管理を強化し、人民元建て融資の基準金利を二回、金融機関の預金準備率を三回も引き上げた。経済運営に対する財政・税収の調節機能を強化した。新規プロジェクトの市場参入に対する審査・確認、監督・検査を強化した。不動産市場に対する規制と監督・管理を強め、住宅の供給構造の調整に力を入れた。これにより、マクロ規制諸措置の効き目が徐々に現れ、固定資産投資の伸び率は鈍化し、銀行貸出の増加幅が縮小したため、やや急ピッチで成長した経済が過熱につながることを防ぎ、経済の大きな振れを回避することができた。

(二)「農業、農村、農民」の仕事に取り組む度合いを大きくした。社会主義新農村の建設を着実に推し進めた。通年で中央財政の「三農」に用いた支出は三三九七億元となり、前年度より四二二億元増加した。全国範囲で農業税と特産物税を撤廃し、二六〇〇年余りも続いてきた農民に対する徴税の歴史に終止符が打たれた。穀物作付農家向けの直接補助金、良質種子補助金と農機具購入補助金を引き続き増やし、農業生産財総合補助政策を実施し、重点地区の重要食糧品種に対し最低買付価格政策を引き続き実施し、財政難を抱える県と郷および食糧主産県への移転支出を増やした。かなりひどい自然災害に見舞われたにもかかわらず、主要農産物の収穫高は安定的に増加した。食糧の年間総生産高は四億九七四六万トンに上り、三年連続の増産となった。農村の道路、水利、電力、通信などの基盤整備が強化され、農村において新たに二八九七万人分の安全な飲み水を確保し、バイオガスを利用する農家が四五〇万戸増え、農民の生産と生活諸条件は引き続き改善されている。農村の貧困脱却扶助・開発事業には新たな進展が見られ、農村の貧困人口は二一七万減少した。農民就労者と関連のある問題の対策・措置を制定、実施し、低賃金や給料遅配・未払い問題の解決や、法律に基づく雇用管理の規範化、就業者の養成・訓練と社会保障の強化などの諸方面で農民就労者の合法的権益を守った。

(三)経済構造の調整を加速させた。プラント製造業の早期振興政策措置を制定し、カギとなる分野の重要プラントの自主的製造を促進した。一〇〇万キロワット級の原子力発電設備、超超臨界火力発電ユニット、新型船舶などの設備の自主化作業を繰り広げ、高性能NC工作機械や重要な基礎的製造プラントなどの重要特別プロジェクトをスタートさせた。鉄鋼、石炭、セメントなど十一業種の産業構造調整政策措置を制定し、実施し、一部の生産能力過剰の業種では投資の増加幅が著しく縮小され、新規着工プロジェクト計画の投資総額は大幅に低減し、石炭、電解アルミ業界においてそれぞれ一億一〇〇〇万トン、一二〇万トンの立ち遅れた生産能力を淘汰した。国民経済全般に関わる一群の重要なプロジェクト建設が完成するか、操業に入ったり、着工されたりしている。青海=チベット鉄道が全線開通し、三峡ダム左岸発電所が竣工・稼動開始し、金沙江向家壩水力発電所工事が着工した。これらの成果も経済発展の後続力の強化に重要な役割を発揮するであろう。

省エネ・環境保護事業をよりいっそう重視することになった。省エネ・原材料消費と汚染物質排出の削減政策を充実させ、省エネ・汚染物質排出削減の目標責任制をあまねく確立した。重点業種、重点企業と重点プロジェクトの省エネの仕事を鋭意推進し、循環経済のテストを行い、三峡ダム地区、松花江、南水北調の水源地及びその沿岸地域、渤海などの重点流域と水域の水質汚濁対策を強化するとともに、石炭を利用する火力発電所の脱硫や都市の汚水処理、ゴミの無害化処理など環境保護分野の重点プロジェクトを実施した。四年連続して全国で汚染物質の不法排出企業の取り締まりや、人々の健康を保障するための環境保護特別キャンペーンを繰り広げた。生態保全や生態系の整備をしっかりと推し進めている。鉱物資源の開発秩序の整理、規範化については、段階的な成果が見られた。地質探査作業が強化されている。

区域発展総体戦略を引き続き実施している。西部大開発は着実に推し進められ、東北地区などの旧工業基地振興の仕事は順調に展開され、中部地区の勃興を促進する政策も実施され始め、東部地区を率先して発展させ、新たな成果を収めた。

(四)改革開放を積極的に推し進めている。農村の総合的改革について全面的配置をおこなった。集団の山林権制度の改革は穏当に行われている。国有経済の配置の調整、国有企業の株式制改革と国有資産の監督・管理は新たな進展を見せた。郵政体制では行政と企業の分離が実現し、電力体制の改革は引き続き推し進められている。国有商業銀行の株式制改革は新たな重要な一歩を踏み出し、中国銀行、中国工商銀行は国内外市場で成功裏に上場し、農村信用社(協同組合)の改革は段階的な成果を収めた。上場会社の非流通株改革(非流通株主と流通株主間の権益のアンバランスの是正)は基本的に完了し、証券市場の基礎的制度づくりは強化されている。保険業の改革は突っ込んで推し進められた。外貨管理体制の改革はいっそう深められた。財政・税収制度は引き続き充実化している。公務員給与制度改革と所得分配秩序の規範化は首尾よく行われている。市場秩序の整頓と規範化作業は突っ込んで繰り広げられている。

対外貿易の構造を調整した。輸出における租税還付、関税と加工貿易の政策をより完備させ、高エネルギー消費、高汚染の製品の輸出を規制する一方、輸入を積極的に増やした。外資利用の構造を最適化させ、銀行、流通、電信などのサービス業の対外開放を拡大している。世界諸国との経済・貿易の往来を深化させ、広げた。企業の対外投資・提携をサポートしている。WTO加盟時の約束を全面的に履行し、渉外経済の体制と法規・政策を充実させた。

(五)社会諸事業を大いに発展させた。社会諸事業への投入を増やした。この一年間で科学技術、教育、医療衛生と文化事業に振り向けた中央財政の支出はそれぞれ七七四億元、五三六億元、一三八億元、一二三億元にのぼり、前年度よりそれぞれ二九・二%、三九・四%、六五・四%と二三・九%増えた。

科学技術イノベーションの推進。二年間かけて検討、策定した国家中長期科学・技術発展計画要綱が公布、実施され、さらに関連特別計画と関連政策措置も制定された。大型石油・天然ガス田と炭層ガスの開発、新世代ブロードバンド無線移動通信網、大型航空機の設計・製造、有人宇宙飛行と月面探査プロジェクトなど十六項目に及ぶ重要特別プロジェクトがあいついでスタートした。、高性能コンピュータ、スーパー・ハイブリッド米、3Gモバイル通信、デジタルテレビなどと関連のある一部のカギとなる技術は難関を突破し、自主的なイノベーション能力が増強された。

教育事業の優先的発展。全国の財政は農村義務教育経費を一八四〇億元計上し、西部地区と中部の一部地区において義務教育段階の児童・生徒五二〇〇万人の学費・雑費をすべて免除し、貧困家庭の児童・生徒三七三〇万人に教科書を無料で提供し、七八〇万人分の寄宿生活補助金を支給した。「二つの基本」(九年制義務教育の基本的な普及と青・壮年非識字者をほぼ一掃すること)のブレークスルー・プランにリストアップされている四一〇県のうちすでに三一七県が所期の目標を達成し、西部地区における「二つの基本」のブレークスルー・プランの人口カバー率は二〇〇三年の七七%から九六%に引き上げられた。中央財政が三年連続農村の寄宿制学校整備プログラムへの資金投入額は累計九〇億元にのぼり、その結果七六五一校が受益した。農村小中学校の現代遠隔教育プロジェクトにすでに八〇億元を投下し、中西部地区の八〇%以上の農村小中学校がカバーされ、一億余りの児童・生徒が良質の教育資源を共有することが可能となった。中等職業専門学校の生徒募集規模は七四一万人に拡大され、在学生総数は一八〇九万人となった。高等教育の在学生数は二五〇〇万人に上り、粗入学率は二二%に上昇した。

医療衛生面の活動の強化。都市・農村をカバーする、比較的に機能が充実した疾病予防抑制システム及び突発性公共衛生事件医療救助体系は、整備作業をほぼ完了した。農村部における医療衛生サービス体系の整備作業がスタートし、中央財政は県、郷、村の三段階の医療衛生関連基盤施設の建設に国債資金二七億元をあてた。新しいタイプの農村合作医療のテスト範囲は、全国総数の五〇・七%を占める一四五一の県(市、地区)まで広がり、農民の加入者数は四億一〇〇〇万人に上った。また、中央財政は四二億七〇〇〇万元を拠出した上で、地方財政も相応の支出を増やし、これにより、合作医療に加入した農民への補助基準はかなり大幅に高められた。コミュニティーをベースとした都市部医療衛生サービス体系整備の進捗は、加速されている。都市、農村を問わず、医療救助の仕事がいくらか強化された。中央財政はまた、地方公共医療衛生サービスの強化に向けて支援金五一億万元を拠出することにより、エイズなど重大疫病の予防・抑制の面で著しい進展が見られた。

文化・スポーツ事業の積極的推進。報道・出版、ラジオ・映画・テレビ、文学芸術、哲学・社会科学など諸般の事業は、これまで以上に繁栄している。文化関連の基盤施設、わけても農村部末端における文化施設の整備が強化されており、村々までラジオ・テレビを普及させるプロジェクトは行政村から自然村へと広がり、コミュニティーや郷鎮の総合文化センター整備プロジェクト、全国文化情報リソースの共有プロジェクトも引き続き進められている。文化体制の改革は一段と深化し、文化産業は発展のテンポを速め、対外文化交流活動はさらなる活況を呈している。国民のスポーツ活動が幅広く繰り広げられ、競技スポーツの水準が絶えず向上している。社会主義精神文明の建設が引き続き強化されている。

