麻生首相の対中外交、戦略的位置づけがより明確

人民網日本語版  |  2008-10-27

麻生首相の対中外交、戦略的位置づけがより明確。日本の麻生首相は東京で22日、インドのシン首相と会談し、「価値観外交」の復活とされる安全保障協力に関する共同宣言に署名した。翌日には北京に飛び、アジア欧州会合(ASEM)に出席。首相就任後、初めて中国を訪問した。この間、中日友好平和条約締結30周年の記念レセプションにも出席し、「日中関係についての、私の所信表明」と題するあいさつを行った…

タグ:麻生首相 外交 戦略的位置 明確

発信時間:2008-10-27 14:37:57 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

日本の麻生首相は東京で22日、インドのシン首相と会談し、「価値観外交」の復活とされる安全保障協力に関する共同宣言に署名した。翌日には北京に飛び、アジア欧州会合(ASEM)に出席。首相就任後、初めて中国を訪問した。この間、中日友好平和条約締結30周年の記念レセプションにも出席し、「日中関係についての、私の所信表明」と題するあいさつを行った。対インド外交で強調した「共同の価値観」とは異なり、対中外交のキーワードは「共益」だった。「中国青年報」が27日に伝えた。

――この30年、日中両国は、幅広い分野で交流と協力を重ねてまいりました。中国くらい、日本にとって重要な国は、ざらにはありません。

――30年前は、年間で4万人程度だった人の往来は、昨年は5百万人を超えました。経済面においても、昨年の日中貿易総額は、約2千4百億ドル。30年前の実に50倍です。日中関係の要諦は、「互いに欠くべからざるパートナー」であります。

――日中両国は、引っ越しのできない、「永遠の隣人」であります。

麻生太郎首相は24日、北京人民大会堂3階ホールでこのようにあいさつした。

これまでの日本の首相が強調してきた「日中友好」とは異なり、麻生氏は「共同利益優先」という日中関係に対する自らの基本的な考えを率直に述べた。

――胡錦濤国家主席も述べられていました。「日中は、和すれば双方に利益をもたらし、争えば双方の利益を損なう」と。この根本的な心構えがあれば、困難があっても、必ずや克服できる。私が、日中「共益」の重要性を一貫して訴え続けてきたのも、こうした考えに基づくものです。日中「友好」というお題目のために、互いに遠慮するような関係ではなく、日中両国が切磋琢磨して協力していくことが、真の「戦略的互恵関係」でありましょう。孔子が、「三十にして立つ」と述べたように、今や日中両国は国際舞台に立って、「共益」の精神を、世界に広げてゆかねばなりません。


麻生氏は今回の北京訪問で、中国と韓国の首脳と会談し、対アジア外交観を初めて海外に示したと見られている。一方で「保守的なタカ派」のイメージを打ち消そうとするねらいと、もう一方では、実際の利益を重視する「麻生氏独自の外交」を示そうとするねらいがあるようだ。

麻生氏は安倍内閣で外相を務めていた際に、「自由と繁栄の弧」という新しい外交構想を提案した。その趣旨はアジアとヨーロッパで同じような自由の価値観をもつ民主主義国が弧状に手をつなぐというもので、一般的に中国とロシアを排斥・包囲する意図があるとされている。一方、麻生氏は中日の「戦略的互恵関係」の構築を外務省に提出し、中日関係の「氷を破る」べく、安倍氏の訪中を後押ししたことでも知られる。

総合的に分析してみると、麻生氏の対中観には次のような特徴がある。

(1)中日関係を非常に重視。両国の協力を強調。

(2)中日友好は両国の共同利益を実現する手段で、両国関係を発展させる目標ではない。

(3)中日関係の発展の基盤は共益と互恵で、各自の利益を損ねる問題が生じた際は率直に話し合う。

現在の中日関係は依然として歴史問題や領土問題など敏感な問題が存在しているものの、双方の関係はどんどん成熟し、お互いの戦略的位置づけがはっきりしてきている。麻生氏が崇める「利益外交」の現実主義的な手法は、これまでの中日の「友好外交」とは異なるが、基本的にはどれも両国関係の安定した発展を求めるものだ。「日中関係が現在の状態にまで発展すれば、誰が首相になっても、既定の日中互恵協力の外交路線は変わることはない」と日本の政府関係者は指摘する。

「人民網日本語版」 2008年10月27日

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