アジア欧州会議(ASEM)第7回首脳会合が24日と25日に北京で開かれた。加盟45カ国の首脳や代表が一堂に会し、互いに耳を傾け、突っ込んで話し合い、3つの合意文書と17の協力提言を発表した。
世界的な金融危機の発生に、エネルギー・食糧・環境・自然災害・貧困などグローバルな問題が交錯する中で開かれたアジアと欧州の両大陸間の対話は高い関心を集めた。会場の内外に集まった世界51カ国・1870人以上の報道陣は、「対話と協力、相互利益とウィンウィン」の主旨の下、各代表が一連の重大で差し迫った問題やアジア・欧州協力の深化について重要な合意に至る様子の目撃者となった。
▽最大の関心は金融問題
今回の会合の最大の関心事は、世界的な金融危機だったと言えよう。自信を固めることへの呼びかけが、会合の第1の声となった。
開会式で胡錦涛主席は「米国のサブプライム危機を引き金とする金融危機は、国際金融市場に深刻な打撃を与え、世界各国の経済成長と人々の生活に深刻な影響をもたらし、世界各国の政府と国民に懸念を引き起こした。このグローバルな試練を前に、世界各国は政策協調を強化し、協力を緊密化し、共同で対応する必要がある。この要の時期にあっては、自信を固めることが何にも増して重要だ。自信を固め、手を携え努力してこそ、この難関を共に乗り越えることができる」と明確に指摘した。
第1回全体会合で温家宝総理は、世界的な金融問題を最重要議題と位置づけ「今回の金融危機はまれに見る深刻な危機であり、関係国・機関はすでに続々と措置を講じている。これらの効果ができるだけ早く現れることを希望する。危機に打ち勝つには、全世界が行動を起こし、全力で対処することも必要だ。アジア・欧州各国は国際金融の安定を守り、世界の経済成長を促進する重要なパワーだ。われわれは心を1つに協力し、世界に自信・団結・協力を示さなければならない」と指摘した。
各国は最初の合意文書として「国際金融情勢に関する声明」を採択し、実効性ある措置を断固と、果敢に、責任をもって、速やかに講じ、実効性ある実施可能な経済・金融手段を総合的に運用し、危機に適切に対処し、市場の信頼を回復し、世界の金融市場を安定させることで一致した。各国はまた、間もなく開催される国際的な金融サミットへの支持を表明した。
アジア各国の首脳は「アジア経済は全体的になお良好だが、警戒を怠らず、協力を強化し、金融危機がもたらし得るマイナスの影響に共同で対処する必要がある」との考えを次々に表明した。
欧州各国の首脳は、金融危機への対応におけるアジア諸国との協力に強い期待を表明した。
日本の麻生太郎首相は報道陣とのブリーフィングで、金融危機への対応における日本の主張を具体的に説明した。麻生首相は、現在の金融危機を1920年代以来の「100年に一度」の危機と位置づけ、「金融問題は主として金融決算システムの問題だ。G7・国際機関・アジア協力の役割を発揮するよう心がけねばならない」との考えを示した。
在中国韓国大使館の朴炯一報道官は、今回のASEM首脳会合は次の国際的な金融サミットへの「ウォーミングアップ」になるとの考えを示した。
ASEM協力の枠組の下で、アジア欧州財務相会議が1997年以来定期的に開催されていることは注目に値する。今年6月のアジア欧州財務相会議では、金融分野で各国が協力と協調を強化する方針が決定された。今回のASEM首脳会合で金融問題が最重要議題とされたことが、世界への新たなプラスのメッセージとなったことは間違いない。
「人民網日本語版」 2008年10月27日