(六)就業と社会保障の仕事に取り組んだ。就業、再就業向けの支援策を一段と充実させ、実行に移すため、中央財政は二三四億元の資金を計上した。多ルートで雇用を創出し、職業技能養成訓練を強化し、さらには「ゼロ就業家庭」(就業年齢に達した家族構成員がいずれも失業状態にある家庭のことを指す)や就業困難者に支援を与え、五〇五万人の一時帰休・失業者が再就業を果たした。二〇〇四年、われわれは建設分野で未払いとなっていた工費や農民就労者賃金の遅配問題を三年間で解決することをうち出したが、この仕事は現在ほぼ完了し、各地方が弁済した履行遅滞の工賃は一八三四億元にのぼり、この額は歴年の遅滞総額の九八・六%を占め、その内農民就労者の未払い賃金三三〇億元を完済した。

社会保障システムの整備の強化。東北三省でのモデル事業をふまえ、企業の職員・労働者基本養老保険個人口座を確実に積み立てるというテスト作業の適用範囲を拡大し、さらに八つの省で実施した。多年にわたって努力した結果、国有企業一時帰休者向けの基本生活保障制度を失業保険制度へ一本化させる作業はほぼ完了した。企業の定年引退・退職者の基本養老年金基準が引き上げられた。社会保険はより広い範囲まで行きわたり、社会保険基金の収入は増加を続け、社会保険基金の運用に対する監督・管理も強化された。都市、農村の社会救済システムの枠組みは基本的に確立し、慈善事業が絶えず発展している。中央財政から都市最低生活保障への補助支出は一三六億元で、前年度より二四億元増え、各地方も程度の差こそあれ都市最低生活保障の補助基準を引き上げた。二五の省(自治区、直轄市)、二一三三の県(市、地区)は、農村最低生活保障制度を初歩的に確立し、一五〇九万人の農民が農村最低生活保障を享受することになった。農村の「五つの保障」(農村における労働力を喪失し、身寄りのない者に衣、食、住、医療と葬儀など五つの保障を与える)は集団の互助共済から主として財政で賄う方向にほぼ転換された。孤児救済、未成年浮浪者保護などの仕事も強化された。各種類の優遇扶助対象者向けの扶助手当基準が大幅に引き上げられ、中央財政による扶助金支出は通年で一一二億元に上り、前年比四七%増となった。大・中型ダム建設用地の収用に伴う補償や住民の移転を支援するための後期政策が充実化され、支援対象者数は二二八八万人に及んだ。長い間懸案となっていたこの問題は逐次解決されつつある。

昨年、わが国の一部地区は、歴史上まれに見る超大型台風や甚大な干害などひどい自然災害に見舞われた。われわれはいちはやく災害対策に乗り出し、災害救援と災害復旧の活動を強めた。通年で中央財政は、災害対策資金として一一二億元を地方に交付し、また一部の災害救援補助基準を引き上げて、被災者の暮らしと仕事に支障が出ないように手配している。

(七)民主法制の建設は引き続き強化されている。末端における民主政治の建設が絶えず推し進められている。政府の立法作業はさらに強化された。国務院は、『企業所得税法(草案)』、『独占禁止法(草案)』、『突発性事件対処法(草案)』『義務教育法改正案(草案)』など七つの法律議案を全国人民代表大会常務委員会に上程し、その審議を求めたほか、『エイズ予防・治療条例』、『外資系銀行管理条例』など二九の行政法規を公布した。政府の法制化のペースを速め、『行政許認可法』、『公務員法』、『法に基づく行政実施の全面的推進要綱』の貫徹を着実に進めてきた。監察や会計検査、監督の仕事にいっそう力を入れた。司法の行政体制およびその活動メカニズムの改革が着実に推し進められている。投書・陳情受理の仕事が強化された。社会の治安防犯・抑制システムは絶えず充実化し、安心・安定・安全を創出する活動が広範囲にわたって進められている。治安の乱れた地域と特に際立った治安問題に対する集中的取締りは、顕著な成果をあげた。廉潔政治づくりと反腐敗闘争を掘り下げて推進し、商業贈収賄の撲滅を狙った特別作業を繰り広げ、政府機関及びその公務員に関わる相当数の重大案件をきびしく摘発した上で、法に則り一群の腐敗分子を懲罰した。

民族、宗教、香港・マカオ、台湾とかかわりのある仕事や華僑事務がさらに強化された。国防と軍隊の現代化建設に新たな進展がみられた。外交活動では著しい成果をあげた。

われわれの実践の経験を総括してみると、次のように要約することができよう。すなわち、思想を解放し、実事求是の姿勢で臨み、時代とともに前進し、開拓と革新を図りながら、中国の特色をもつ社会主義の道を揺るぐことなく歩み続け、改革開放を堅持し、科学的で、調和のとれた平和的発展を堅持してこそ、はじめて現代化という偉大な目標を最終的に実現することができる、というものである。

われわれの収めた成果は、胡錦濤同志を総書記とする党中央が全局を統轄し、正しく指導を行ったたまものであり、全国の広範な幹部、大衆が一丸となって努力し、粘り強く戦ってきたたまものである。わたくしは国務院を代表して、全国各民族人民、各民主党派、各人民団体および各界の人びとに、心から感謝の意を表すものである。香港特別行政区の同胞、澳門特別行政区の同胞および台湾同胞、並びに広範な在外華僑同胞に、また中国の現代化建設に関心を示し、後押ししてくれている各国の友人の皆さんに、心から感謝の意を表すものである。

われわれはまた、経済・社会の発展になお少なからぬ矛盾と問題が存在し、政府の活動にも一部欠点や不備な点があることを冷静に見て取っている。

第一に、経済構造の面の矛盾が浮き彫りになってきていること。第一、第二、第三次産業のウェートが不合理で、都市と農村の間や地域間の発展にバラツキが見られ、投資と消費の関係のバランスが取れていない。農業については、その基盤の脆弱な状態がまだ改められておらず、食糧の安定した増産と農民の持続的収入増が難しさを増している。固定資産投資の総規模が依然として肥大化しており、銀行資金の流動性過剰問題が目立っているため、投資の過度な伸びや、過大な信用貸付を誘発する要因が今なお存在している。対外貿易の黒字は比較的大きく、国際収支のアンバランスという矛盾が深刻化している。

第二に、経済成長パターンが粗放型であること。それはエネルギーの大量消費と深刻な環境汚染に著しく現れている。「第十一次五ヵ年計画」は省エネ・原材料消費と汚染物質排出の削減目標を打ち出し、さらにそれを拘束性指標として定めた。これは経済成長パターンの転換、省エネ・環境保護事業の強化にとって、非常に重要な意義をもつことである。ここ一年、各地方、各部門は多くの取り組みを行ない、積極的な進展を遂げた。二〇〇六年、GDPのエネルギー消費原単位は、前の三年にはそれぞれ四・九%、五・五%、〇・二%と上昇していたにもかかわらず、一転して一・二%に低減した。主要汚染物質排出総量の増幅は縮小し、化学的酸素要求量(COD)とSO2排出量の上昇率はそれぞれ前年度の五・六%、一三・一%から一・二%、一・八%に低下した。にもかかわらず、昨年の初めに打ち出したGDPのエネルギー消費原単位四%前後、主要汚染物質排出総量二%とする削減目標は達成できなかった。その主な原因は次の通りである。つまり、産業構造の調整がなかなか進まず、重工業、とりわけ大量のエネルギーを消費し、汚染も深刻な業種の拡大が依然としてやや速まっており、さらに淘汰されるべき、相当数の立ち遅れた生産能力が市場に留まったままになり、一部の地方と企業は省エネ・環境保護の法規と基準を厳格に実施しておらず、また関連政策・措置が明らかな成果を収めるにはある程度の期間がかかること、が挙げられる。「第十一次五ヵ年計画」でこの二つの拘束性目標が打ち出されたということは、それが極めて厳粛なものであり、変更してはならず、断固達成しなければならないことを意味している。国務院は今後毎年省エネ・汚染物質排出削減の進捗状況を全国人民代表大会に報告し、さらに「第十一次五ヵ年計画」の期末に、五年間におけるこの二大指標の全般的達成状況について報告しなければならない。

第三に、大衆の利益にかかわる目立った問題の解決が不十分であること。食品・医薬品の安全や医療衛生サービス、教育にかかわる費用徴収、住民住宅、所得分配、社会の治安、安全生産などの諸分野には、大衆が不満を抱えている問題が残っており、土地収用や家屋立退き、企業の体制転換、環境保護などの諸方面にみられる大衆の利益を侵害する問題が依然として抜本的に解決されていない。なお、相当数の低所得者層の生活が比較的困窮している。

第四に、政府自体の建設にいくつかの問題が存在していること。政府の機能転換が遅れ、行政と企業が依然として分離されないままで、一部の部門では職責が明確にされておらず、仕事の効率があがっていない。公務による消費も規範化されておらず、贅沢三昧や浪費に走り、行政のコストが高すぎる。さらに、一部の地方や部門および少数の公務員には官僚主義や形式主義が依然として存在し、大衆から遊離し、汚職や背任行為に走り、ひいては権力を乱用したりして、汚職腐敗に手を染めている。こういった問題の根底には制度の不備やそれに対する監督・管理の不行き届きがある。

