前書
中国における立法は特定の主体が一定の職権と手続きに基づき、一定の技術を運用して、制定、認可、改正する法律をめぐっての特定の社会規範活動のことを指す。中国の現行の立法システムは中央が統一的に指導し、ある程度の分権があり、各クラスの立法が共存し、さまざまな種類の立法が結合する立法権限の区分システムである。 中国の立法には全国人民代表大会と常務委員会による立法、国務院と関連部門による立法、一般地方の立法、民族自治地方の立法、経済特区の立法および特別行政区の立法などが含まれる。

地方立法の役割

中国における立法の役割は現段階では主として次のようなことである。

第一、憲法、法律、行政法規と国の政治の根本方針を効果的に実施させる。一方、情況の異なる各地でも効果的に推進させるために、地方立法は以上のことを具体化させ、実施細則も、あるいは弾力的な規定を制定する。他方、地方立法はその欠陥あるいは運用しにくいところを補完し、あるいは運用しやすくする。

第二、中央立法が独自に解決できない、あるいは当分中央立法が解決するには不適な問題を解決する。

第三、地方立法が解決すべきさまざまな問題を自主的に解決する。例えば、各地の具体的あるいは特有の川・湖の水利管理、ダムの保護、自然環境と都市環境の保護、少数民族の問題、各地の政治、経済、教育、科学、文化、医療衛生、民政およびその他の面の地方特有で立法で解決する必要のある問題。

第四、中国の社会の人治から法治への転換を促す。中国における古い伝統の中におかれた、近代化への発展を阻害する人治の要素から徹底的に脱却し、近代的な法治国家を築き上げるには、中央も地方も立法に励まなければならない。現在すすめられている経済体制改革も農村から始まったものである。中国の地方立法がスムーズに進めば、どんな力も左右することのできない全中国が法治に向かう趨勢が形成され、人治から法治への最終的な転換が一日も早く実現するために役立つ。

十数年来、中国の立法は法制というチェーンの中で最も発展が速く、最も成果の目立つ環の一つとなっている。これはこの期間に、地方立法の再建と絶えざる進歩と切ってもきれない関係にある。地方立法は中国の経済、政治、法制文化およびその他の事業の発展に、確かに積極的な役割を果たしている。これらの役割には次のようなものが含まれる。(1)経済関係を積極的に調整し、経済生活を規範化させ、経済建設の発展を促進し、経済体制の改革と対外開放の発展を指導・促進・保障する(2)地方政権の整備を強め、人民代表大会制度そのものを完全なものにし、地方の法制を整備し、民主政治の発展を促す(3)社会の秩序を安定させ、社会治安の管理を強め、社会の悪習を防ぎ、一掃する(4)婦人、児童、老人、未成年者およそその他の公民の合法的な権益を保護し、消費者の合法的な権益を保護する(5)教育や科学、文化、医療衛生、民政事業の発展を保障し、人口の増加、土地管理、環境保護に関する制度を制定し、都市計画や都市建設、都市管理を推し進める(6)民族区域自治制度を実行・保障し、華僑や帰国華僑の合法的な権益の保障に関する制度を制定する。

 
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