「アメリカにとって、日本は必ずアジアにおける欠かせない同盟国になる」との意見に対し、国際情勢を分析するコンサルティング会社ユーラシア・ グループの代表イアン・ブレマー(Ian Bremmer)氏と政治家であるデイヴィッド・ゴードン(David Gordon)氏は、9月10日付の記事で、「この意見が現実になることはない。この路線に従って進めば、アメリカとアジア地域全体に大きな災難をもたらすことになる」と指摘した。
今の日本は、どんなときよりも閉鎖的
第二次世界大戦以来、日本は今や、いつの時代よりも、どの主要国家よりも内向的な国になっている。日本にはグローバル的な考え方がない。アメリカに留学する日本人学生は既に大幅に減少しているが、これに比べ、アジアからの留学生はどんどん増加している。TOEFLテストの点数で言うと、日本は最後から二番目で、朝鮮に次いで点数が低い国である。緒方貞子氏が国連難民高等弁務官を務めて以来、国際的な機関で重要な職務を務めた日本人は一人もない。世界貿易機関(WTO)には日本の影も形もなく、その影響力は取り上げるほどでもないものだ。国際政策のフォーラムでは、日本は欠席することで有名である。外国人から見れば、日本は依然、極めて閉鎖的な国である。日本の企業、大学、シンクタンク、非政府間組織(NGO)などに外国人がいることは稀で、特に日系ではないアジア人が高官を勤めることは滅多にない。
アジアの安全を著しく脅かす日本
更に重要なのは、近日の一連の事件から見ると、残念なことに、ドイツと違って、日本は未だに隣国と良好な関係を築いていないことだ。日本と朝鮮・韓国・中国との関係は尚もひどいものである。アジアにおいて、日本はいかなるけん引的役割も果たしていないばかりでなく、専ら営利主義で行動し、過去の卑劣な過ちに関する認識に欠けた国であると思われている。
1930・40年代とは違って、今の日本に軍事的脅威はない。しかし、世界全体に対し、特にアジアの隣国に対する日本の行動は、安全を害する深刻な脅威となっている。20世紀のアジアの平和が回復されなければ、21世のアジアに平和は訪れない。アメリカが日本をアジアにおける重要な同盟国としたならば、同地域で既に一触即発の状態となっている情勢は、すぐさま更に悪化するだろう。
日本が平和を追求し、対外開放を行うよう働きかけるべきであり、それが太平洋地域の平和と繁栄を更に促進することに繋がる。
(スイス・ローザンヌ市、国際経営開発研究所:IMD、ベアード・レーマン名誉教授)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年9月15日