全人代常務委員会の立法は中国における最高国家権力機関の常務機関が法によって全国の及ぶ規範的法律文書を制定し、変更する作業の総称である。
全人代常務委員会立法は全人代立法とともに中国における国の立法の全体を構成するものである。中国における中央立法の重要な面である。中国の立法システムで、地位が高い、範囲が広い、任務が重い、経常化、健全化、独立性があるなどの特徴がある。
第一、 全人代常務委員会の立法における地位は全人代の立法における地位に次ぐものである。①全人代常務委員会は最高国家権力機関である全人代の常設機関であり、国家立法権も行使し、全人代が制定した法律以外の法律を制定し、改定する。全人代以外のほかの立法主体の立法より地位が高い。中国における立法権限区分体制で全人代立法権以外の立法主体の立法権より高い。全人代常務委員会の法律の効力は全国に及ぶものであり、中国の主権範囲内のいかなる社会組織と個人が守るべきものである。全人代以外の立法主体が全人代および全人代常務委員会の授権を受けずに可決した立法は全人代常務委員会の法律を立法のよりどころとするか、あるいはそれと抵触するものであってはならない。さもなければ、可決した法律は無効となる。
第二、 全人代常務委員会の立法は範囲がもっとも広く、任務が重く、経常化されたものである。①全人代常務委員会は法律を制定し、改定することができるほか、憲法を解釈する権限もある。全人代の閉会期に全人代が制定した法律を補充、改定することができる。全人代によって制定された法律および常務委員会が制定した法律を解釈する権限がある。行政法規、地方的法規および省クラスの自治条例、単独条例を撤回する権限がある。このように幅広い立法権は中国立法システムで唯一のものである。②全人代常務委員会の立法は国、社会、公民の生活の中の関連面の基本的事項、重要事項を調整する。調整される対象は全人代の立法の調整対象より具体的で幅も広い。③全人代常務委員会は最高国家権力機関の常設機関として、全人代より国家立法権を多く行使する。④全人代常務委員会の立法任務は全人代より多い。全人代常務委員会は一般に2ヶ月ごとに会議を開き、会議を開く際、立法の議事日程があり、これによって国家立法は経常化されている。
第三、 全人代常務委員会の立法は完ぺき性、独立性をもつものである。全人代常務委員会は立法を制定、改定、補充、廃棄する権限があり、提案、審議、表決、決定を公布する権限もある。立法権もあれば、ほかの立法主体の立法を監督する権限もある。また他の国家機関の立法を授権する権限がある。常務委員会の立法は立法主体に申請し、許可される必要はない。これは全人代常務委員会の立法の完ぺき性、独立性の具体的な表われである。一方、全人代常務委員会の立法はある程度制限される。憲法を制定、改正する権限がない。基本法を制定する権限がない。改正される法律の基本と抵触しないことを前提に全人代の法律を補充し、改定する権限がある。全人代は常務委員会の不適切な決定と法律を撤回することができる。全人代常務委員会は完ぺき性、独立性がある一方、ある程度制限されるため、それ相当の完ぺき性、独立性を持つ特徴を現している。
憲法と立法法の規定に基づいて、全人代常務委員会の法定立法権は主に①法律を制定し、改定する権限②憲法と法律を解釈する権限③立法監督権④他の立法権などが含まれる。全人代常務委員会の立法作業はこの4つの立法権を運用し、調整される範囲で立法活動を行う。
全人代常務委員会は全人代によって授権された立法権を行使することができる。50年代から全人代は何回も全人代常務委員会に立法権の行使を授権した。80年代初めに全人代常務委員会は『民事訴訟法(試行)』を公布した。全人代常務委員会はまた外国と締結した条約および重要な協定の批准と廃棄を決定する権限がある。中国の対外交流の発展と中国の国際社会の役割の増大につれ、全人代常務委員会がこの権限を行使する意義も日増しに大きくなった。