われわれは国と人民に高度な責任を負うという心構えをもって人民の期待に背かず、より強力な措置を講じることにより、これらの問題を確実に解決していかなければならない。

二、二〇〇七年度の活動の全般的計画

今年は今期政府の任期の最終年に当たり、われわれは意気軒昂として、必ず職責を全うし、額に汗しながら進取し、怠ることなく、全力を挙げて諸般の活動に取り組み、人民に納得の行く回答を出さなければならない。

政府活動の基本的な構想と任務は次のようなものである。鄧小平理論と「三つの代表」の重要思想を指針とし、科学的発展観を全面的に実行に移し、社会主義調和社会を早急に構築するとともに、中国共産党の第十六回全国代表大会以来の諸般の方針政策を真剣に貫徹し、マクロコントロールを強化、改善し、経済構造の調整と成長パターンの転換や、資源節約と環境保護の強化、改革開放と自主的創造革新の推進、社会発展の促進と民生問題の解決に力点を置き、社会主義の経済建設、政治建設、文化建設および社会建設を全面的に推進し、党の第十七回全国代表大会の開催のために良好な環境と条件を造り出さなければならない。

さまざまな要因を総合的に勘案して、今年度の国民経済と社会発展の主要な目標を次のように定める。構造の最適化やパフォーマンスの向上、消費低減、環境保護を図った上で、GDPの成長率を八%前後とする。都市部就業者の新規増加数は少なくとも九〇〇万人とし、都市部の登録失業率を四・六%以内に抑える。物価の総水準を基本的に安定させ、消費者物価総水準の伸び幅を三%以内に抑制する。国際収支のアンバランスの状況をいくらか改善する、ということである。

ここで重点的に説明しなければならないのは、次の点である。つまり、社会主義市場経済の条件下で、政府が打ち出したGDP成長率の目標は所期性、指導性をもつ指標であり、財政予算や雇用、物価などマクロ経済指標を設定するための重要なよりどころとなる。国内外の経済環境や市場変動などの影響を受け、最終的に達成されたGDP成長率と所期目標の間にはある程度開きが出る可能性がある。今年度のGDP成長率を八%前後と設定したのは、要請や可能性など多くの要因を総合的に考慮した結果であるが、さらにより重要な点として、各方面が科学的発展観を真剣に定着させ、活動の重点を構造の最適化や、パフォーマンスの向上、省エネ・原材料消費と汚染物質排出の削減に置き、一方的に経済成長率を追求したり盲目的に競い合ったりすることを避け、経済の良質かつ急速な発展を実現するよう導かなければならないからである。

本年度の経済社会発展の目標と任務を達成するには、次のような政策と原則をしっかり踏まえなければならない。一、諸政策の安定化、充実化、徹底化を図ること。安定化とは、マクロ経済政策の継続性と安定性を保ち、引き続き穏健な財政政策と通貨政策を実施することである。充実化とは、経済運営過程における新しい情況に応じて速やかに政策・措置を充実させ、際立った矛盾や問題に的を絞ってその解決を図ることである。徹底化とは、中央の諸般の政策・措置を真剣に実施し、執行の度合いをより大きくして、諸般の政策決定と計画が真に具現化されるのを確保することである。二、マクロコントロールを強化、改善すること。重点として、固定資産投資と融資規模を抑制し、構造の最適化の中で経済総量のバランスを促進する。引き続き確保もすれば規制もすることを堅持し、画一的なやり方を取らないようにする。多くの場合、経済のレバレッジや法的手段の運用により経済行動を誘導し、規範化させるべきである。中央と地方の関係を正しく処理し、双方の積極性を十分に発揮させる。三、経済成長の質とパフォーマンスを大いに高めること。省エネ・省資源や環境保護、土地の集約利用をさらに重点に位置付け、製品の品質向上を重視し、経済の競争力と持続可能な発展能力を増強させる。四、社会の発展と民生の改善をより一層重視すること。人間本位の主旨を堅持し、社会諸事業の急速な発展を促し、人民大衆が最も関心をもち、彼らに最も直結した、最も現実的な利益にかかわる問題を積極的に解決し、社会の公平と正義を守り、すべての人が改革・発展の成果を共に享受しうるようにしなければならない。五、改革開放を原動力として諸般の活動を推し進めること。社会主義市場経済改革の方向付けを堅持し、経済社会発展の要請に応えて、経済体制や政治体制、文化体制、社会体制の改革を推進し、科学的発展観の定着化および調和社会づくりにつながる体制的保障を早急に構築する。全面的に対外開放のレベルを高めなければならない。

三、経済の良質かつ急速な発展を促進する

大局に目を配り、今年度の経済発展に向けて重点的に次のいくつかの方面に取り組まなければならない。

(一)マクロコントロールの強化、改善を堅持すること

引き続き穏健な財政政策を実施する。第一に、財政赤字と長期建設国債の規模を適度に縮小する。本年度中央財政の赤字を二四五〇億元計上する予定で、前年度予算の赤字額より五〇〇億元減となる。長期建設国債の発行額を五〇〇億元とし、前年度より一〇〇億元減少させるとともに、中央予算枠内の経常的建設投資を八〇四億元計上し、前年度予算より二五〇億元増やすこととする。これにより中央政府の建設投資の総規模は一三〇四億元となる。第二に、政府の予算支出と政府の投資においては、構造の最適化や対象の重点化を図るべきである。政府投資の運用に当たって、「三つの面で上回ること」、即ち、農村の生産・生活条件の改善に直結する投入、基礎教育や公共医療衛生などの社会諸事業に振り向ける投入、および西部大開発に当てる投入はいずれも、それぞれの前年度の投入額を上回るようにすべきである。それと同時に、省エネ・環境保護および自主的創造革新を大いに支援する。第三に、中央財政の超過収入分を合理的に配分、運用する。ここ数年、経済の実質成長率が所期目標を上回ったほか、収入増を狙う政策的要因も一部働いたため、中央財政の超過収入分がかなり増えている。二〇〇三年から二〇〇六年までの年平均超過収入額は二〇四〇億元にのぼり、その内、昨年度の超過収入は二五七三億元に達した。この超過収入分は主として次のような方面に振り向けた。即ち、輸出による租税還付や耕地の林地への復元など過去からの借りを穴埋めすることや、法に基づいて地方への税収還付と一般的移転支出を増やすこと、教育や科学技術など諸分野への法定支出を増やすこと、社会保障基金や企業の政策的破産、住民の最低生活保障などの支出を増やすこと、に充てた。それとともに本年度は、前年度の超過収入分から五〇〇億元を拠出し、これにより中央予算安定化調節基金を創設するつもりである。こうしたことは予算をより科学的かつ合理的に編成し、中央予算の安定性と財政政策の継続性を維持するに役立つのである。ただし、この基金は予算管理枠のもとで運用され、全国人民代表大会の監督を受けなければならない。さらに、財政管理を強化し、収入増加・支出節約に断固取り組み、勤倹節約を励行し、贅沢三昧や浪費に反対して、財政資金運用のパフォーマンスを引き上げる。法に則って税務管理を大いに推進し、租税の徴収と管理を強化し、政府の非課税収入管理を規範化させる。

引き続き穏健な通貨政策を実施する。多種類の通貨政策や手段を総合的に運用して、マネーサプライと貸出の総量を適正に規制し、銀行資金の流動性過剰問題を効果的に緩和させる。融資構造を調整し、最適化させ、銀行が「三農」や中小企業、省エネ・環境保護、自主的創造革新に対する融資面のサポートを強め、引き続き中長期融資を抑制し、高エネルギー消費、高汚染企業及び、生産能力が過剰となった業種の立ち遅れた企業への融資を厳しく制限するよう誘導する。金利の市場化改革を穏当に推し進めるとともに、人民元の為替レート形成メカニズムをいっそう完全なものにする。外貨管理を強化、改善し、国の外貨準備の合理的な運用ルートとパターンを積極的に模索し、それを広く開拓する。多方面から手立てを講じて、国際収支の不均衡の状況を逐次改善してゆく。

投資と消費の関係を調整する。内需拡大の方針を堅持し、重点的に消費需要を拡大する。所得分配制度の改革が深められれば、所得格差の拡大という矛盾が緩和されるだけでなく、消費需要の効果的増大にもつながる。さまざまな施策を講じて、都市農村住民の所得収入、とりわけ中低所得者層の所得を増やすことに努める。最低賃金制を合理的に調整した上で、それを厳格に実行し、最低時給の基準を徹底させ、企業の賃金分配に対するコントロールと指導を強化し、賃金の正常な引上げメカニズムと支給メカニズムを確立し、健全なものにする。今年、各地方は最低賃金制と最低時給基準の実施状態について、総点検を一度実施することとする。引き続き公務員給与制度の改革、公務員の所得分配秩序の規範化及び関連人員の待遇調整に関する政策・措置を徹底化する。とりわけ、農村の消費需要を拡大し、農民の収入増加・負担軽減の促進につながる政策・措置を真剣に実行し、農村における商品流通と市場体系の整備を強化し、農村の消費環境と条件を改善する。消費政策を充実化し、観光や文化、リゾート、健康増進などの消費のホットスポットを積極的に育成し、住民の消費を拡大する。

固定資産投資の適正な伸びを保ち、投資構造の最適化に力を入れ、投資のパフォーマンスを向上させる。引き続き土地使用の審査・許認可と貸出審査を厳しくし、業種別の事情に応じて、建設プロジェクトの用地や環境保護、省エネ、技術、安全などの市場参入基準を適切に引き上げ、さらにそれを厳格に実行する。新規プロジェクトを厳しく規制し、特に都市整備の規模を抑制する。経済社会の大局と長期的発展に資する重要な大型プロジェクト建設を強化し、大型水利施設やエネルギー資源基地、幹線鉄道、国道主幹線など重要基盤施設の整備を速める。民間資金が農業・農村や社会諸事業、自主的創造革新、資源の節約、環境保護、中西部地区へより多く投入されるよう積極的に誘導する。投資体制の改革を深化させ、重要投資プロジェクトに関わる政策決定制度と責任追及制度を完全なものにすべきである。

