前書
中国における立法は特定の主体が一定の職権と手続きに基づき、一定の技術を運用して、制定、認可、改正する法律をめぐっての特定の社会規範活動のことを指す。中国の現行の立法システムは中央が統一的に指導し、ある程度の分権があり、各クラスの立法が共存し、さまざまな種類の立法が結合する立法権限の区分システムである。 中国の立法には全国人民代表大会と常務委員会による立法、国務院と関連部門による立法、一般地方の立法、民族自治地方の立法、経済特区の立法および特別行政区の立法などが含まれる。

民族自治地方の立法の意義、特徴と構成

民族自治地方の立法は、民族自治地方の自治機関が法律にしたがって、効力が本民族自治地方に及ぶ自治条例と単独条例を制定する行為の総称である。これは中国における地方立法の特殊な形態の一つとなっている。

民族自治地方立法の主な特徴は次のとおりである。

第一、 民族自治地方の立法には特定の地域があり、この特定の地域は民族自治地方に存在する。各民族自治地方も立法権を持っており、普通の地方は必ず立法権を持つというわけにはいかない。民族自治地方の立法権を行使して生まれる法律は、関係のある各民族自治地方に適用する。

第二、 民族自治地方の立法には特定の立法主体があり、それは憲法、地方組織法と立法法によって確定される特定の民族自治機関である。民族自治機関は自治区、自治州と自治県の人民代表大会と政府のことを指す。

第三、 民族自治地方の立法は特定の表現形態があり、自治条例と単独条例の制定・変更に限られる。民族自治地方は自治条例と単独条例の制定権を持つほかに、地方的な法規や地方政府の規則が制定できる自治区や自治区政府の所在都市があるにもかかわらず、普通の地方立法に対する特殊な地方立法としては、民族自治地方の表現形態が自治条例と単独条例の制定・変動である。

第四、 民族自治地方の立法権は特定の立法権であり、民族自治地方の自治権に属すると同時に、他の自治権を有効的に行使させるための非常に重要な権限でもある。自治権は広い範囲にわたるものである。立法の形で自治権を行使させる民族自治地方の立法は、普通の地方立法の範囲より広く、普通の地方立法の及ばない多くの事項を規定できる。民族自治地方は、普通の地方立法の調整できない多くの重大事項を調整できる。

第五、 民族自治地方の人民代表大会によって制定される自治条例と単独条例は、地元の民族の政治、経済と文化の特徴にしたがう。憲法と立法法は、民族自治地方の立法が憲法や法律、行政法規と食い違ってはならないと制限されていない。自治区の自治条例と単独条例は全人代常務委員会の許可を経て発効、自治州と自治県の自治条例と単独条例は省、自治区、直轄市の人民代表大会常務委員会の許可を経て発効する。このような順序や中央立法との関係は普通の立法と異なる。

民族自治地方の立法は、中国の国情の要求と表現であり、中国の立法体制の中で欠くことのできない地位と役割をもつ。中国は統一した多民族の国家である。各民族は政治、経済、文化およびその他の多くの面での発展がバランスを取れず、特に漢族と少数民族の発展は非常にアンバランスである。民族地域の自治を実行して、各少数民族の利益を保護することは国の基本的政策と基本制度である。民族地域の自治は少数民族の地域自治でもある。民族自治地方の立法は少数民族が集まって住んでいる地方の立法でもある。各少数民族の利益を実現・保護して、各民族の共同の繁栄を促進するために、少数民族自治地方の立法制度を実行しなければならない。

 
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