「在外中国人学者の一員として、わたしは海外から中国を見るだけでなく、提案も送ることにした」――。京都の立命館大学で孔子学院の院長を務める周イ生教授は9日、大きな紙2枚にびっしりと書き詰めた両会(全人代と全国政協)への感想と提案を、人民日報海外版に送り届けた。
全国政協の列席経験がある周院長は今年の両会について「祖国は急速に発展している。中国の変化は世界で最も感動的なストーリーの1つとして、『中国の奇跡』とも称される。この奇跡は誰にも否定のできぬ事実を示している。つまり、中国を好きか否かに関わらず、誰もがその重みを重視し、中国の声に耳を傾けざるを得ないということだ」と感想を述べた。
エネルギー・環境政策学が専門で、立命館大学サステイナビリティ学研究センターの代表を務める周院長の目にも、貧富の格差、生態と資源・エネルギー上の制約、地球温暖化といった、中国の発展に潜むリスクが見える。富裕化を急ぐ社会の風潮が一部国民の道徳意識を腐食していることも、エリート層による長期的な政策決定にマイナスに働いている。
周院長は「中国には非常に重要な五カ年計画・十カ年計画があるが、持続可能な発展を実現するためには『中国百年発展研究院』を設立し、国内外の頭脳を結集して100年スパンの発展戦略を組み立てる必要がある。『調和社会総合実験モデル地区』も設立する。このために、沿海地区に社会面を率先して実施する『政策特区』を設立し、より大きな政策自主決定権を与えることを提案する」としている。
「人民網日本語版」2008年3月11日