不動産業は経済の発展や人民大衆の居住条件の改善にとって重要な役割を果たすものであるため、不動産業の持続的で健全な発展を促進しなければならない。第一に、膨大な人口を抱えるにもかかわらず、耕地が少ないという国情及び現段階における経済発展の水準を踏まえ、合理的に企画し、科学的に建設し、適度な消費を目指し、省エネ・用地節約・環境保全型の建築を発展させ、中国の特徴をもつ住宅建設と消費パターンを形成する。第二に、不動産業は広範な大衆向けの一般分譲住宅を重点的に発展させるべきである。政府は低所得家庭の住宅問題に特段の配慮を払った上で、その解決に向けて援助の手を差し伸べなければならない。財政や税制などの面から政策的支援の度合いを大きくし、低価格賃貸住宅制度を確立し、それを健全化させる。また、エコノミー住宅制度の改善と規範化を図らなければならない。第三に、政府による規制と市場メカニズムの二つの手段を正しく運用して、不動産投資の合理的な規模を維持し、分譲住宅の供給構造を最適化し、住宅価格に対する監督・管理と規制を強化し、不動産価格の急騰を抑制し、合理的な価格水準を保つ。第四に、不動産市場の秩序を突っ込んで整頓し、規範化させ、不動産市場に対する監督・管理を強化し、法に則って不動産の開発や取引、仲介などの諸過程における法律・法規違反の行為を懲罰する。地方の各級政府は不動産市場に対する規制と監督・管理において確実にその責務を全うしなければならない。

(二)現代農業を発展させ、社会主義新農村の建設を推し進める

農業、農村、農民の問題は、小康社会の全面的な建設及び現代化事業の大局に関わる重要な課題である。今年の「三農」課題への取り組みは、現代農業の発展を速めることを重点とし、社会主義新農村の建設を着実に推し進めることである。一、食糧生産を安定的に発展させること。基本農地を着実に保護し、穀物作付面積を安定的に維持し、食糧品種の構造を最適化させ、単位面積収穫高の増加に力を入れる。食糧の生産、消費、在庫及び輸出入に対するモニタリングやコントロールを強化し、食糧の安全をめざす早期警報システムを確立し、完備させ、食糧市場の安定を維持する。二、農業の総合的生産能力を着実に高めること。農業用施設の整備を速め、農業技術や設備を改善し、農業面における科学研究と技術普及の強化に取り組み、社会化サービス体系を充実させ、農業の防災・減災能力を増強する。動物疫病予防・対策体系の整備を強化する。三、農村のインフラ整備の強化に取り組むこと。農村の水利施設、道路、送配電網、通信、安全な飲み水、バイオガスなど施設の整備を急ぐ。全国の大中型ダムや重要な小型ダムの老朽化対策に全力を尽くし、二、三年かけてこれをほぼ完成させる。安全な飲み水施設の整備を速め、今年さらに三二〇〇万人分の安全な飲み水を保障する。四、多ルートを通じて農民の収入増を図ること。栽培・飼育・養殖業と林業の収入増に努め、農村部の第二、三次産業、特に農産物加工業を鋭意発展させ、農業の産業化経営の推進に大いに力を入れ、先導企業の発展をサポートし、県域経済を盛んにし、農民の就業及び収入増のルートを広げる。農民就労者問題の解決をめざした様々な政策措置を真剣に徹底させる。貧困脱却扶助開発の度合いを大きくし、農村の貧困者数をさらに減らす。五、農村における実用人材陣の整備と人的資源の開発を大いに推進すること。農村労働力への研修訓練を強化し、農民の科学的な栽培・養殖技術水準と就業転換の能力を高め、新しいタイプの農民を育成する。

現代農業を発展させ、新農村の建設を推し進めるには、政策、投入、科学技術、改革に依拠しなければならない。一、農業向けの支援・優遇策を徹底し、充実させるとともにそれを強化すること。穀物作付農家向けの直接補助金、良質種子補助金、農機具購入補助金と農業生産財の総合的補助金を増やす。引き続き食糧の最低買付価格政策を実施する。財政難の県・郷や食糧主産県への支持の度合いをさらに大きくする。二、農業や農村への投入を増やすこと。国のインフラ整備や社会諸事業発展の重点を着実に農村地域に移し、今年の農業支援に振り向ける財政投入や農村の建設に用いる国の固定資産投資及び土地譲渡収入などの伸び幅を引き続き前年度より大きくする。「三農」に対する中央財政の投入を三九一七億元と計上し、前年度より五二〇億元増とする。農業保険を鋭意発展させ、農業の政策的保険の試行範囲を拡大する。三、農業の科学技術の進歩を促すこと。農業科学技術の創造革新能力の向上に取り組み、農業科学技術に関わるプロジェクトをサポートし、農業科学技術の成果の実用化を加速する。末端における農業技術の普及・サービス体系を充実させ、村や農家へ農業科学技術を普及することを奨励する。四、農村の総合的改革を全面的に推し進めること。郷鎮機構、農村義務教育及び県・郷財政管理体制などの改革を急ぎ、精鋭化や効率化をめざした農村の行政管理体制、政府の保障による農村義務教育体制、都市と農村をカバーする公共財政制度を逐次構築する。それと同時に、土地収用制度や林地の集団所有権制度などの改革を推し進め、農民からなる専門協同組織を積極的に発展させる。郷・村の債務をひきつづき整理し、解消する。

社会主義新農村の建設を推し進めるには、農村経済の発展や農民の収入増に重点を置く。あくまでも農村基本経営制度の安定化と健全化を図り、実際から出発し、地域の特色を生かすという原則を堅持し、終始農民の自由意思を尊重し、農民の権益を守り、形式主義と強制命令を戒めなければならない。

(三)省エネ・原材料消費の低減、環境保護、土地の節約・集約的利用に大いに力を入れる

今年は、省エネ・原材料消費の低減、環境保護、土地の節約・集約的利用を経済成長パターンの転換をはかる突破口、又は重要な手掛かりとしなければならない。省エネと環境保護の面において、次のような仕事に重点的に取り組む。一、エネルギー消費と環境保護の基準を完備させ、厳格に実施すること。新規プロジェクトについては、必ずエネルギー消費効率審査と環境アセスメントを行わなければならず、省エネと環境保護の基準に合致しないものであれば、着工、建設してはならない。既存企業については、整頓・改善を行っても基準を達成しなければ、法に則って、操業停止、閉鎖を実施すべきである。二、立ち遅れた生産能力を断固淘汰すること。「第十一次五ヵ年計画」期においては、五○○○万キロワットの小型火力発電設備を閉鎖、停止し、今年は、一○○○万キロワット閉鎖、停止しなければならない。五年間に立ち遅れた製鉄生産能力を一億トン、立ち遅れた粗鋼生産能力を五五○○万トン淘汰し、今年は、それぞれ三○○○万トンと三五○○万トンを淘汰する。セメント、電解アルミ、鉄合金、コークス、カーバイドなどの業種の立ち遅れた生産能力の淘汰に力を入れる。三、重点業種や企業に特に力を注ぐこと。鉄鋼、非鉄金属、石炭、化学工業、建材、建築などの重点業種、及び標準炭ベースでエネルギー年間消費量が一万トン以上の重点企業の省エネ・廃棄物排出削減事業を強化する。低効率の石炭燃料の工業ボイラー(窯炉)の改造、区域コジェネレーション(熱電併給)などの重点プロジェクトを全面的に実施する。都市部の公共交通機関の優先的発展を堅持する。四、省エネ・環境保護政策体系の健全化をはかること。市場メカニズムの機能の発揮を重視し、価格、財政・租税、融資などの経済的手段を総合的に運用して、省エネ・環境保護事業を促進する。重要な資源関連製品の価格及び汚染物質排出料徴収に関わる改革を深化させ、資源税制度を充実させ、鉱物資源の有償使用制度を健全化させ、生態環境補償メカニズムの確立を急ぎ、海洋資源を保護し、合理的に開発し、利用する。五、省エネ・環境保護技術の進歩を加速させること。省エネ・廃棄物排出削減を主要目標とする設備更新と技術改良を積極的に推し進め、企業が省エネ・環境保護にプラスになる新設備、新生産プロセス、新技術を採用するよう導く。資源の総合利用とクリーン生産を強化し、循環経済と省エネ・環境保護産業を大きいに発展させる。六、汚染対策と環境保護の度合いを大きくすること。国債資金と中央予算資金を増やして、都市部における生活汚水、ゴミの処理と危険廃棄物の処理施設の整備に充てる。引き続き「三河・三湖」(淮河、海河、遼河・太湖、巣湖、滇池)、渤海、松花江、三峡ダム地区及び上流区域、南水北調の水源地並びに沿岸地域等重要流域と区域の汚染対策を引き続き立派に行う。汚染を招く企業と都市部の汚染物質の農村への拡散を禁じて、農村部における面的な汚染の規制をはかる。七、法の執行に対する監督・管理を強化すること。更に効果的な省エネ・環境保護監督管理体系を確立し、法に則って法律・法規に違反するさまざまな行為を断固として処分する。八、省エネ・環境保護の目標責任制を真剣に実施すること。科学的で、完ぺきな、統一した省エネ・廃棄物排出削減指標体系、監視体系、チェック体系の構築と充実化を急ぎ、厳格な問責制を実行する。

