このところ、日韓両国が「軍事情報包括保護協定」を署名しようとしたことで韓国に生じた連鎖反応から、日韓の軍事情報の共有問題が再びクローズアップされてきた。実際、民族感情を考慮せず、軍事的角度から見ただけでも、日韓がいったん軍事情報分野での協力を実現した場合、少なくとも3つの大きなメリットがある。
第1.情報源の総合性の向上にプラスとなる
軍事情報は出所をもとに映像情報と信号、通信監視情報、それに人的情報の3類に大別できる。日韓は対朝鮮軍事情報源においてそれぞれに重きを置く。日本はハイテク高性能装備の優位性を発揮した技術情報の取得を得意としており、韓国は地域・人文的優位性にもとづく人的情報の取得を重視している。
映像情報は主に、軍事偵察衛星と超高空偵察機で取得する。日本の情報偵察衛星は朝鮮に対し全天候型かつ継続的な軍事偵察を行うことが可能であり、解像度は1メートルに近い。また、日本はよく知られるP-3C対潜哨戒機のほか、比較的高い映像偵察能力を備えたOP-3C偵察機とRF-4EJ、RF—15J改造偵察機を配備し、対朝鮮軍事情報の偵察専門に使用している。一方の韓国は、この面で相対的に遅れている。そのため、日韓が「軍事情報包括保護協定」に署名した場合、韓国はハイエンド技術分野における情報収集能力を大幅に向上させることができる。
監視情報は主に、朝鮮の軍事無線信号を監視、解析して取得する。現在、日韓の情報機関にはいずれも監視専門部署が設置されており、無線情報監視の面で独立した偵察能力を有している。そのため、いったん双方が情報の共有を実現すれば、1+1>2の効果を上げることができる。
人的情報は主に、人的資源から軍事情報を取得する。韓国と朝鮮両国は38度線付近に位置し、同一民族、同様の文字と言語を使用しているため、人的情報工作は極めて至便である。
日本も非常に人的情報工作を重視している。2007年、日本はおよそ600人からなる、外国が展開する人的情報工作に重点的に対応する海外情報部隊を設立した。朝鮮が長期にわたり開放されていないことから、在日朝鮮人と朝鮮は急速に疎遠となり、「朝鮮総連」の勢力が衰退するにつれ、上層部に関する核心的な情報を得るのが非常に難しくなった。そのため、日韓が仮に情報を共有すれば、日本は人的情報工作上の不足を効果的に補完することができる。