日本で第181臨時国会が29日召集され、野田佳彦首相が所信表明演説を行った。野田首相は年内の衆議院解散を否定する態度を示したが、これまでと異なり、所信表明演説を聴取したのは民主党衆議院議員だけで、野党は聴取を拒否した。このようなことは100年以上に及ぶ憲政史上初めてである。自民党をはじめとする野党がこれまで首相への「敬意」を保っていたと言うならば、今回は「一撃を食らわせた」と同じで、「思いやりのベール」が完全になくなった双方の間で潰し合いが展開されることになる。
野田首相が所信表明演説の聴取を拒否された最も直接的な原因は、野党が信用を維持できず、首相になる資格を失うと考えたことである。野田首相は今年8月、野党から消費増税法案への支持を得るため、「近いうち」に衆院を解散し、総選挙を前倒しすると承諾した。ところが、増税法案が通ると首相はこの件に触れなくなり、「丸め込まれた」と思った野党は国会で圧力をかけ、退任を求める行動に出た。
今回の出来事の背景には、野田内閣の日々鮮明になる「政権末期症状」がある。野党による妨害、政府のあらゆる行動への非難、続く大臣の辞職さらには自殺、国民からの信頼消失、また、内外政策が進退ともに拠り所を失ったことにより、支持率は下がり続け、「危険水域」とされる20%を割って18%に低下した。この数字はライバルの自民党を大幅に下回る。29日、さらに2人の民主党衆院議員が離党届を出し、執政権を失うまであと6議席となり、民主党の立場は危うくなっている。