土地を節約し、またそれを集約的に利用することは、当面の経済社会の発展だけではなく、国の長期的利益と民族の生存の根幹に関る問題である。土地の問題において、われわれは取り返しのつかない歴史的な誤りを決して犯してはならず、後世の子孫にに災禍を残してはならない。全国の耕地面積が一億二○○○万ヘクタールを下回ってはならないという「警戒ライン」を必ず守らなければならない。最も厳しい土地管理制度を断固として実行する。一、土地利用の総体的企画と年度計画を真剣に実施すること。建設に伴う土地収用の規模を断固規制し、耕地、とりわけ基本農地の保護を強化し、勝手に農地を建設用地に転化することを禁じる。禁止類や制限類に属するプロジェクトの用地に関する新規改正の規定を真剣に実施し、わけても別荘類不動産の開発、ゴルフ場の建設、党・政府機関及び国有企業・事業体による研修センターなどの新規建設に伴う土地収用を禁じる。二、土地の節約と集約的利用に関する基準の整備を急ぎ、それを厳格に実施すること。農村部の集団建設用地や住宅用地も含め、土地の利用にあたってはいずれも増加分の規制と保有分の活用に取り組み、土地利用の効率と集約化の度合を高めなければならない。三、工業用地を確実に規制し、工業用地譲渡の最低価格基準を断固として執行すること。四、建設用地に関する租税・費用政策を実施し、土地の譲渡に関わる収支管理を規範化させ、国有土地使用権の譲渡で得た収支額をすべて地方予算に組み入れるという規定を確実に執行する。五、土地管理責任制を厳格にすること。土地の監督・査察制度を確実に実行し、さまざまな法律法規違反の案件を厳しく取り調べ、処分する。

すべての企業、村落、部門及び社会構成員全体が自らすすんで資源節約、環境保護に取り組むよう、社会全体で節約、環境保護、文明を旨とする生産パターン、消費パターンを提唱し、資源節約型、環境にやさしい社会の構築に努める。

(四)産業構造の高度化と自主的創造革新のテンポを速める

新しいタイプの工業化の道を歩むことを堅持し、産業構造の最適化に力を入れる。重点としては、サービス業を大いに発展させ、工業のグレード・アップとレベル・アップをはかり、国民経済と社会の情報化を引き続き推し進めることである。体制の改革、資金投下の増加と経済政策の充実化などを行うことにより、サービス業の急速な発展を奨励し、サポートする。とりわけ物流、金融、情報、コンサルティング、観光、コミュニティーサービスなどの現代サービス業を発展させるべきである。わが国工業の総体的規模はすでにかなりの大きさになっているが、産業グレードと技術レベルがまだ高くないので、規模の大きい工業から実力をもつ工業への転換を促すことが差し迫った任務のひとつとなっている。ハイテク産業の発展を加速し、装置製造業の振興をはかり、再生可能エネルギーを積極的に発展させ、代替エネルギーを秩序よく発展させ、先進技術を広範に応用して在来産業を改造し、高度化させるべきである。生産能力が過剰となっている業種の調整を速める。産業構造の最適化の過程において、経済、法的手段の活用を重視し、産業企画と政策の誘導を強化する。

創造革新型の国づくりをめぐっては、国家中長期科学・技術発展計画要綱で提出された目標と任務を着実に実施する。国の重大科学技術特別プロジェクトを実施し、国の経済、民生、また国家安全に関わる一群の肝要で中核的な技術の難関突破に努め、重点プロジェクトに依拠して、重要装置製造の自主化を推し進め、優位を占める重点分野において、難関突破の達成に極力努める。基礎研究、先端技術の研究及び社会公益的研究を強化する。科学技術体制の改革を深化し、企業を主体とし、市場を導きとする、産・学・研を結合させた技術創造革新体系の構築を加速する。自主的創造革新のインセンティブメカニズムを完全なものにし、自主的創造革新を奨励し、サポートする財政・租税政策、金融政策及び政府統一調達制度を徹底させる。ベンチャービジネスを鋭意発展させる。国家知的財産権戦略の策定を急ぎ、それを実施し、知的財産権の保護を着実に強化する。「全人民科学資質行動計画」を引き続き実施する。

(五)地域間のバランスのとれた発展を一段と推し進める

各方面に配慮し、合理的に計画し、優位性を発揮させ、政策を徹底させ、地域間のバランスのとれた発展を促す。西部大開発の「十一次五ヵ年計画」を真剣に実施し、インフラ施設、生態環境整備の強化及び科学技術教育の発展に重点をおき、特色のある優位産業を発展させる。耕地の林地復元、牧場の草地復元で収めた成果の定着、発展をはかり、その後続政策の制定を急ぐ。引き続き天然林保護、砂漠化対策、石漠化対策などの重点生態プロジェクトを実施する。東北地区など旧工業基地の復興を積極的に推し進め、その重点として産業の構造調整にさらに力を入れ、重要業種・企業の再編、改造に鋭意取り組み、装置製造業、原材料加工業、ハイテク産業、農産物加工業の発展を推進し、商品食糧基地の整備を強化する。資源枯渇型都市の経済パターン転換の試行と採炭による地盤沈下区域の対策を急ぐ。バラック密集地区の改造を急ぐ。中部地区では、重点として食糧主産地の生産能力向上と農産物の加工・転化能力の強化を続行し、エネルギー、重要原材料基地と総合交通運輸システムの建設を強化し、先進的な製造業とハイテク産業の発展をサポートする。東部地区では、重点として産業構造の最適化と高度化を推進し、自主的創造革新能力と国際競争力を強化し、改革開放と科学発展の面で先を行くことである。経済特別区、上海浦東新区の役割を引き続き発揮させ、天津浜海新区など条件の整った地区の開発、開放を推し進める。

未発達地区へのサポートの度合いを大きくし、未発達地区に対する発達地区の地域別部門別の支援活動を奨励し、もとの革命根拠地、民族地区、辺境地区、貧困地区の経済社会の発展を促し、人口の比較的少ない民族の発展を積極的に扶助する。三峡ダム地区の発展と住民の移転作業を首尾よく進める。

四、社会主義調和社会の構築を推し進める

社会が調和を保って安定し、国民が安心して暮らしながら生業に励むこと、これは広範な人民の共通の願いであり、政府活動の重要な任務でもある。今年は党の第十六期六中全会の精神を真剣に貫き、より強力な措置をとって、社会主義調和社会の構築に向けて重要な一歩を踏み出さなければならない。

(一)教育、医療衛生、文化、スポーツなど社会諸事業の発展を速める

教育は国の発展の礎石であって、教育面の公平は重要な社会公平につながるものである。教育の発展を優先させるという戦略的位置付けを堅持し、各クラス各種の教育の発展を急ぐ。その全般的な配置は下記の通りである。義務教育を普及し、それを定着させ、職業教育の発展を速め、高等教育の質的向上に力を注ぐ。今年は、全国の農村で義務教育段階における児童・生徒の学費・雑費をすべて免除するが、これは農村における一億五〇〇〇万の児童・生徒の家庭の経済的負担をあまねく軽減することになろう。ひきつづき農村の貧困家庭の児童・生徒に無料で教科書を配布するとともに寄宿生活補助費を支給する。農村義務教育経費保障メカニズムを健全なものにし、保障レベルを絶えず引き上げる。今年、農村義務教育に振り向けられる全国の財政経費は二二三五億元で、昨年より三九五億元増えた。「第十一次五ヵ年計画」期において、中央財政は一〇〇億元を投入して、農村中学校の改造計画を実施し、地方政府もそれに応じてこの面への投入を増やすこととする。それと同時に、ひきつづき都市部における貧困家庭と農民就労者の義務教育適齢期の児童の就学問題を上手に解決する。今年はまた、西部地区における「二つの基本」のブレーク・スルー・プランと農村における小中学校現代遠隔教育プロジェクトを全面的に完遂させることを確保する。すべての児童が学校に通え、きちんと学べるようにする、という目標は必ず実現されるであろう。職業教育の発展を重点に位置付け、まさに教育を社会全体に向けさせるべきであるが、これは重要かつ大きな変革であり、歴史的任務でもある。中等職業教育の発展を重点におき、都市・農村をカバーする職業教育と研修ネットワークの健全化をはかる。職業教育管理体制の改革を深め、業界、企業、学校がともに参与するメカニズムを確立し、働きながら勉強し、学校と企業の提携による学校運営モデルを推進する。高等教育については、質的向上を中核とし、教育・教学の改革テンポを速め、学生募集規模を相対的に安定させ、ハイレベルの学科と大学の整備を強化し、人材養成モデルを革新し、人材養成構造を最適化し、抜きん出た人材を数多く養成するよう努める。民営教育の発展をサポートし、規範化させ、民間の力で学校を運営しようという意欲を引き出す。

教育の発展と公平を促進するため、われわれは次の二つの重要措置を取ることになる。一、今年の新学年から、一般大学、高等職業学校及び中等職業学校において国の奨学金、学業助成金の制度を確立し、それを充実させる。そのために中央財政の支出は前年度の一八億元から九五億元に増やし、二〇〇八年度に二〇〇億元を計上する予定であり、地方財政もそれに応じて支出を増やすこととする。それと同時に、国の学資ローン政策を確実に実施し、貧困家庭の学生が大学に入学でき、もしくは職業教育を受けられるようにする。これは、農村義務教育段階の学費・雑費の全額免除に続いて教育の公平を促すまた一つの大きな仕事である。二、教育部直属の師範大学で師範系の学生の学費を免除するとともに、それに応じた制度を確立する。その手本を示す措置は、さらに教師を尊敬し、教育を重視する濃厚な雰囲気を醸成し、教育が社会全体で最も尊重される事業とみなされるようにするとともに、優れた教師を数多く養成し、教育者による学校運営を提唱し、より多くの優れた青年が教育活動に生涯従事するよう励ますことである。

