江原規由:歴史的チャイナパワー発揮の10年間

江原規由:歴史的チャイナパワー発揮の10年間。 中国共産党第16回全国代表大会(十六大)以後の10年間(2002~2012年)の成果に関する論評が中国のマスコミを賑わしています。例えば、人民日報は、「『科学発展 成就輝煌』-十六大以来中国改革発展歴程述評」(科学発展 輝く成果-十六大以来の中国改革発展の歩みを論評する)と題した特集を組みました…

タグ: 十六大 江原規由 チャイナパワー 政治 経済

発信時間: 2012-08-09 10:04:17 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

中国共産党第16回全国代表大会(十六大)以後の10年間(2002~2012年)の成果に関する論評が中国のマスコミを賑わしています。例えば、人民日報は、「『科学発展 成就輝煌』-十六大以来中国改革発展歴程述評」(科学発展 輝く成果-十六大以来の中国改革発展の歩みを論評する)と題した特集を組みました。5000年に及ぶ中国史においてはほんの一瞬に過ぎない10年間ですが、これほど劇的な変化を遂げ、世界から注目された10年間はなかったでしょう。

<チャイナパワーが発揮された10年>

今年8月、ロンドンオリンピックが開催されました。中国はオリンピックのメダル獲得数で世界をリードしています。2008年開催の北京五輪ではどの参加国・地域より多くの金メダリストを誕生させています。スポーツ競技では、主義、主張、制度、民族、宗教が異なっていたとしても、どの国・地域の選手も共通ルールで技を競います。

世界経済においてはどうでしょうか。2010年、中国はGDP総額で日本を抜き世界第二位の経済大国の座を射止めました。銀メダリストとなったわけです。オリンピックは4年に一度のスポーツの祭典です。4年後に中国が世界経済で金メダリストになる可能性は大いにありです。

過去10年間に中国が成し遂げた数多くの未曾有の成果の中から一つ上げるとしたら、中国の経済大国への躍進をあげる人が多いはずです。一人当たりGDPでは、2003年に1000ドル超であった一人当りGDPが2011年には5414ドルへとほぼ5倍増となり、“中等収入”国家に仲間入りしたとされますが、まだ、日本の8分の1に過ぎません。このほか、北京五輪(2008年)、上海万博(2010年)の開催で中国が世界の注目を受けたことも突出した成果の一つと指摘できるでしょう。人民日報は、世界の注目もさることながら、中国人が「從“看世界”到“融入世界”」(世界を見るから世界に溶け込んだ)と論評しています。

中国経済と中国人民が大きく国際化したということでしょう。

さらに、神舟、嫦娥計画に代表される宇宙計画事業の進展や高速鉄道(日本の新幹線に相当)網の整備などが、10年間の輝かしい成果でしょう。今年6月には、神舟9号(初の女性飛行士が搭乗)が打上げられ、天宮1号とのドッキングに成功しました。この快挙を米国のAtlantic Monthly誌は、「胡錦濤的“肯尼迪時刻」(胡錦濤のケネディ・タイム)注1と題して論じたと、新華ネット(2012年6月24日)は報じています。その時期については、まだ未定ですが、中国が目指す有人月面着陸が視野に入ってきたようです。筆者が北京に赴任した2001年当時、海外からの技術導入による建設が検討されていた高速鉄道が、わずか10年足らずの間に独自開発され、海外で建設を請負うまでになると想像した人は皆無でした。

10年間は、「輝かしい成果」ばかりではありません。汶川地震、甘粛舟曲特大山洪泥石流など自然大災害、食品安全、環境保全における重大な事件・事故の発生、そして、2003年のSARS禍など未曾有といえる事態にも見舞われています。さらに、世界的な経済危機(米国発金融危機、EU債務危機)にも直面するなど、中国経済が大きな試練に直面した10年でもありました。

今年7月、党中央が開催した「党外人士座談会」(超党派座談会)で胡錦濤国家主席は今年下半期に重点的に取り組む経済活動として6点(経済のマクロコントロールの改善、農業の近代化、経済発展パターンの転換、改革開放の推進、民生の保障・改善、経済リスクの回避)を挙げています。これまでの10年間の総括であるとともに、次世代に託す国家運営の要点を披露したとも読めます。

 

<政治重視、経済優先から民生向上へ>

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