英誌『フィナンシャル・タイムズ』は31日、パキスタン当局の関係者の発言を引用し、「パキスタンは戦略的意義を持つグワダル港の管轄権を、シンガポールの港湾会社のPSAから中国企業の移譲する計画を立てている」と報じた。ロイター通信が8月31日に伝えた。
パキスタンのBabar Ghauri海運大臣は、「当方とPSAはすでに合意に達している。PSAはグワダル港からの撤退を決定した。PSAは現在、中国の投資家と交渉を行なっている」と表明した。
PSAは5年前、有効期間が40年間に達する契約に基づき、グワダル港の運営を開始したが、現在撤退を予定している。Babar Ghauri海運大臣は、「これはPSAの決定であり、当方はこれに同意した」と述べ、中国の投資家の名称についてはコメントを控えた。
グワダル港は中国からの融資により建設された港で、パキスタンとイランの国境に隣接し、ホルムズ海峡の近くに位置する。同地区で国際市場への石油輸出を行う船舶の多くは、ホルムズ海峡を通過する。パキスタン当局の関係者は、「戦略的・商業的利益は、上述した計画の一部の原因となった」と語った。
パキスタンのムクタール国防相は昨年『フィナンシャル・タイムズ』に対して、「パキスタンは中国に対して、グワダル港に海軍基地を建設し、中国海軍を駐留させるよう求めた」と語った。しかし中国の梁光烈国防部長は、中国政府は同提案を検討しなかったと表明した。
パキスタンとシンガポールでは、今回の管轄権の移譲が商業的な決定と見られる可能性がある。しかし中国による、同盟国のパキスタンへの影響力を高めるあらゆる行動が、米国やパキスタンの隣国、およびパキスタンと敵対するインドからの注目を集めやすい。
中国の南アジアにおける利益拡大のすべてが、中国による「包囲」に対するインドの懸念を高める可能性がある。梁国防部長は現在スリランカを訪問中で、来週の初めにインドに到着する予定だ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年9月3日