人材による強国戦略をひきつづき実施する。ハイレベルの、高技能者を重点とする各種人材陣作りを急ぎ、自主的創造革新をめざす数多くのリーダーと中・青年のハイレベル専門家の養成に力を入れる。人事制度の改革を加速し、人材の合理的な移動を促進する。留学者が帰国して事業を興し、国のために力を尽くすよう励まし、海外のハイレベルの専門家を誘致し、招聘する仕事にいっそう取り組む。社会全体で労働、知識、人材、創造を重んじる良好な気風を発揚する。

医療衛生事業の発展を加速させる。都市・農村の住民をカバーする基本医療衛生保健制度の確立に目を向け、今年中に、重点として下記のような四つの仕事に取り組む。一、積極的に新しいタイプの農村合作医療制度を推し進めること。試行範囲を全国の八〇%以上の県(市、区)まで広げ、条件の整った地方はそれを加速させてもかまわない。中央財政は補助金を一〇一億元計上し、前年度より五八億元増やした。農村医療衛生サービス体系の整備と発展計画を実行に移し、県、郷、村という三段階の農村医療衛生サービス・ネットワークを健全化し、郷・鎮ごとにそれぞれの政府が一つの病院を立派に運営し、各行政村が一つの診療室を開設するよう様々な形でサポートし、農村医薬品供給ネットワーク及び監督ネットワークを完備し、農村の医療衛生陣づくりを強化し、広範な農民が効果的、安全、簡便、低価格の医療衛生サービスを享有できるよう努力する。二、コミュニティーをベースとした新しいタイプの都市医療衛生サービス体系の構築を急ぐこと。都市の医療衛生資源の配置を最適化し、重点的にコミュニティーの医療衛生サービスを発展させ、経費確保の措置を徹底させ、大衆の病気の予防と治療の利便をはかる。中央財政は中西部地区に適切なサポートを与える。三、重病治療共済を主とした都市部住民基本医療保険の試行をスタートさせ、生活難の人々に対し政府は必要な資金援助を与える。四、重大伝染病の予防対策を上手におしすすめること。今年は、A型肝炎、流行性脳炎などワクチン接種による予防が可能な十五種類の伝染病を国の計画免疫枠に組み入れ、エイズ、住血吸虫病などの伝染病患者の無料治療をふまえて、無料治療の枠を広げる。従って中央財政のそれに振り向ける支出を二八億元増やすこととなる。これは、国民の健康を保障し、その体位の向上をはかるうえで、重要かつ大きな意味を持つ。職業病、地方病の予防と治療を強化する。中国伝統医薬と民族医薬事業の発展のサポートに力を入れ、祖国伝統医薬の病気の予防・治療面における重要な役割を十分発揮させる。医療衛生事業の改革をよりよく推し進めるため、国務院はすでにチームを編成して医薬・医療衛生体制の改革深化案の制定を急ぎ、大衆の案ずる治療・受診の問題を上手に解決するよう努めている。

総合的に配慮し人口問題を解決し、ひきつづき現行の計画出産政策を実施する。低い出産レベルを維持し、出生人口の質を高め、その性別比率の偏りについて総合的対策を講じる。農村の計画出産家庭への奨励、扶助などの制度を全面的に実施する。農村で「少なく生んで早く豊かになる」プロジェクトの実施範囲を拡大する。流動人口向けの計画出産管理サービス体系を充実化する。

高齢者事業を発展させ、積極的に人口の高齢化に対応する。女性・児童及び青少年向けの事業を発展させ、法にもとづいて女性と未成年者の権益を保障する。身体障害者事業に関心を寄せ、援助を与え、彼らが平等に経済社会の生活に参入できるようなよりよい環境づくりをめざす。

社会全体において中国の特色を持つ社会主義の共同の理想を確立し、社会主義栄辱観の教育を広く繰りひろげ、文明的なモラル気風を醸成し、特に青少年の思想・モラルの確立を強化する。文化事業と文化産業の発展を急ぐ。文化体制の改革を推し進め、文化産業政策を健全化する。報道・出版、ラジオ・映画・テレビ・文学芸術を繁栄させる。哲学・社会科学をさらに発展させる。人民大衆の文化面の需要を満たすことに目を向け、人民の文化的権益を保障し、逐次社会全体をカバーする公共文化サービス体系を確立する。ラジオ・テレビを村々まで普及させるプロジェクト、コミュニティーや郷・鎮総合文化センター整備プロジェクト、全国文化情報リソース共有プロジェクト、農村における映画放映プロジェクト、農家のための読書室プロジェクトを重点に位置付け、力を入れて取り組み、ひきつづき一群の国家重大文化プロジェクトの建設に取り組む。インターネット・ウェブサイト文化の創造と管理を立派に行い、文化遺産、自然遺産及び歴史資料・公文書の保護を強化する。文化市場の管理を強化し、ポルノ一掃と不法出版物の取締りを堅持する。積極的にスポーツ事業とスポーツ産業を発展させ、都市・農村における末端のスポーツ施設の整備を強化し、全人民の健康増進キャンペーンの展開に力をいれ、競技スポーツのレベルを引き上げる。北京オリンピック、北京パラリンピックの諸般準備作業を急ぎ、上海万国博の準備作業を立派に行なう。上海スペシャルオリンピックス世界大会を成功させる。

(二)就業と社会保障の仕事を強化する

就業の拡大を経済社会発展の際立った位置におくことを堅持する。雇用創出に役立つ財政、租税及び金融政策を実施し、自主的に事業を興し、自力で仕事をさがそうとしたい者に積極的な援助を与える。その重点としては、一時帰休者と閉鎖され、破産した企業における職員の再就業を上手におしすすめ、「ゼロ就業家庭」や就職困難者が就業の場所を見つけるよう支援し、大卒者向けの就職ガイダンスやサービスを強化し、退役・除隊軍人の再配置に関する改革を推し進める。調和の取れた労働関係を発展させ、労働契約制を全面的に実施し、労働者の合法的な権益を保障する。

社会保障システムの整備を強化する。今年、中央財政は社会保障支出を二〇一九億元計上し、前年度より二四七億元増やした。ひきつづき企業の職員・労働者基本養老保険制度を充実させ、養老年金個人口座の積立を確実にする試行範囲を積極的かつ着実に拡大するよう推し進める。都市部職員・労働者基本医療保険と失業、労災、出産保険制度を健全なものにする。農民就労者の特徴に適した社会保障制度の確立を速め、農民就労者の労災保険と重病医療保障事業の推進を重点に置く。社会保険関係については、地域にまたがる移転継続ポータビリティー手続きの検討・制定を急ぐ。社会保険のカバー範囲をさらに拡大し、とりわけ外資、個人経営など非公有制企業と都市部における非正規就業者の保険加入作業を上手に推し進める。多ルートを通じて社会保障基金を調達し、それを積み立てる。社会保険料の徴収・管理方式を完備させ、基金の徴集率を引き上げる。社会保障基金、住宅積立金など社会公共基金への監督・管理を強化し、基金の横領、流用を厳しく禁じる。積極的に社会福祉事業を発展させる。

都市・農村の社会救済体系の健全化をはかる。都市住民最低生活保障制度、都市・農村医療救済制度、都市のホームレス、物乞いの救済制度の健全化をはかる。今年は、全国的範囲で農村最低生活保障制度を打ち立てることになり、これは「三農」への取り組みを強化し、調和社会を構築するためのまた一つの重要な措置である。各地方はそれぞれの実情に照らして最低生活保障の適用範囲と基準を合理的に定めなければならず、財政難の地方に対しては中央財政から適切に補助金を与える。全国の都市・農村における最低生活保障制度を確立し、これは社会の公平を促進し、調和社会を構築する上で重要かつ深遠な意義を持つものである。ひきつづき優遇・扶助政策を実施し、優遇・扶助対象者の実際困難を上手に解決する。防災・減災・災害対策への取り組みを確実にすすめ、被災者の生産・生活を適切に案配する。慈善事業の発展をサポートする。都市・農村の人々、とりわけ貧困者の誰もが公共財政の恩恵に浴するようにしなければならない。

(三)安全生産の仕事を強化し、市場の秩序を整頓し、それを規範化させる

重大もしくは特に重大な安全に関わる事故の発生を断固食い止め、全国の安全生産状況の安定と好転をはからなければならない。「安全第一、予防優先の総合対策」の方針を真剣に貫徹し、安全生産にかかわる体制を充実させ、その責任制度を着実に実施し、安全生産への資金投入を増やし、安全生産に関する教育とトレーニングを強化しなければならない。引き続き炭鉱におけるガス対策と整頓・閉鎖という二つの難関突破の仕事に取り組まなければならない。重点業種や分野に向けた安全特別対策に着実に取り組み、学校や大勢人々が集まる場所の安全防犯を強化する。安全生産に関わる事故については、法によって監督管理を強化し、またそれを厳しく取り調べて処理しなければならない。

枝葉末節と根本の問題をともに解決することを堅持し、市場の秩序を突っ込んで整頓し、それを規範化させる。社会信用システムの構築を速める。市場管理制度を完備化させ、市場に対する監督・管理を強化する。法に基づいてニセモノの製造・販売、偽りの広告、商法上の詐欺、マルチ商法や形を変えたマルチ商法、脱税・税還付金の詐取、密輸・ヤミ取引などの違法行為をきびしく取り締まる。食品の安全性に関する特別対策を強力に展開し、医薬品市場の秩序を全面的に整頓し、人民大衆の飲食や医薬品使用における安全を保障する。

