有名な経済学者・国家統計局総経済師の姚景源氏は「目下の物価上昇は構造的上昇であって、全面的な上昇ではない」と見ている。姚氏の説明では、CPIには、食品、衣類、タバコ・酒、家庭用設備、小売業・サービス業、医療・衛生・保健、交通・通信、文化・教育・居住という8項目の商品とサービスが含まれている。「現在は5項目が上昇したが、3項目は低下した。そのうち、衣類は昨年同期と比べ0.6%下がり、交通と通信のほか、教育費も下がった。昨年は全国で約1億5000万人にのぼる生徒の学費が免除され、中・西部地区では、教科書代も免除されたことで、教育支出が大きく下がった」とさらに説明した。
「商品は食品と非食品からなっている。昨年、CPIは4.8%伸びたが、そのうち4%が食品の値上がりによるものだった。食品の値上がりは物価高騰の主因であり、食品価格の上昇がもたらした物価急騰は82%に達している。これも構造的な問題だ。物価の上昇幅は、発展途上地区であるほど高いのに対し、杭州や北京、上海などの大都市では、むしろそれほど高くない。典型的なインフレは、発達した地区の物価上昇率が発展途上地区より高く、都市のほうが農村より高いはずだ」と姚氏は指摘する。
物価上昇は農民に利益
「農民の立場に立てば、農産物の物価上昇は当たり前のことだ」と姚氏は見ている。昨年上半期には、農民の現金収入は2110元、農業・副業生産物による収入は884元で、前年同期より130元増えた。そのうち、家禽や卵による増加分は24元、物価上昇による増加分は106元だった。つまり、農民の純収入の82%は物価上昇によるものだった。「ここ数年で公務員と企業の従業員は賃金を引き上げられたが、誰も農民の収入を増やすことはなかった。今回の農産物の値上がりは実際には、市場が都市と農村の利益を調節したということだ。長期間にわたって蓄積された矛盾が、弱い立場に置かれてきた農業分野で爆発したということだ」と姚氏は言う。
豚肉の値段は元のレベルまで下落することはない
豚肉の値上がりについて、姚氏は「値上がりを評価するには、どちらの立場に立つかという問題がある。農民は普遍的に教育程度が低く、生活が貧しく、インターネットを採り入れないうえ、メディアが訪れて彼らの話を聞くチャンスもほとんどない。もしもメディアが、誰でもいいから農民を訪れ、現在の豚肉の値上がりが正しいかどうかと聞いてみれば、間違っていると答える人は一人もいないと信じている」と断言。
「今年は豚肉の値段はきっと下落するに違いないが、決して元のレベルまで落ちることはない。元の値段が低すぎたからだ。06年の統計結果では、36%の農民がブタを飼育しなくなったことが明らかになった。ブタの頭数がこれほど減って、問題が起こらずにすむだろうか」と姚氏は説明した。
「北京週報日本語版」2008年3月21日