近年、ますます悪化するソマリアの海賊問題に対処するため、国連安全保障理事会は12月16日、国際社会にソマリア沿岸の海賊と海上での武装略奪行為の取り締まりに積極的に参加するよう呼びかけるとともに、取り締まりに参加した関係国に今後１年間、「すべての適切かつ必要な措置」を講じることを認める第1851号決議を採択した。会議に出席した中国外交部の何亜非・副部長は、ソマリア海賊の取り締まりに関して４項目の抜本策を提起するとともに、近日中に軍艦を派遣してソマリア海域での航行護衛活動に参加することを前向きに検討しているところだと表明した。

中国政府がインド洋に派兵して海賊を取り締まる決定をしたことは、国際情勢の発展と変化の必要性に合致しており、重いかつ深い意義がある。

まず、派兵して海賊を取り締まることは、中国の絶えず拡大している海外での利益を擁護する上で必要である。改革開放30年来、中国は世界経済システムの中で重要な構成員になりつつあり、対外貿易と国際海運を含むサービス貿易、対外投資と工事請負、即ち「海外進出」は中国経済が持続的かつ比較的速い成長を保持する上で重要な支えになりつつあり、海外にいる中国公民、企業及びその財産の安全を擁護することは、新しい時代の中国の国家安全にとって重要さを増しつつある。国際テロリストの襲撃や海賊の略奪などは中国の海外での利益にとって深刻な脅威となっており、時宜を逸することなく派兵し、国際行動に参与し、有力な取り締まりを行うことがますます必要となっている。今回の安保理開催の翌日の17日、中国交通建設集団総公司所属の貨物船「振華４」がアデン湾で海賊の襲撃に遭ったことから、中国の派兵による航行護衛と海賊取締はより緊急性を増してきた。

次に、海上の戦略的ルートの安全を擁護する上で必要である。中国はすでに国際的な貿易大国となり、対外投資の大国にもなりつつあり、石油や鉱物資源などを含む大量の貨物は海運で輸出入しなければならない。なかでも南中国海―マラッカ海峡―インド洋―ペルシャ湾―紅海―地中海を結ぶ航路は極めて重要であり、この「海上の生命線」が海賊の横行に直面するケースが増え続けているため、中国は派兵して「航行護衛」をする必要がある。

さらに、世界的な取り締まりに積極的に参与し、地域の平和と安定に尽力し、責任ある大国としてのイメージを維持する上で必要である。グローバル化と情報化が急速に進むに伴い、国際テロリズムや海賊、薬物密輸、国境を越えた組織犯罪など世界的な問題がまん延しており、これに対して各国が協調行動を取り、世界範囲で取り締まることが急務となっている。同時に、国内の内戦や沈静化の失敗による「外部から溢れた」問題が地域の平和と安定を脅かしつつあり、ソマリアの内乱が海賊の横行をもたらし、アフリカ東部と西インド洋地域に著しい危害を及ぼしているのはその証左であり、これについても国際社会はその根源を絶たなければならない。安保理の呼びかけに積極的に応じ、派兵してソマリアの海賊を取り締まり、この問題の根本的解決に尽力するとの中国の決定は、まさにこの地域と国際社会に対して高度な責任を負うことを十分に反映したものである。

最後に、非伝統的な安全への脅威に積極的に対応し、国防の近代化を加速するとともに、軍事の転換を図る上で必要である。伝統的な安全への挑戦が複雑さを増し、非伝統的な安全への挑戦が緊迫化しつつある国際的な安全をめぐる環境に対処するため、近年、中国人民解放軍は「多種にわたる安全への脅威に対応し、多様化された軍事任務を達成する」方針を提起し、「核心的な戦闘力」の増強、即ち、情報化を前提にした局部戦争で勝利を収めると同時に、様々な「非軍事行動」に参与することをより重視している。インド洋に派兵して海賊を取り締まり、海外での利益と海上の戦略的ルートの安全を擁護することは、中国軍隊の実践レベルを検証するのみならず、さらには中国の遠洋輸送能力を向上させ、海軍の近代化推進を加速させることもできる。また、米国やEU（欧州連合）、インド、ロシアなどがいずれも海賊取締に取り組んでいる今、中国が派兵して海賊を取り締まるのは時宜にかなっている。

海外派兵による海賊取締は、新時代の中国の大規模な外交・軍事転換にとって重要な一歩となるものであり、そこに歴史のこだまを聞くかのような感がある。600年前の明代、鄭和は西洋に向かった際、現在のインド洋とソマリア一帯を巡航した。歴史上の鄭和の西洋巡航は平和友好の王者の師であり、21世紀の中国海軍も海賊取締に参与し、国際的な公益に身を投じる正義の師でもあると言える。その任務は重く遠いが、早急の成就を願っている。

「チャイナネット」　2009年1月6日