文=軍事評論家 陳虎
完工に近い中国初の空母「ワリヤーグ」
ここ最近、ネット上にはワリヤーグ号に関する多くの画像が出回っている。これらの画像は本空母が船体装備建造の最終段階に入ったことを示している。そのため、海外の一部メディアには、その入水時期を年内と予測したり、更にはそれを根拠に2011年が中国の「空母元年」だとしたりするものまで存在する。このような状況の下、多くの中国国内メディアもワリヤーグ号に関する報道をかき集め、翻訳出版するなどしており、最近、また新しい空母ブームとなっている。
今の中国が、空母という武器を発展させるのは、その需要があり、必要性があり、そしてそれに対応しうる能力を持っているからである。そのため、中国の空母発展は、理にかなった当然のことであり、自然な流れによるものである。しかし、空母を保有するようになったからといって、それが即ち海軍強国というわけではなく、海上の安全、権益等の全ての問題を解決できるわけでもない。
事実、空母そのものは非常に脆いものである。これに対しては、次のような反論があるかもしれない。第二次大戦の終結から今日に至るまでの長きに渡って、空母が撃沈したことは一例もない。それは翻って言えば、空母が強い生存能力を持つ大型戦艦だということではないのか。
この、第二次大戦以降における空母の「無敵」伝説において、最も大きなポイントとなるのが、空母がこの数十年に渡りまともな対戦相手に遭遇していない点である。長射程武器や情報化装備が高度に発展した今日においては、空母のような大型兵器は非常に脆いものであるといえる。