前書
中国における立法は特定の主体が一定の職権と手続きに基づき、一定の技術を運用して、制定、認可、改正する法律をめぐっての特定の社会規範活動のことを指す。中国の現行の立法システムは中央が統一的に指導し、ある程度の分権があり、各クラスの立法が共存し、さまざまな種類の立法が結合する立法権限の区分システムである。 中国の立法には全国人民代表大会と常務委員会による立法、国務院と関連部門による立法、一般地方の立法、民族自治地方の立法、経済特区の立法および特別行政区の立法などが含まれる。

全国人民代表大会常務委員会の立法手続き

(一) 全人代常務委員会の法律案の提案手続き

全人代常務委員会委員長会議、国務院、中央軍事委員会、最高人民法院、最高人民検察院、全人代各専門委員会、常務委員会の10人以上のメンバーが連名で、全人代常務委員会に法律案を提出することができる。

常務委員会が提出した法律案以外の提案主体が提出した法律案は常務委員会の会議日程に組み入れられ、審議を受ける。ただし会議に入る形が異なる。①委員長会議が提出した法律案は直接常務委員会の会議日程に組み入れられ、中間の環は不要である。②国務院、中央軍事委員会、最高人民法院、最高人民検察院、全人代各専門委員会が提出した法律案は委員長会議によって会議の議事日程に組み入れるかどうかを決める。あるいは先立って専門委員会に審議させ、審議報告を提出し、さらに議事日程に組み入れるかどうかを決める。委員長会議は法律案に重大な問題が存在し、さらに検討する必要がある場合、提案者に改正後に提出することを建議する。③常務委員会の構成メンバー10人以上が連名で常務委員会に法律案を提出した場合、委員長会議に議事日程に組み入れるかどうかを決める。あるいは先に専門委員会に審議させ、審議の結果によって議事日程に組み入れるかどうかを決める。議事日程に組み入れられないものは常務委員会あるいは提案者に説明すべきである。専門委員会が審議した際、提案者に会議に列席させ、意見を発表させることができる。

議事日程に組み入れる法律案は特殊の場合を除いては、会議開催の7日前に法律草案を常務委員会の構成メンバーに送付すべきである。

(二) 全人代常務委員会の法律案審議の順序

議事日程に組み入れる法律案は普通常務委員会で三回審議された後で表決する。第一回の審議は全体会議で提案者の説明を聴取し、常務委員会でグループ別の審議をおこなう。第二回の審議は法律委員会の法律草案に関する改正状況と主要問題の報告を聴取し、常務委員会のグループ別会議でさらに審議される。第三回の審議は全体会議で法律委員会の法律草案に関する審議の結果の報告を聴取し、常務委員会のグループ別会議で法律草案の改正稿を審議する。常務委員会は必要に応じて、いくつかのグループ会議あるいは全体会議を開き、草案の主要問題について討議することができる。

議事日程に組み入れる法律案について、各方面の意見が一致した場合、二回の常務委員会の審議を経たあと、表決することができる。部分的に改正された法律案について各方面の意見が一致した場合、一回の常務委員会の審議した後で表決することができる。

常務委員会の議事日程に組み入れた法律案は全人代大会の議事日程に組み入れた法律案と同じように、それぞれ関連部門によって審議される。①グループ別会議で審議される②関連の専門委員会で審議される③法律委員会で審議される。

グループ別会議の審議によって常務委員会に提出した法律案は基本的審議に属する。常務委員会の議事日程に組み入れた法律案はいずれもグループ別会議で審議されたものである。全人代の各代表団の審議と同じように、グループ別会議で審議する際、提案者は人を派遣して意見を聴取し、質問に答えるべきである。グループの要求に従って、関連機構や組織が人を派遣して事情を紹介すべきである。

関連の専門委員会が審議して常務委員会に提出した法律案は専門的審議に属する。常務委員会の議事日程に組み入れた法律案は専門委員会で審議すべきである。審議意見は常務委員会会議に送付すべきである。審議の際、他の専門委員会のメンバーを会議に列席させ、意見を発表させる。

法律委員会が審議して常務委員会に提出した法律案は統一審議に属する。常務委員会の議事日程に組み入れた法律案はいずれも常務委員会の構成メンバー、関連専門委員会の審議意見や各方面の意見を聴取した後、法律委員会で統一的に審議される。そして、改正の報告あるいは審議の結果および法律草案改正稿を提出する。重大な食い違いについては特別に説明する必要がある。関連専門委員会の重要な審議意見を採択しないものについて、その専門委員会に報告すべきである。法律委員会での審議の際には、関連専門委員会のメンバーを会議に列席させ、意見を発表させる。

法律委員会と関連専門委員会が法律案を審議する際、全体大会を開くべきである。場合によっては関連機構、組織の責任者の事情説明を求めることができる。各専門委員会が法律草案の重要な問題に対して意見が異なった場合、委員長会議に報告すべきである。

常務委員会議事日程に組み入れた法律案について、法律委員会、関連専門委員会、常務委員会執務機構が各方面の意見を聴取すべきである。座談会、論証会、公聴会などさまざまな形を取ることができる。常務委員会執務機構は法律草案を関連機関、組織、専門家に送付して意見を求める。求めた意見を整理した後、法律委員会と関連専門委員会に送付し、場合によっては常務委員会会議に送付することもある。

委員長会議の決定により、法律草案を公布し、意見を求めることができる。各機関、組織と公民が提出した意見は常務委員会執務機構に送付する。

常務委員会執務機構はグループ別会議の審議意見と各方面の意見、関連資料を集め、整理して、法律委員会と関連専門委員会に送付し、場合によっては常務委員会会議に送付することもある。

表決する前に、提案者が撤回したいという場合、理由を説明しなければならない。委員長会議の同意を得て常務委員会に報告し、当該法律案の審議を中止する。

常務委員会で3回審議した後、依然として重大な問題が存在し、さらに検討すべきものは委員長会議に提出され、グループ共同会議あるいは全体会議で許可された後、法律委員会と関連専門委員会に交付し再審議する。

常務委員会の議事日程に組み入れた法律案は当該法律の制定に関する必要性、執行可能性など重大な問題で食い違いが大きく、審議されないままで満2年たったもの、あるいは表決しないまま満2年たったもの、再び常務委員会の議事日程に組み入れられないものについては委員長会議が常務委員会に報告し、当該法律案の審議を中止する。

(三) 全人代常務委員会の法律案の表決手続きと法律の公布手続き

全人代常務委員会の審議に提出した法律案は、その法律草案の改正稿は常務委員会会議に審議させ、法律委員会が常務委員会の構成メンバーの審議意見にもとづいて改正し、法律草案の表決稿を提出する。委員長会議で常務委員会の全体会議の表決に付け、常務委員会の構成メンバーの過半数によって可決される。

常務委員会で可決された法律は国家主席が署名した主席令によって公布される。

 
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