(四)社会主義の民主法制の整備を推進する

民主の発展、法制の健全化は社会主義制度の内在的要請である。調和社会の構築に向けて、民主法制の整備を強化し、社会公平・正義を促進することが最も肝心である。政治体制の改革を積極的かつ穏当に推し進め、中国の特色をもつ民主政治の整備を速めなければならない。人民の民主的権利を保障する制度を完備し、人民の法に基づく国家事務の管理、経済と文化事業の管理、社会事務の管理を保障する。都市農村における末端自治組織の整備を強化する。末端における民主を拡大し、政務公開、企業や村の事務の公開などの制度を充実させ、人民が法に則って民主的権利を直接的に行使することを確保する。各クラスの政府は科学的かつ民主的な政策決定を堅持し、重要問題の集団による決定の制度、専門家諮問制度、社会への公示制度と公聴制度、政策決定責任制度を完備化させ、法に則って公民の知る権利、参画権、意思表示権、監督権を保障する。

法に則った行政を全面的に推進する。政府の立法作業を強化し、その重点は社会諸事業の発展、社会保障の健全化、社会管理の強化、エネルギー資源の節約、生態環境の保全などに関わる立法である。行政法規の執行を強化、改善し、行政法規執行責任制を実行に移す。執行部門は法に定められた権限と手続きに厳格に従って、権力を行使し、職責を履行しなければならない。行政に対する監督をさらに強化する。各クラスの政府およびその公務員は、みな率先して憲法と法律を遵守し、厳格に法律に則って事を運ばなければならない。自覚をもって人民代表大会及び常務委員会の監督や人民政治協商会議の民主的監督を受け、民主諸党派、工商連合会、無党派の人びとと各人民団体からの意見にじっくり耳を傾ける。マスメディアや世論、社会公衆の監督を受ける。監察、会計検査部門が法に基づいて監督の職責を独自に履行することをサポートしなければならない。権力運営に対する制限と監督を強化することにより、人民によって与えられた権力が人民の利益のために用いられるよう確保する。法知識普及の教育を突っ込んで繰り広げ、行政再審査、法的サービスと法律援助の仕事を上手におしすすめる。引き続き司法・行政体制の改革を推し進め、司法の公正を保つ。

民族、宗教、華僑事務の仕事を上手におしすすめる。民族区域自治法を全面的に貫徹し、平等、団結、互助、調和という社会主義の民族関係を打ち固め、それを発展させる。党の宗教事務に関する基本方針を全面的に貫徹し、宗教事務条例を真剣に実施する。党の華僑政策を全面的に貫徹し、祖国統一と民族復興の促進における海外華僑、帰国華僑およびその家族の独特な役割を発揮させる。

(五)社会の安定と調和を維持する

新しい時期における社会矛盾を正しく処理し、社会の安定や調和を促進するにあたって、その出発点と立脚点を人民大衆の合法的権益を守ることに置かなければならない。利益協調メカニズム、訴えの伝達メカニズム、矛盾の調査・調停・処理メカニズムと権益の保障メカニズムを健全なものにする。大衆の利益とかかわりのある諸般の政策を真剣に実施し、法律や政策に基づいて大衆の要望や苦情をいち早く解決し、土地収用、家屋立退き、企業の体制転換、環境保護などにおいて大衆の利益を侵害する行為を断固として是正する。各クラスの政府公務員、特に指導ポストにあるものは末端まで深く入って、自ら進んで大衆の悩みごとや困難を解決しなければならない。コミュニティーの整備を進め、末端のサービス・管理のネットワークを完備させる。投書・陳情受理の仕事を強化し、投書・陳情訪問受理の責任制を健全なものにする。社会の治安防犯・抑制システムの整備を強化し、突出した治安問題の根治や治安の乱れた地域の対策に力を注ぐ。法に基づいて刑事犯罪活動を取り締まり、国の安全と社会の安定を維持する。

五、改革を深化させ、開放を拡大する

改革開放を揺るぐことなく堅持し、重点分野と肝要な部分で新たな突破を遂げるように努める。

国有企業の改革を深化させる。一、参入も退出もでき、合理的に流動させるという原則にのっとって、より多くの国有資本が国の安全や国民経済の命脈に関わる重要な業種とカギとなる分野に集中するよう促す。企業の調整や再編を推し進め、条件の整った企業の強大化を支援する。二、国有大型企業の株式制改革を推し進める。企業統治(コーポレート・ガバナンス)構造、投資リスク抑制メカニズムと内部監督・管理システムを健全なものにし、現代企業制度に適応した選抜・任用とインセンティブ・制約メカニズムを確立する。三、国有資産に対する監視・管理の体制を充実させる。国有資本経営の予算制度を確立し、国と企業の配分関係を規範化させる。今年は国有資本経営の予算編成を試行する。国有企業の体制転換と国有財産権の移譲行為を規範化させ、国有資産の流失を防ぎ、職員・労働者の合法的権益を守る。四、長年来懸案となってきた国有企業の問題の解決に取り組む。長期的に赤字を抱え、債務超過に陥っている企業および資源の枯渇した鉱山に対して、引き続き閉鎖、破産を実施し、企業の政策的な破産の作業を積極的かつ穏当に推し進める。企業における本来事業と付随事業の分離、付随事業の体制転換および社会事業運営機能の分離を推進する。

独占業種の改革に拍車をかける。市場参入の基準をさらに緩和させ、競争メカニズムを導入し、投資主体と所有権の多元化をはかる。電力や郵政、電信、鉄道輸送などの業種の改革を深化させ、給水、ガス供給、供熱など市政公共事業の改革を着実に推し進める。

個人経営、私営などの非公有制経済の発展を奨励、支援し、誘導する。中国共産党中央が制定した諸般の政策措置を真剣に実施する。非公有制経済が国有企業の改革に参入し、また公共事業、インフラ整備、金融サービス及び社会事業などの諸分野へ参入するよう奨励する。金融、租税、技術革新などに関する政策を充実させ、非公有制企業向けのサービスを改善する。法によって非公有制企業の合法的権益を保護する。非公有制企業に対する導きと管理を強化し、企業の適法経営を促す。

財政・租税体制の改革を推し進める。今や、国内企業と外資系企業の所得税を一本化させ、国内企業と外資系企業を平等な立場で競争させる条件がすでに整っており、機も熟した。この改革は、新たな企業所得税法の制定にかかわるものであり、今大会に『中華人民共和国企業所得税法(草案)』を提出し、審議を求めることになる。公共財政体系の整備を速め、財政移転支出制度を充実させ、予算管理制度を改革し、付加価値税の転換の全面的実施に関する方案と措置を制定し、規範化した租税外政府収入システムを確立しなければならない。

金融体制改革のテンポを速める。一、国有銀行の改革を深化させること。国有商業銀行の株式制改革の成果を確実なものにし、それを発展させる。中国農業銀行の株式制改革を推し進める。政策的銀行の改革を深め、重点的には国家開発銀行の改革を行なう。二、農村金融の改革を速めること。分業の合理化、投資の多元化、機能の充実化、サービスの効率化をめざす農村金融組織体系を構築する。農村金融における中国農業銀行、中国農業発展銀行の中堅や柱としての役割を十分に発揮させ、引き続き農村信用社(協同組合)の改革を深め、中国郵便貯金銀行の「三農」向けのサービス機能を増強させる。農村地域における銀行業金融機構への参入政策を適切に調整し、緩和させ、さまざまな資本が農村の金融機構に参入するよう奨励する。農村の特徴に適った新しいタイプの金融組織を模索し、発展させ、農村向けの金融商品やそのサービス面での創造革新を強め、農村における融資難の問題の解決に取り組む。三、資本市場を大いに発展させること。多層化した資本市場体系の整備を推し進め、直接融資の規模と割合を拡大させる。株式市場を穏当に発展させ、債券市場の発展を加速させ、先物取引市場を積極的かつ着実に推し進める。市場の基礎的制度づくりを一段と強化し、株式や債券の発行制度の市場化の改革を推し進め、上場会社の質的向上に着実に力を入れ、市場の監督管理を強める。四、引き続き保険業の改革を深化させ、保険のカバー範囲を広げ、保険業のサービス水準とリスク対応能力を向上させること。五、金融面の対外開放を推進し、金融業の開放のレベルを向上させること。六、金融の監督・管理を着実に強化、改善し、監督・管理・協調メカニズムの健全化をはかり、金融リスクを効果的に防ぎ、それを解消し、わが国の金融の安定と安全を守ること。

対外貿易を発展させる。対外貿易を発展させることで経済発展を促進し、雇用を創出することは、われわれの長期的に堅持すべき方針である。輸出入の構造を最適化させ、対外貿易成長パターンを転換させ、貿易黒字超過の矛盾を緩和させるよう努めなければならない。独自のブランド、高付加価値製品の輸出をサポートし、サービスと農産物の輸出を拡大する。高エネルギー消費・高汚染製品の輸出を規制し、加工貿易の形態の転換・高度化を促進する。エネルギーや原材料、先進技術・プラントおよび肝心な付属部品の輸入を増やさなければならない。国の通関窓口における管理と検査・検疫の仕事を強化する。

外資利用の仕事を立派に推し進める。外資の誘致に当たり、質的向上と構造の最適化を重んじ、先進的な技術、管理ノウハウおよび高資質の人材をさらに導入しなければならない。多国籍企業が先進的な製造および研究開発の部分をわが国に移転し、外資の中西部、東北地区など旧工業基地および産業政策に合致する分野への進出を加速するよう導く。国際サービス業務の対外受注に力を入れ、わが国のサービス業の発展レベルを向上させる。外資による合併・買収への誘導とその規範化を強化する。投資環境の最適化整備に取り組み、外商誘致・資金導入の行動を規範化させ、一部地方の法律・法規に違反し、形を変えた優遇政策を与えたり、数値目標を分割して各クラスに分担させたりするやり方を是正する。

