資料写真:米軍のナイトビジョンAN/PVS
ナイト・ビジョンの急速な普及と、夜間訓練の強化にともない、人民解放軍も情報条件下の夜戦能力向上に取り組み、特にナイト・ビジョン装備の開発と運用に力を入れている。中国軍は長い夜戦経験をもつ。国産ナイト・ビジョンの材料の発達にともない、人民解放軍は「夜を制する」技術と戦術の基礎を再び手に入れることができるだろう。香港紙・大公報が2日、伝えた。
「火器」時代、夜戦は実力と火力が劣る側の武器だったが、科学技術の進歩にともない、先進的なナイト・ビジョン技術で夜間の視野を確保することができるようになり、戦場ではさらなる力の不均衡が生まれた。最新号の「紫荆」誌によると、夜戦と接近戦はかつて人民解放軍が敵を倒す決め手だった。長年の実践の中で、人民解放軍は豊富な夜戦と夜戦訓練の経験を積んできた。戦争時代、人民解放軍の夜戦能力は高く、西側の強敵まで「月は中国人の味方だ」と嘆いたほどだった。
人民解放軍は装甲装備を開発する中で、ナイトビジョンの開発を特に重視し、装甲兵の夜戦能力向上をバックアップしてきた。特に1982年のフォークランド紛争は人民解放軍に大きな衝撃を与え、これを機に軍部は先進的なナイト・ビジョンの技術を方々に捜し求め始めた。80年代中期から人民解放軍は微光ナイト・ビジョンを使い始め、軍事工業部門も熱心に開発に取り組んできた。西側は関連技術を頑なに封鎖してきたが、それでも長年の研究の甲斐あって、国内の企業の多くがすでに新型微光ナイトビジョンと赤外熱サーモグラフィを大量生産するようになった。これらの装置は輸入品より重く、バッテリーの使用量が多いが、他の性能はほとんど差がないため、軍事用品販促会でよく目にする。
1999年の国慶節50周年軍事パレードでお目見えした対戦車ミサイル「紅箭9」には赤外熱サーモグラフィが搭載されていた。この赤外熱サーモグラフィの最大探知距離は6千メートル以上、最大識別距離は4千メートル以上、持続作業時間は8時間以上、砂嵐の中でも夜間でも、撮影した画像、目標はすべて鮮明だという。
現在、中国のナイト・ビジョンは確かに米国製に性能が劣るが、その差は危険なほどではない。しかし国力の格差から、中国軍はこの装備を全兵に配分することはできない。今のところ少数の部隊のみ第2世代微光ナイト・ビジョンを配備している。中国軍は長い夜戦経験をもつ。国産ナイト・ビジョンの材料の発達にともない、人民解放軍は「夜を制する」技術と戦術の基礎を再び手に入れることができるだろう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年8月3日