企業の対外投資提携を誘導し、規範化させる。財政・租税、融資、外貨、保険などにかかわる政策・措置を完全なものにし、実力のある、信用もある、競争力に富むさまざまな所有制企業の海外投資をサポートする。誘導と協調を強化し、企業の海外における盲目的投資や悪性的競争を避ける。海外プロジェクトの受注と労務提携を発展させる。海外経済貿易提携区の整備に取り組む。ドーハ・ラウンドの交渉プロセスを前進させ、多国間貿易のルールづくりに積極的に参与し、二国間、地域間の自由貿易区の整備を穏当に推し進めてゆく。

六、政府そのものの改革と建設を強化する

新しい情勢下における政府活動を立派に行うためには、政府そのものの改革と建設を絶えず強化しなければならない。この数年間、われわれは科学的で民主的な政策決定を実行し、適法行政を推進し、行政への監督を強化することを三つの基本的準則とし、この面で一連の措置を取ってきた。政府としての職責の全面的履行を重んじ、社会管理と公共サービスの強化に取り組み、突発性公共事件への対応管理体制やメカニズムを確立し、健全化し、行政審査・許認可制度の改革を推し進め、適法行政の全面的推進実施要綱を制定、貫徹し、監察、会計検査の仕事を強化し、腐敗反対・廉潔提唱の度合を大きくした。これにより政府そのものの改革と建設は重要な一歩を踏み出した。

政府そのものの改革と建設を強化するには、人間本位と人民のための執政を堅持し、最も広範な人民の根本的利益を立派に実現し、擁護し、発展させることを出発点もしくは立脚点としなければならない。あくまで国情を踏まえて、党の指導、人民の主人公としての位置づけと法律に基づいて国を治めることの有機的統一を実現しなければならない。社会主義市場経済体制を絶えず充実させることを堅持し、経済社会の全面的でバランスのとれた、持続可能な発展を促進しなければならない。政府管理の制度と方式の創造革新を堅持し、政府活動の透明度と人民大衆の参与度を高めなければならない。われわれの目標は、行為が規範化し、公正かつ透明で、政務に励み、効率も高く、清廉潔白な政府づくり、人民大衆の意に適った政府づくりをめざすことである。

当面および今後の一時期において、政府機能の転換を核心とし、行政権力を規範化させ、政府の組織構造と職責分業を調整、最適化し、政府の管理とサービス方式の改善をはかり、政務公開の推進に力を入れ、電子政務化と政府ウェブサイトの整備を速め、公務員陣の資質を向上させ、行政の効率を全面的に引き上げ、政府の執行力と政府への信頼感を高めてゆかなければならない。今年は力を集中して次の三つの仕事に着実に取り組まなければならない。一、マクロコントロール体制を完全なものにする。政府と企業との分離を堅持し、行政審査・許認可制度の改革を突っ込んで推し進め、審査・許認可事項を少なくし、事務処理の効率化を図る。二、社会管理と公共サービスを強化し、基本的公共サービス能力を増強し、人民大衆が強い不満を抱く問題の解決に力を入れる。三、法に則って行政行為を規範化する。廉潔政治の整備と反腐敗闘争を深く繰り広げ、啓発、制度、監督をともに重んじた腐敗の懲罰・防止システムを充実させる。

政府部門の作風づくりを大いに強化する。現在、一部の行政機関に見られる目に余る派手好み(贅沢三昧)や浪費といった問題を解決することが重要な課題となっている。現在、多くの地方や部門、政府機関では見えをはったり、贅沢さを競い合ったり、奢侈追求の風潮がはびこり、大衆はこれに対してかなり強い不満を抱いている。こういったゆゆしき風潮は、断固として食い止めなければならない。行政機関のオフィス・ビルの新築または増築を厳しく抑制し、デラックスなビル・公会堂・ホテル・ゲストハウスの建設を厳禁し、公務接待行為を確実に規範化させ、管理上の抜け穴をふさぎ、行政コストを引き下げ、節約型政府づくりに向けて努力しなければならない。

代表のみなさん!

強固な国防を打ち立て、強大な人民の軍隊を建設することは、社会主義現代化建設に向けた戦略的任務である。毛沢東の軍事思想、鄧小平の新しい時期における軍隊建設思想、江沢民の国防・軍隊建設思想を導きとし、胡錦濤同志の軍隊建設と関連のある一連の重要な論述を真剣に貫き、科学的発展観を全面的に実行に移し、新しい世紀の新段階における軍隊の歴史的使命を効果的に全うすることに目を向け、思想・政治の建設を首位に置くことを堅持し、積極的に中国の特色のある軍事変革を推し進め、軍隊の高度の安定と集中・統一を確保し、国の安全・統一の擁護と現代化建設のために強力な保障を提供しなければならない。軍事訓練においては機械化から情報化への転換を積極的に推し進め、情報化の条件下における軍隊の防衛戦闘力を絶えず高めてゆく。国防分野の科学技術研究および武器装備の整備を強化する。後方支援の整備と改革を推し進める。法律に基づいて軍隊を治め、厳格に軍隊を治めることを堅持し、軍隊の正規化のレベルを引き上げる。人民武装警察部隊の全面的な建設を強化し、その執務や突発事件への対処、反テロ闘争および安定の擁護という任務を立派に遂行する。国防教育を深く繰り広げ、国防動員体制を充実させる。軍隊擁護・軍人遺族・家族優遇、政府擁護・人民愛護の仕事の展開に確実に力を入れ、軍隊と政府、軍隊と人民の団結を強固にし、発展させる。

代表の皆さん!

われわれは引き続き「一国二制度」、「香港人による香港統治」、「澳門(マカオ)人による澳門統治」、高度の自治という方針を揺るぐことなく貫徹し、香港特別行政区基本法と澳門特別行政区基本法に厳格に則って事を運び、二つの特別行政区の行政長官と政府が法に基づいて施政を行い、経済を発展させ、民生を改善し、調和を促進することを全力をあげてバックアップする。大陸部と香港、澳門との経済貿易や科学教育、文化、医療医療衛生、スポーツなどの諸分野における交流と提携を強化する。われわれは香港、澳門各界の人々とともに、両地の長期にわたる繁栄・安定の維持と発展をめざして努力奮闘しようではないか。

われわれはあくまで「平和的統一、一国二制度」の基本方針を堅持し、新たな情勢下での台湾海峡両岸の関係の発展、祖国の平和的統一の促進に向けた諸政策を堅持する。広範な台湾同胞と団結し、「台湾の法理上の独立」などいかなる形の分裂活動に断固反対する。両岸関係の平和発展というメーンテーマをしっかりととらえ、積極的に両岸間の交流と協力を拡大し、両岸間の直接「三通(通信、通航、通商)」を促し、最大限の誠意を示し、最大限の努力を払って両岸同胞の平和、発展、福祉を追求してゆく。われわれは引き続き一つの中国という原則を踏まえて、両岸関係の発展を主張する台湾の諸党派との対話と交流を強化し、両岸間の対話と交渉の早期回復を勝ち取り、両岸関係の平和と安定に向けた発展を推進するよう努める。台湾同胞を含めたすべての中華民族の子孫が力を合わせ、ともに努力することにより、中国の完全な統一は必ず実現されうるものとわれわれは確信している!

代表のみなさん!

ここ一年、われわれは国際と国内という二つの大局を統一的に配慮、把握した上で、積極的に調和世界の構築を提唱し、対外関係の全面的発展を推し進め、世界平和の擁護と共同発展の促進のために新たな貢献をしてきた。

われわれがうち出し、推進している調和世界の構築は、現下における世界の発展の流れ及び各国人民の共通の利益と願いに合致したものであり、中国の政府と人民が世界の平和と進歩のために尽くしていくという確固とした信念を具現するものである。調和世界の構築とは、政治上の平等、民主、経済上の互恵協力、文化上の交流、共同進歩をめざし、国家間の友好・協力を通じて、共同で地球規模における伝統的及び非伝統的な安全保障の挑戦に立ち向かい、世界の恒久平和と共同繁栄を実現することである。複雑でめまぐるしく変化する国際情勢に直面し、われわれは平和、発展、協力の旗印を高く掲げ、あくまで平和・発展の道を歩み、揺るぐことなく独立自主の平和外交政策を実行し、断固として平和共存五原則を踏まえ世界各国と仲よくつきあい、国家の主権、安全と利益を守り、わが国発展にとって重要な戦略的チャンスを逃すことなく、小康社会を全面的に建設し、社会主義現代化建設の進捗を速めるための良好な外部環境づくりに取り組まなければならない。

われわれは経済貿易、科学技術、文化、教育、スポーツなどの諸分野における対外交流と協力を大いに繰り広げ、世界各国の人民との理解や友情を深め、中国の平和、民主、文明、進歩のイメージを確実し、わが国の公民と法人の海外における合法的権益を守り、法に基づいて外国公民の中国における合法的な権益を尊重し、保護する。

われわれは各国人民とともに、恒久平和、共同繁栄を目指す調和世界の構築の推進に向け、たゆまず努力しなければならない。

代表の皆さん!

未来を展望するならば、偉大な祖国の前途は極めて明るい。われわれの使命は崇高かつ神聖なものであり、その責任は非常に重いが栄光に輝いている。全国各民族人民は胡錦濤同志を総書記とする党中央の周りにかたく結束し、鄧小平理論と「三つの代表」の重要思想の偉大な旗印を高く掲げ、科学的発展観を全面的に実行に移し、社会主義調和社会の構築を速め、万人心を一つにし、進取の精神をもって開拓に努め、全力をあげて引き続き改革開放と社会主義現代化事業を前進させていこうではないか。



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